軟葉系12 章約24分で読めます
オブツーサの育て方と見分け方|丸い窓と学名の関係を知る
広告
オブツーサHaworthia cooperi var. truncata(流通名: オブツーサ・雫石・玉露)
魅力丸い葉先の窓に透ける細い脈育て方を見る →
丸い葉先に光が入り、窓の中から細い脈が見えてくる。オブツーサは、一枚の葉を小さなガラス窓のように眺められるハオルチアです。
窓の輪郭、脈の分かれ方、緑の側面との境目。写真で見どころをつかみ、育て方と似た名前の比較へ進むと、買った株を調べる手がかりも増えます。
オブツーサの見どころ — 丸い窓に立ち上がる細い脈
観察
全株から葉先へ。丸い窓と脈をたどる
全株 → 同じ葉の拡大

- 丸い窓の輪郭左手前の葉。白い反射と、葉そのものの輪郭を分けて見る。
- 下から伸びる脈中央右の窓。濃い筋の分かれ方を追う。
- 窓の下の側面中央手前の葉。窓面の下に続く濃い緑を見る。
同じ写真の葉先を拡大

上と下の同じ番号で、窓の輪郭・脈・側面を見比べます。
下段は上段と同じ原本の部分トリミング。模様はこの掲載株の観察例です。
Photo: Tariskal / CC0, via Wikimedia Commons(下段は既存の部分拡大画像)
この株では、窓の下から指のように暗い筋が立ち上がっています。扇状に見える脈は写真の観察例で、すべての株に同じ模様を求める必要はありません。
反射した白い光と窓の輪郭を分けて見ると、丸みと内部の線を追いやすくなります。
見どころと育て方
- 丸い窓の輪郭と、内部の脈を見比べる
- 光・鉢の乾き・新しい葉から管理を考える
- クーペリーの変種として、名前と由来をたどる
窓を眺める光と、育てる光
窓は葉の内部へ光を通す面です。上の拡大写真では、丸い上面と脈、その下に続く濃い側面を見比べられます。窓を広く眺めたいときは上から、丸いふくらみを楽しみたいときは少し横から見てみましょう。
窓の見え方は光の向きでも変わります。透明感だけを水やりや光量の計器にせず、葉の間隔と新しい葉、土と根の状態を組み合わせて管理します。
鉢で見える窓と葉の側面
記載と照合の詳細
株元と葉の側面は、鉢でも観察できる部分です。窓のふくらみや側面を眺めることと、深く植え込むことは別です。野外写真と同じ高さを狙わず、鉢では株元と排水も確認します。
「オブツーサ」という名前が指しているもの
観察
「オブツーサ」を、二つの名前からたどる
呼び名 → 対応する学名 → 次に見る株
売り場の「オブツーサ」

丸い窓と指状の脈が見える掲載株。
名前をたどると ↓
この頁が扱う H. cooperi var. truncataPhoto: Tariskal / CC0, via Wikimedia Commons
学名 H. obtusa Haw.

丸い三角の葉先と、網目状の模様が見える掲載株。
名前をたどると ↓
GBIFでは H. cymbiformis var. obtusa へPhoto: Marija Gajić / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
同じ obtusa という語でも、流通名と学名では行き先が違います。
写真は各掲載元の同定名による二株。姿だけで販売株を決めず、名札・親株の記録を合わせて確認します。写真は共通縮尺ではありません。
このページで「オブツーサ」として扱うのは H. cooperi var. truncata であり、学名 Haworthia obtusa が現在指しているのは、それとは別の系統です。GBIF Backbone で Haworthia obtusa Haw.(1825 年記載)を引くと、この名前は異名(SYNONYM)として扱われ、受理名は Haworthia cymbiformis var. obtusa (Haw.) Baker と返ってきます。
つまりシンビフォルミス(京の華・宝草の仲間)の側です。呼び名の「オブツーサ」と、学名の obtusa は、いま同じものを指していません。
この名前のすれ違いは、基礎異名と、その後の分類をたどると読み解けます。
1955 年に付いた名前が Haworthia obtusa f. truncata 、「H. obtusa の truncata という品種」だったからです。当時はオブツーサの側が H. obtusa の傘の下にありました。
その後 H. obtusa という種名自体がシンビフォルミス側の変種として整理され、truncata はクーペリーの変種へ移された。移動先が別々だったので、名前と実体がすれ違ったまま残ったのです。
学名の移動と流通名が使われ続ける経緯は分けて考えます。売り場のオブツーサがどの株を指すかは、名札の学名と由来を確認します。
もう一方の obtusa を横から見る
上の右側の株は、ベオグラード・Jevremovac 植物園で撮影され、Commonsの H. cymbiformis var. obtusa カテゴリに置かれています。下は同じ群落を横から見た写真です。
流通名と学名の対応
| 呼び名 | 使われる地域・場面 | 指していると思われる学名 | 裏付け |
|---|---|---|---|
| オブツーサ | 日本の園芸流通で最も一般的 | H. cooperi var. truncata | 1955 年の基礎異名に由来。学名としては現行でない |
| 雫石(しずくいし) | 日本の園芸流通 | 同上(の呼び換え) | 園芸流通名。学名的な裏付けはない |
| 玉露(ぎょくろ) | 日本の園芸流通 | 同上/近縁を含む場合あり | 園芸流通名。指す範囲が一定しない |
| 水晶殿・草玉露 | 中華圏の流通・展示 | obtusa 系として扱われる株 | Wikimedia Commons のファイル名で確認できるのみ(未確認) |
| Haworthia obtusa | 古い文献・海外サイト・名札 | H. cymbiformis var. obtusa(現行) | GBIF Backbone で SYNONYM。受理名は別系統 |
記載と照合の詳細
ちなみに、この 2つある名前はどちらも葉先の形を言っています。ラテン語の obtusus は「鈍い・丸い」、truncatus は「切り取られた」。
丸くふくらんだ葉先と、その先が切り落とされたように平らな面、オブツーサを実際に見ると、この 2 語が両方とも当てはまることが分かります。
名前だけの話ではなく、姿としても別物です。上の写真は、ファイル名こそ「Haworthia obtusa」ですが、Wikimedia Commons の現在の分類カテゴリは Haworthia cymbiformis var. obtusa です。
葉は舟形にふくらみ、葉先は丸くにぶい三角形。窓は葉の上面に広く乗り、模様は灰緑の網目状です。
扉の写真、上半分がくもりガラスのような面になり、暗い脈が下から扇状に立ち上がるオブツーサ、と見比べると、受ける印象がはっきり違います。
この比較写真はCommonsの掲載同定に基づきます。種名と個体の由来は写真の出典と一緒に読みます。
Haworthia obtusaという旧名を見かけたら、学名の対応を資料で確認し、写真の株と同じ由来かを別に確かめます。名札だけから葉形や変種を決めません。
呼び名はどれも園芸の流通名で、学名のように意味が定まってはいません。とくに「玉露」は、店や地域によって指す範囲が違います。
呼び名は由来を調べる入口です。葉先の形と窓、名札や親株の記録を合わせると、名前の対応を調べやすくなります。
銘(紫・黒・錦などの選抜名)の系統と選び方は、オブツーサの種類と違いで扱っています。
育て方 — 窓の透明感だけで水を足さない
オブツーサを育てる
かんたん派
すること半日陰と排水のよい鉢で育てる
楽しみ方丸い窓を眺める楽しみは、基本の管理から。
窓が見える光と、生育する光
明るい日陰を出発点に、新葉の間隔と窓の向きを見ます。暗い場所から急に強い日へ移さず、光の調整を確認しましょう。
水は窓だけでなく鉢を見て
葉がしぼんだときも、土の湿りと根、新しい葉を先に確認します。水やりの判断と排水を合わせて考えます。
冬は置き場所の夜間最低温度を確認
凍結を避け、窓際の冷気と鉢の乾き方を見ます。冬の管理と、用土・鉢・ライトの選び方へ。
近縁との見分け — 候補と次に見る所
掲載写真の葉先・毛・窓を見比べる
オブツーサ H. cooperi var. truncata
葉先
丸くふくらんだドーム。上半分がくもりガラス状の面
縁・先の毛
鋸歯もノギも目立たない
窓の模様
暗い脈が下端から指状・扇状に立ち上がる
迷ったら
葉先を横から見て、丸く終わっているか
クーペリー H. cooperi(この写真の掲載同定)
葉先
掲載株は葉先がとがり、先端に芒が見える
縁・先の毛
掲載株は葉縁に短い白い毛が見える
窓の模様
縦に走る細い線状の脈
迷ったら
株ごとの違いが大きい。1 株では決めない。クーペリーの頁へ
もう一方の obtusa H. cymbiformis var. obtusa
葉先
丸くにぶい三角。葉は舟形にふくらむ
縁・先の毛
白っぽい細い縁。短い芒が残る株もある
窓の模様
灰緑の網目状の斑紋
迷ったら
名札の学名だけを根拠にしない。シンビフォルミスの頁へ
掲載写真の葉先、縁の毛、窓の脈を順に見比べます。表はそれぞれの株の観察で、親種全体を一枚の写真で代表させるものではありません。
上の表は公開画像を実際に開いて観察した内容で、示せるのは「こういう特徴が見えたら、この候補に近い」という手掛かりまでです。
似た姿の株でも、変種の由来や管理履歴が異なります。写真の形に加えて、入手時の名札と親株・増殖記録を確認します。
管理は葉と根の状態、鉢の乾き、置き場所の光や温度を見て調整します。近い系統と分かっただけで個別の条件まで決まるわけではありません。
関連資料:クーペリー系の見分け方
H. cooperiとして掲載された株の実写
ここで見比べるのは掲載した二株です。H. cooperiとして展示された写真には尖った葉先と毛が見え、扉のtruncataとして掲載された写真には丸い窓が見えます。
掲載株ごとに窓の輪郭と脈、葉先の毛を観察します。親種H. cooperiには丸葉や毛の目立たない型も含まれ、尖葉・有毛の一株が親種全体を代表するわけではありません。
truncataはH. cooperiに含まれる変種です。掲載二株の違いを、親種の形から尖りと毛を引いたという一般的な成り立ちには置き換えません。
入手時の注意点
CAUTION 1
名札の学名は 2 通り
「Haworthia obtusa」と書かれた名札は、クーペリー系とシンビフォルミス系のどちらを指しているか分からない。名前より実物を見る。
CAUTION 2
名札と由来の記録を見る
名札に加え、親株・増殖・採集の記録を確認する。公開データベースの登録件数とは分けて、販売株の由来を照合する。
CAUTION 3
窓は状態で変わる
同じ株でも、光・水・季節で透明感と色が変わる。写真 1 枚の印象で判断せず、葉先の形と縁の毛を見る。
購入時は窓の輪郭、葉先と縁の毛、株全体を見ます。名札の学名を残し、親株・増殖・採集の記録と照合しましょう。
由来の情報は販売株ごとに確かめます。公開観察の件数が少ないことと、その株の親株や産地を確認できるかは別の問題です。
掲載写真では丸い葉先と目立たない縁の毛、扇状に見える脈を観察できます。この形だけで決めず、名札と由来も一緒に読みます。
関連資料:名前の対照表で確かめる
流通の規模 — 件数だけを見る
この図鑑は相場について、金額を均した代表値を出しません。ハオルチアの落札データは表記の揺れや別品種の混入が多く、金額を均すと実態から大きくずれるためです。
代わりに規模感がつかめる件数だけを示します。オークション履歴の集計サービス(aucfan)では、「オブツーサ」の出品が 304 件、直近 30 日の落札が 770 件ありました(取得日 2026-07-19)。
これは検索に一致した総件数で、表記の揺れや別品種の混入を含む参考値です。数として「よく取引されている大衆的なジャンル」だと分かれば十分です。
相場の免責
件数の取得日は2026年7月19日。
掲載しているのは過去の落札実績にもとづく参考値で、購入価格・売却価格を保証するものではありません。
件数は検索一致の総件数(表記揺れ・別品種の混入を含む)です。
出典元の落札履歴は時間の経過とともに閲覧できなくなる場合があります。リンク先が消えていることがあります。
季節変動・外れ値・送料・手数料の補正は行っていません。取得時点のデータをそのまま集計しています。
基本情報 — 学名・自生地・耐寒性
オブツーサの基本データQuick Spec
学名データ
Haworthia cooperi var. truncata (H.Jacobsen) M.B.Bayer。1955年の名前を基に、1999年にクーペリーの変種として組み合わせた表記です。書誌と別変種の参考図は出典欄にまとめています。
分類上の位置づけと関連資料
PLACEMENT
3 つに分かれた属の、どこに残ったのか
旧 Haworthia は 3 属に分かれたASPHODELACEAE / ALOOIDS
ハオルチア属 HAWORTHIA(軟葉系・万象・玉扇)
属の 3 分割は SANBI PlantZAfrica(Haworthia genus)の記述による。オブツーサは分割後も Haworthia に残る側
オブツーサは、3 つに分かれたハオルチアの仲間のうち、いまも Haworthia という属名を名乗り続けている側にいます。分子系統の研究によって、かつて 1 つだった Haworthia 属は 3 つに分けられました。
硬い葉の仲間は Haworthiopsis(旧 Haworthia subgenus Hexangulares)へ、大型で硬質な仲間は Tulista(旧 subgenus Robustipedunculares)へ移り、残ったのが軟葉系・万象・玉扇を含むグループです。十二の巻やアテヌアータの記事で属名の書き換えが話題になるのに、オブツーサでその話をあまり聞かないのは、単純にオブツーサの属名が変わらなかったからです。
もう一段おりると、オブツーサは独立した種ではありません。Haworthia cooperi(クーペリー)という 1 つの種の下にある、変種(variety)という階級に置かれています。
H. cooperiは種、var. truncataはその種に含まれる変種です。var. cooperiは同じ種の基本変種で、var. truncataの親にあたる別種ではありません。
クーペリー 13 変種のなかでの位置
var. truncataこの頁 SUBJECT

オブツーサ var. truncata
丸い葉先扇状の脈縁の毛は目立たない
var. cooperi基準の変種 TYPE

クーペリー var. cooperi
種の基準株ごとの違いが大きい同種に含まれる基本変種
var. pilifera姉妹の変種 SIBLING

ピリフェラ var. pilifera
葉先に毛(ノギ)窓は控えめ混同されやすい
var. venusta姉妹の変種 SIBLING

ベヌスタ var. venusta
全体が白い毛かつては独立種質感で分かる
2026年7月のGBIF照会では、クーペリーの受理変種は13です。その中にvar. cooperiとvar. truncataが含まれます。
分類の範囲は資料ごとに読み、数字の一致だけで将来も不変とは考えません。
上のカードは、そのうち流通で目にしやすい 4 つです。葉先に毛が伸びるピリフェラ、全身が白い毛におおわれるベヌスタ、見比べると、オブツーサの「毛が目立たず、葉先が丸くふくらむ」という性格が輪郭を持ちます。
ただし変種どうしの境目は連続的で、中間的な株はどちらとも決めきれません。
13 変種の一覧
| 変種名 | 備考 |
|---|---|
| var. cooperi | 基準となる変種 |
| var. dielsiana | Poelln. 記載 → Bayer が組み替え |
| var. doldii | Bayer 記載 |
| var. gordoniana | Poelln. 記載 → Bayer が組み替え |
| var. gracilis | 旧 H. gracilis(種から変種へ移動) |
| var. isabellae | Poelln. 記載 → Bayer が組み替え |
| var. leightonii | G.G.Sm. 記載 → Bayer が組み替え |
| var. picturata | 崖に固有。SANBI が詳細ページを持つ |
| var. pilifera | 葉先に毛(ノギ)が伸びる |
| var. tenera | Poelln. 記載 → Bayer が組み替え |
| var. truncata | オブツーサ — この頁の主題 |
| var. venusta | 旧 H. venusta。全体が白い毛におおわれる |
| var. viridis | Bayer 記載 |
記載と照合の詳細
一覧を眺めると、多くの変種が「かつて別の名前だったものを Bayer が H. cooperi の下へ集めた」結果であることが見えてきます。旧 Haworthia gracilis は種から変種へ移り、その変種たちもまとめて H. cooperi の変種になりました。
ハオルチアで種の数え方が人によって大きく違うのは、こうした「まとめるか、分けるか」の判断が研究者ごとに異なるからです。日本では林の 546 種、細分派のBreuer の 366 種、統合派のBayer の 60 種という 3つある見解が知られています。
参考までに、3 属へ分割したあとの Haworthia に限れば、SANBI は38 種・131 分類群としています。
人気の厚さと、野生記録の薄さ
流通と野生記録のギャップ
FIG.02Asymmetry
2026年7月24日のiNaturalist照会はvar. truncataで20件でした。野外と栽培の観察を含む登録の内訳として読みます。
この照会には鉢植えの栽培個体が多く含まれています。別に記録した出品304件・落札770件とは取得日もサービスも対象も異なります。
登録観察数から、販売株の産地や来歴を確認できないとは結論できません。個々の販売者が示す親株・増殖の記録を確かめます。
2026年7月の出品件数と野外記録数は、異なる仕組みで集まったデータです。流通量の多さと野外での生育数を同じ尺度で比べず、集計日と対象を確認します。
まとめ
丸い窓に見える脈を追い、濃い緑の側面と見比べる。窓の明るさだけに頼らず、鉢と新葉の状態を見ながら育てます。
オブツーサという呼び名と学名を分ければ、似た株の比較も楽しめます。
よくある質問
オブツーサの正しい学名は何ですか?
日本の流通で一般に対応するのはHaworthia cooperi var. truncataです。オブツーサという呼び名自体は学名のように範囲が固定されていないため、販売株の由来も確認します。
では Haworthia obtusa はどの植物ですか?
採用する分類ではHaworthia cymbiformis var. obtusaに結び付く名前です。売り場のオブツーサと同じ文字でも、学名の指す位置を分けて読みます。
オブツーサは何℃まで耐えられますか?
この分類群に固有の耐寒限界は示されていません。凍結を避け、夜の窓際の冷えと鉢の乾き方を確認します。
クーペリーとオブツーサは別の植物ですか?
オブツーサはクーペリーの変種のひとつとして扱われます。親種にはさまざまな葉形や毛の状態が含まれるので、親種を尖葉・有毛だけで代表させません。
買った株が本当にオブツーサか自信がありません。
丸い葉先、窓の脈、葉縁の毛、株全体を比べます。名札と親株や増殖の記録があれば、一緒に確認してください。
関連記事
道具はここに集約ハオルチアの育成環境と道具|置き場所から選ぶLED・土・鉢・棚
銘の選び方オブツーサの種類と違い|紫・黒・錦・ドドソンを現品で選ぶ
見分けの実務クーペリー系の見分け方|オブツーサ・シンビフォルミス・レツーサを 3 つの軸で分ける
全体像ハオルチアの種類と選び方|窓・葉の形から比べる図鑑
出典
- GBIF Backbone Taxonomy — Haworthia cooperi var. truncata(taxonKey 2780107・status ACCEPTED・rank VARIETY)、その異名 2 件(Haworthia obtusa f. truncata H.Jacobsen / Haworthia ikra Breuer)、および分布(WCVP: Cape Provinces / SANPC: Eastern Cape, ZA)。gbif.org(2026-07-24 照会)
- GBIF Backbone Taxonomy — Haworthia obtusa Haw.(1825)は SYNONYM、受理名は Haworthia cymbiformis var. obtusa (Haw.) Baker(J. Linn. Soc., Bot. 18: 209, 1880)。および Haworthia cooperi の受理変種 13(2026-07-24 照会)
- World Flora Online(2026-06 分類版)— Haworthia cooperi var. truncata (H.Jacobsen) M.B.Bayer / wfo-0000650039。worldfloraonline.org
- SANBI PlantZAfrica — Haworthia genus(属の 3 分割 Haworthia / Haworthiopsis / Tulista、38 種・131 分類群、年降水量およそ 200〜800mm、属名は Adrian Hardy Haworth への献名)。pza.sanbi.org
- SANBI PlantZAfrica — Haworthia cooperi var. picturata(13 の認められた変種、南向きの石英質砂岩の崖、標高 400〜1,000m、年降水量 300〜400mm、夏 35〜40℃・平均日最高気温は約27℃/平均日最低気温は約12℃・霜は降りない、栽培では霜・過度の日射・過湿から守る、窓が内部組織へ光を通す、乾期の紫化、株元からの仔吹き、種小名 cooperi は Thomas Cooper への献名)。pza.sanbi.org
- iNaturalist — Haworthia cooperi truncata(taxon 599561)の観察は全 20 件、大半が栽培個体として登録(2026-07-24 実測)。inaturalist.org
- aucfan — 「オブツーサ」の出品 304 件 / 直近 30 日の落札 770 件(取得日 2026-07-19・検索一致の総件数で表記揺れや別品種の混入を含む参考値)。aucfan.com
- Wikimedia Commons — この頁の写真のライセンス・作者・現行の分類カテゴリは Commons API(
prop=imageinfo|categories)で実測(2026-07-24)。commons.wikimedia.org
資料を読むときの補足
学名記録と別変種picturataの参考資料
学名はGBIFとWorld Flora Onlineの記録で照合。ここに比較資料として載せた標高400〜1,000mと年降水量300〜400mmは、SANBIのvar. picturataだけの記述です。
H. cooperi種全体やvar. truncataの値としては扱いません。
学名の来歴 — 2段階でできている
1955 年
Haworthia obtusa f. truncata H.Jacobsen として記載(品種=forma の階級)
1999 年
M.B.Bayer が『Haworthia Revisited』で H. cooperi の変種へ組み替え
現在
Haworthia cooperi var. truncata(H.Jacobsen)M.B.Bayer = 受理名
著者引用
丸括弧の H.Jacobsen = 最初の命名者/その後の M.B.Bayer = 組み替えた人
いまの学名は、1955 年に付いた名前を 1999 年に別の階級へ移した結果できたもので、2 人の名前が並んでいるのはそのためです。植物の学名には、うしろに命名者の名前が付きます。
Haworthia cooperi var. truncata (H.Jacobsen) M.B.Bayer という表記は、「もともと H.Jacobsen が付けた名前を、M.B.Bayer が別の位置へ移した」という履歴をそのまま表しています。丸括弧に入っている方が最初の命名者です。
この履歴を知っておくと、古い本や海外のサイトで Haworthia obtusa f. truncata という表記に出会っても戸惑いません。同じ植物の、古い呼び方です。
もう 1 つ、GBIF は異名として Haworthia ikra Breuer も挙げています。ハオルチアには種を細かく分ける立場の研究者がいて、そこで立てられた名前が、別の立場の整理では異名の側に落ちる、ということが実際に起きています。
ハオルチアの学名は「正解が 1 つに決まっている」世界ではない、という感覚を持っておくのが大切です。
自生地 — 環境がこの姿をつくった
WHERE
picturataの崖(比較資料)
picturataの記載。truncataはBayerが草のある平坦な岩場の集団として説明する。
HOW MUCH
picturataの年雨量300〜400mm
picturataの資料値:標高400〜1,000m、年間に雨がある。truncataの気候値へ転用しない。
SO WHAT
窓・低い姿・群生
比較している生育地・葉の説明はpicturataの資料。truncataの葉形は写真と変種記載で見る。
Bayerのvar. truncataの項は、草のある平坦な岩場の集団を記しています。SANBIのpicturata頁が説明する日陰の崖とは、扱う変種が異なります。
窓の形を知るときも、出典の学名まで確かめましょう。
葉の内曲や通年の雨、崖での群れ方はpicturataの解説です。var. truncataに同じ生態がある証拠として使わず、葉の形は掲載写真とBayerの変種記載を見比べます。
耐寒性と越冬 — 言えることと、言えないこと
気温
ピクツラータの自生地に記された気温
truncataの適温・耐寒限界ではなく、別変種の気候資料
平均日最低気温
資料の値約12℃
平均日最高気温
資料の値約27℃
夏の気温は35〜40℃、冬は涼しく無霜との記述。これらはpicturataの生育地についての値で、12〜27℃という連続した適温帯を示すものではありません。
無霜や日平均気温の図は、SANBIがvar. picturataの自生地について記した比較資料です。var. truncata専用の耐寒限界を示すものではありません。
夜間最低温度を確認し、凍結を避けて管理します。オブツーサ固有の耐寒限界を一律の数字で置かず、冬の置き場所と水やりと個別資料を参照します。
picturataの崖での葉の位置(比較資料)
FIG.01Section
上 / Window
葉先の窓だけが表に出る
picturataの説明では窓から光を取り込む
中 / Body
葉の本体は岩の裂け目の中
乾燥と強光から守られ、水分をためる
下 / Root
根は割れ目の奥へ固く
崖にしがみつき、少ない水をとらえる
SANBI var. picturataの記述にもとづく比較図。var. truncataの生育地や植え方の図ではない
概念図
Field Note出典と確認日
画像クレジット
この頁の写真はすべて Wikimedia Commons / iNaturalist の CC ライセンス画像です(PD/CC0/CC BY/CC BY-SA のみ採用・ND/NC は不採用)。本文中の写真は個別クレジットを写真の下に表示しています(図解内の拡大写真と品種カードの写真を除く)。
品種カードの写真の出典は次のとおりです。
オブツーサ(カード): Photo: Zinogre / CC BY-SA 4.0, via iNaturalist
クーペリー(カード): Photo: Abu Shawka / CC0, via Wikimedia Commons
ピリフェラ(カード): Photo: Agnieszka Kwiecień (Nova) / CC BY 2.5, via Wikimedia Commons
ベヌスタ(カード): Photo: Abu Shawka / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
扉と窓の拡大(Tariskal / CC0)は同一の原本で、拡大はその一部を切り出したものです。
画像クレジット一覧もあわせてご覧ください。
追加照合した資料の範囲
truncataはH. cooperiの変種。親種の全形態を特定の掲載株に代表させず、変種名と流通株の由来を分けて読む。
本文の出品・観察件数は元の調査日を保持。写真の同定名は掲載元の記録によります。


















