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オブツーサ(H. cooperi var. truncata)の写真
オブツーサ
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クーペリー系の見分け方オブツーサ・シンビフォルミス・レツーサを 3 つの軸で分ける

窓を持つ軟葉系のハオルチアは、名前を確かめようとすると急に難しくなります。クーペリー、オブツーサ、シンビフォルミス、レツーサ、ベヌスタ——別々の名前で売られているのに、写真を並べるとよく似ている。かと思えば、同じ「クーペリー」という名前で、まるで違う姿の株が並んでいる。

これは買う側の目が悪いからではありません。もともとこれらの植物が、自生地で連続的につながっているからです。この記事では、その連続性を前提にしたうえで、「まず大きく 3 つに分ける」ところから順に、手元の株がどのあたりに位置するのかを確かめていきます。あわせて、日本でもっとも親しまれている「オブツーサ」という名前が、学名の世界ではどこに属しているのかも整理します。ここには、多くの記事が触れていない、はっきりした答えがあります。

軟葉系が見分けにくい理由 — 自生地でつながっているから

同じ地域、違う場所 FIG.01Habitat
ZONE 1
東ケープ州の崖
Haworthia cymbiformis が育つ場所
ZONE 2
東ケープ州の低地の平野
Haworthia cooperi が育つ場所
ZONE 3
西ケープ州リバースデール周辺
Haworthia retusa が育つ場所(地理的に離れている)

cooperi と cymbiformis は同じ地域に分布し、両者が接するところでは姿が融合する

見分けの話をする前に、前提を共有させてください。

南アフリカの自生地で観察されたクーペリー(候補)の群落。近縁の軟葉系種と自生地で連続する。画像左下に撮影者クレジットの透かしあり
自生地で観察されたクーペリー(候補)の群落。近縁の軟葉系種と自生地で連続する。Photo: Andrew Hankey / CC BY-SA 4.0, via iNaturalist

H. cooperiH. cymbiformis は、同じ東ケープ州(Eastern Cape)に分布しています。ポートエリザベスからイーストロンドンにかけての地域です。ただし、同じ地域のなかで住み分けがあり、シンビフォルミスは崖に、クーペリーは低地の平野に育ちます。そして両者の生息地が接するところでは、姿が融合していくことが知られています。

一方、H. retusa は西ケープ州のリバースデール周辺という、地理的に離れた場所に分布します。こちらは他の 2 種と自然に混ざる関係にはありません。

つまり、「クーペリーとシンビフォルミスの中間のような株」は、栽培のなかで生まれた雑種というだけでなく、自生地にも実際に存在しうるということです。図鑑の写真とぴったり一致しない株があっても、それは異常ではありません。名前を一つに絞りきれないケースが構造的に存在する、と知っておくことが、この属とつきあう出発点になります。

まず 3 つに分ける — 葉の形で大きく振り分ける

Three-Way Split 3 択に落とす
問い 1: 葉が三角形に反り返り、上を向いた面が窓になっている?
はい
いいえ
はい レツーサ系
問い 2: 葉がやわらかく、舟のような形をしている?
はい
いいえ
はい シンビフォルミス系
問い 3: 葉のふちに短い毛(ノギ)があり、葉先が透きとおって群生している?
はい
いいえ
はい クーペリー系

細かい変種を突き止める前に、まず大きく 3 つに振り分けます。ここで方向を間違えなければ、その後の絞り込みはずっと楽になります。

レツーサ(H. retusa)は、葉が反り返ります。 種小名の retusa は「先が浅くくぼんだ」という意味で、葉が三角形(deltoid)に反り返り、上を向いた面が窓になります。この窓は透明で、はっきりした光沢があり、しばしば線が入ります。もうひとつの特徴が単頭で育つこと。野生では子株を吹かずに一株で立っているのが普通です。自生地では地面に沈み込み、この平らな窓の面だけを地表に出しています。

レツーサ(Haworthia retusa)として流通する単頭の株。三角形の葉が反り返り、上を向いた面に淡い線の入った窓が見える
鉢に植わった単頭の株を斜め上から。反り返った葉の上面が窓になり、淡い線が入る。Photo: Abu Shawka / CC0, via Wikimedia Commons

シンビフォルミス(H. cymbiformis)は、舟形です。 種小名の cymbiformis がそのまま「舟の形をした」という意味で、やわらかい葉が舟のようにふくらんだ形をしています。葉は反り返りません。葉先には透明な条(すじ)が入ります。

シンビフォルミス(Haworthia cymbiformis)として流通する株の群生。やわらかい葉が舟のようにふくらみ、葉先が半透明に抜ける
群生した株を上から。やわらかくふくらんだ舟形の葉と、半透明に抜ける葉先。Photo: Didier Descouens / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

クーペリー(H. cooperi)は、ノギと群生です。 葉のふちに短い剛毛状のノギがあり(変種によっては長い糸状に伸びます)、葉先に透明な部分を持ちます。小型のロゼットが群生するのも特徴です。自生地では砂に埋もれ、透きとおった葉先だけを地上に出しています。

クーペリー(Haworthia cooperi)として流通する株の群生。葉のふちに短い毛(ノギ)が並び、葉先が透きとおる
群生したロゼットの拡大。葉のふちに短い毛(ノギ)が並び、葉先が透きとおる。Photo: Agnieszka Kwiecień, Nova / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

3 択で迷ったときの補助線を挙げておきます。 どれにも当てはまるように見える株は珍しくないので、次の順に見てください。

まず、窓がどこに付いているかを見ます。葉を上から見て、反り返った葉の「上面」が広く窓になっていればレツーサ系の特徴です。窓が葉の先端に集まっているなら、クーペリー系かシンビフォルミス系の側になります。反り返っているのか、単に葉が立っているだけなのか迷ったときは、この窓の位置がいちばん確かな手がかりです。

次に、株がどう増えているかを見ます。ノギがあるかどうかは変種によって差が大きく、それだけで決めるのは危険です。仔をよく吹いて鉢のなかで群生しているなら、クーペリー系かシンビフォルミス系。ひとつの株が単独で大きくなっているなら、レツーサ系の可能性が上がります。

そして、若い株では判断を急がないこと。特徴の多くは株が育つ過程ではっきりしてきます。買ったばかりの小さな苗で名前を決めきれなくても、一年育ててから見直すと、迷っていた点が解けていることがあります。

クーペリーの変種を整理する

TAXON TREE
Haworthia cooperi の変種
Haworthia cooperi Baker受理された種
受理されている変種は 1313 VARIETIES

var. cooperi / dielsiana / doldii / gordoniana / gracilis / isabellae / leightonii / picturata / pilifera / tenera / truncata / venusta / viridis

栽培でよく出会うものIN CULTIVATION
var. truncata日本名オブツーサ
var. pilifera
var. venusta
var. dielsiana
受理状況の出典 = GBIF Backbone Taxonomy(2026-07-21 照会)

クーペリーには、現在の主要な整理で受理されている変種が 13 あります。名前を全部覚える必要はありませんが、栽培の場でよく出会う 4 つは押さえておくと役に立ちます。

  • var. truncata … 日本で「オブツーサ」と呼ばれる株がこれにあたります。葉先が丸く、大きな窓を持ちます
  • var. pilifera … 変種のなかでもっとも普通で、分布も広いもの。毛の量で決まる変種ではありません(一次記載は変種の項に毛の量を書かず、鈍く終わる葉先に残る尖りと、葉縁・竜骨の角張りを挙げています)。名前の来歴と分布はピリフェラの頁で扱っています
  • var. venusta … 葉が太く密に並び、葉の面ぜんたいが白い毛におおわれます。青緑色で、露出した場所では紫がかります(色は種そのものの記述で、変種に固有のものではありません)
  • var. dielsiana … 葉が短く寸詰まりで、青緑色。ノギがなく、葉先が完全に丸いのが特徴で、栽培でよく流通します

ここで注意したいのが、ベヌスタの扱いです。かつて H. venusta という独立した種として記載されましたが、現在の整理ではクーペリーの変種 H. cooperi var. venusta が受理名とされ、単独種としての名前は同義とされています。「ベヌスタ」という名前で売られている株を、クーペリーとは別の種だと考える必要はありません。

なお、日本の流通では「ドドソン紫」「水晶」「紫玉露」といった呼び名も使われます。これらは売り場で付けられた呼び名で、学名と一対一で対応するものではありません。

「オブツーサ」という名前はどこに属しているのか

NAME MAP / 2 LAYERS
obtusa という小名のゆくえ
上段 — 小名 obtusa の側EPITHET
Haworthia obtusa Haw.1825
H. cymbiformis var. obtusa受理名 / シンビフォルミス系

Haworthia obtusa Haw.(1825)は現在、単独の種としては同義とされ、受理名は H. cymbiformis var. obtusa(シンビフォルミス系)

下段 — 日本のオブツーサの側JAPANESE NAME
H. cooperi var. truncata受理名
Haworthia obtusa f. truncataH.Jacobsen / 基になった名前

H. cooperi var. truncata(受理名)。基になった名前は Haworthia obtusa f. truncata H.Jacobsen

つなぐ線
Jacobsen が「H. obtusa の一品種」として記した株を、Bayer が 1999 年にクーペリーの変種へ組み替えた
結論
obtusa という小名はシンビフォルミス系に残り、日本がオブツーサと呼ぶ株はクーペリー系にある
上段 = 小名 obtusa がたどり着いた先 / 下段 = 日本でオブツーサと呼ばれる株。出典 = GBIF Backbone / IPNI

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

オブツーサとして扱われる、光沢のある透明な窓を持つ栽培ロゼット。上部の窓は日射でやや白く飛ぶ
オブツーサとして扱われる栽培ロゼット。光沢のある透明な窓を持つ。Photo: Zinogre / CC BY-SA 4.0, via iNaturalist

日本でもっとも親しまれている軟葉系の呼び名「オブツーサ」は、学名の世界では少しねじれた歴史を持っています

まず、Haworthia obtusa Haw. という名前は 1825 年に発表されました。しかし現在の整理では、この名前は単独の種としては認められておらず、受理名は H. cymbiformis var. obtusa、つまりシンビフォルミス系の変種とされています。

一方、日本で「オブツーサ」と呼ばれている株は、クーペリー系の H. cooperi var. truncata です。この名前が成立するまでの経緯はこうです。Jacobsen が 1955 年に Haworthia obtusa f. truncata として、つまり「H. obtusa のなかの一つの品種」として記載した。それを Bayer が 1999 年の Haworthia Revisited で、クーペリーの変種として組み替えた——この組み替えによって、株はクーペリー系に移り、obtusa という小名だけがシンビフォルミス側に残されました。

つまり「オブツーサ」という日本語の呼び名は、学名が引っ越した後の、古い住所のほうを指し続けているのです。混乱しているように見えて、経緯をたどるとはっきりした筋が通っています。

実用上、この事実がどう効くか。園芸店で「オブツーサ」として売られている株は、クーペリー系だと考えて見分けを進めれば大丈夫です。ノギの有無や葉先の透明感といった、クーペリー系の手がかりが使えます。一方、文献やデータベースで「H. obtusa」という表記に出会ったときは、それがシンビフォルミス系を指している可能性があると意識してください。同じ言葉が、場所によって違うものを指しています。

オブツーサそのものの選び方(窓の透明度や色の違いで銘を選ぶ話)は、専用の記事で扱っています。

ベヌスタは毛で見分ける

POINT 1
葉の表面が細かい毛におおわれ、白っぽく見える
POINT 2
太く、密に重なって並ぶ
POINT 3
青緑色。露出した場所では紫がかる(種の記述)

ベヌスタ(var. venusta)の手がかりは、葉の面ぜんたいが毛におおわれることです。ハオルチアの毛はふつう葉のふちと裏の稜(竜骨)に生えるもので、面に出るのはクーペリーではこの変種だけとされます。他の変種と並べたときに白っぽく、やわらかい印象になります。

ベヌスタ(Haworthia cooperi var. venusta)として流通する株。葉の面全体が細かい白い毛におおわれ、外側の葉は紫がかって見える
砂利に植わった一株。葉の面全体が細かい白毛におおわれ、外側の葉は紫がかった色みを帯びる。Photo: Abu Shawka / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ただし、「毛がある = ベヌスタ」と即断はできません。クーペリー系は変種によって葉のふちにノギ(短い剛毛)を持ち、なかには長い糸状に伸びるものもあります。ふちだけに毛があるのか、葉の面全体が毛におおわれているのかを見てください。面全体が毛におおわれ、葉が太く密に重なっていれば、ベヌスタの特徴に合っています。

自生地から逆算するという見方

3 種の手がかり — クーペリー系・シンビフォルミス系・レツーサ系
クーペリー系
葉の形
小型で群生。葉先が透きとおる
毛・ノギ
ふちに短いノギ(変種差あり)
窓の位置
葉の先端
株のかたち
よく仔を吹いて群生する
自生地
東ケープ州の低地の平野
シンビフォルミス系
葉の形
やわらかい舟形
毛・ノギ
目立たない
窓の位置
葉先の条
株のかたち
群生する
自生地
東ケープ州の崖
レツーサ系
葉の形
三角に反り返る
毛・ノギ
目立たない
窓の位置
反り返った葉の上面
株のかたち
野生では単頭が普通
自生地
西ケープ州リバースデール周辺

見た目だけで迷ったときに、もうひとつ使える視点があります。その植物が自生地でどう暮らしているかから逆算するという見方です。

南アフリカの自生地で、枯枝や根の間に小さな群れをつくって育つクーペリー(候補)。画像左下に撮影者クレジットの透かしあり
自生地で、枯枝や根の間に小さな群れをつくって育つクーペリー(候補)。Photo: Andrew Hankey / CC BY-SA 4.0, via iNaturalist

崖に育つシンビフォルミスは、垂れ下がるように育つ環境に適応しています。低地の平野に育つクーペリーは、砂に埋もれて葉先だけを出す暮らし方をします。西ケープ州のレツーサは、地面に沈んで平らな窓の面を地表に向けます。窓がどこに付いているかという違いは、それぞれの暮らし方の違いから来ています。

株の姿にも差が出ます。クーペリーとシンビフォルミスはよく仔を吹いて群生しますが、レツーサは野生では単頭で育つのが普通です。鉢のなかで小さな株がびっしり増えているなら、レツーサ系である可能性は下がります。

名前が確定できないときにどうするか

確定できないときの向き合い方
  • 3 択のどこに近いかまで絞れれば、育て方の判断には十分たどり着ける
  • 流通の呼び名と学名は、必ずしも一対一で対応しない
  • 産地や来歴の情報が残っている株は、それ自体が手がかりになる
  • 分からないものを分からないまま持っておくのも、収集の一部

ここまで読んでも、手元の株の名前が一つに決まらないことがあります。それは失敗ではありません。クーペリーとシンビフォルミスは自生地で融合し、栽培ではさらに交配と選抜が重ねられているので、園芸店に並ぶ株の多くは連続的な中間の姿をしています。一つの名前に当てはめきれない株が存在するのは、この植物のあり方として自然なことです。

実用的には、3 択のどこに近いかまで絞れれば十分です。ノギがあって群生するクーペリー系なのか、反り返った窓を持つレツーサ系なのか——そこまで分かれば、光の当て方も水のやり方も同じ考え方で対応できます(ハオルチアの育て方)。そしてどこから来た株なのかという来歴は、写真から読み取れない手がかりになるので、残っていれば大切にしてください。

まとめ

  • 軟葉系が見分けにくいのは、自生地で分布が接し、姿が連続しているためです
  • まず「反り返る(レツーサ)/ 舟形(シンビフォルミス)/ ノギと群生(クーペリー)」の 3 択に落とすのが近道です
  • クーペリーには受理された変種が 13 あり、栽培では truncata・pilifera・venusta・dielsiana によく出会います
  • 「オブツーサ」の名は、学名上はシンビフォルミス系に残り、日本でそう呼ばれる株はクーペリー系(var. truncata)にあります
  • 名前が一つに決まらない株は普通に存在します。3 択まで絞れれば、育て方の判断には届きます

FAQ

オブツーサとクーペリーは違う植物ですか?
日本で「オブツーサ」と呼ばれる株は Haworthia cooperi var. truncata で、クーペリーの変種にあたります。別の植物ではなく、クーペリーのなかの一つと考えてください。
H. obtusa という学名を見かけました。
この名前は現在、単独の種としては認められておらず、H. cymbiformis var. obtusa が受理名とされています。日本でいうオブツーサ(クーペリー系)とは指しているものが異なります。
ベヌスタは別の種ですか?
かつて独立した種として記載されましたが、現在は H. cooperi var. venusta が受理名とされています。クーペリーの変種の一つです。
手元の株の名前がどうしても分かりません。
3 択(レツーサ系 / シンビフォルミス系 / クーペリー系)のどこに近いかまで絞れれば、育て方の判断には十分です。この属は自生地でも姿が連続しており、一つの名前に決まらない株は珍しくありません。

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出典
  • GBIF Backbone Taxonomy — H. cooperi / H. cymbiformis / H. retusa の受理状況、H. obtusa Haw. の同義扱いと受理名 H. cymbiformis var. obtusaH. cooperi の受理変種 13、H. venusta の同義扱い(2026-07-21 照会)
  • IPNI(International Plant Names Index)— H. cooperi var. truncata (H.Jacobsen) M.B.Bayer(Haworthia Revisited: 55, 1999)、基になった Haworthia obtusa f. truncata H.Jacobsen(1955)
  • Haworthia cooperi / Haworthia cymbiformis / Haworthia retusa — en.wikipedia.org ほか(形態・自生地・生息地の分化・変種の特徴)
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