選び方・比較9 章約13分で読めます
ハオルチアの軟葉系と硬葉系の違い|窓・疣・学名で見分ける
葉先の窓が光を通すぷっくりした葉と、白い疣が帯のように並ぶ硬く尖った葉。売り場では前者を軟葉系、後者を硬葉系と呼び分けますが、札の学名は旧属名の Haworthia のままのことも多く、今の学名は Haworthia・Haworthiopsis(ハオルチオプシス)・Tulista(トゥリスタ)に分かれます。葉先の窓、葉の硬さ、名札の学名の順に見れば、手元の株を図鑑のどの入口から調べるかが決まる。
見分けの要点
- 軟葉系・硬葉系は売り場の呼び方。学名では、軟葉系はおもに Haworthia、硬葉系は Haworthiopsis と Tulista に分かれる
- 見る順は、葉先の窓 → 葉の硬さ → 名札の学名と白い模様。見分ける順番の流れ図へ。竜鱗のように窓を持つ硬葉系もある
- 光・水・冬の管理は属の名前で一律に決めず、置き場の明るさ、鉢の乾き、新しい葉の様子で決める
軟葉系・硬葉系と学名の対応
軟葉・硬葉は葉の手ざわりで分けた園芸の呼び方。南アフリカの植物研究機関 SANBI は、Haworthiopsis の葉を Haworthia より硬く丈夫で表皮が厚い、Tulista の葉をほかの2属より大きいと説明しています。属の境目は花のつくりと DNA の比較で引かれていて、葉の手ざわりだけでは決まらない。
写真で比べる|窓、白い模様、大きな葉
オブツーサHAWORTHIA

オブツーサ Haworthia
丸い窓軟葉系
玉扇HAWORTHIA

玉扇 Haworthia
平らな窓の面二列の葉
十二の巻HAWORTHIOPSIS

十二の巻 Haworthiopsis
白い横帯硬く尖る葉
竜鱗HAWORTHIOPSIS

竜鱗 Haworthiopsis
格子の窓硬く反る葉
マルギナータTULISTA

マルギナータ Tulista
疣の無い葉白い縁
プミラTULISTA

プミラ Tulista
丸い疣が散る札は旧属名
写真:オブツーサ Tariskal(CC0・原典)/玉扇 Salicyna(CC BY-SA 4.0・原典)/十二の巻 Abu Shawka(CC BY-SA 4.0・原典)/竜鱗 stephen boisvert(CC BY 2.0・原典)/マルギナータ Abu Shawka(CC0・原典)/プミラ Consultaplantas(CC BY-SA 4.0・原典)。いずれも Wikimedia Commons。表示に合わせて縮小し、プミラは正方形に切り抜き。
ハオルチア(Haworthia)|葉先の窓を透かす
オブツーサの丸い窓、玉扇の平らな窓の面。株の向こうに光を置いて逆光で眺めると、窓がぱっと明るくなり、内側の脈や線が浮かびます。窓の形は丸・三角・平らと種類で違い、その違いが図鑑で名前を探す入口になる。
紫やブラックなど、オブツーサの呼び名の違いはオブツーサの種類と違いで比べられます。
ハオルチオプシス(Haworthiopsis)|白い模様と硬い葉
十二の巻は葉の外側に白い疣が帯になり、竜鱗は葉の上面に格子の線が走る。模様の無い種類もあり、ビスコーサは三角の硬い葉が三列に重なり、瑠璃殿は葉と同じ色の畝が横に並びます。白い模様の有無より、葉の硬さと尖った先が硬葉系に共通する見どころです。
トゥリスタ(Tulista)|大きな葉と株
写真のマルギナータは青緑の葉が白い縁で光り、疣はほとんど無い。プミラは丸い疣が帯にならずに散り、SANBI は Tulista の葉をほかの2属より大きいと説明しています。ロゼットは種類により最大で高さ 15〜25cm になり、英国の RHS にも旧名 Haworthia pumila の植物ページがあります。
見分ける順番|葉先、硬さ、名札
葉の見た目と名札から、図鑑の入口を選ぶ
Q1葉先に、光を通す窓がある?株の向こうに光を置いて、逆光で葉先を見る。窓は丸・三角・平らな面など形がいろいろ。
格子の窓・硬く反る葉竜鱗(硬葉系)も候補格子や網目の窓は軟葉系にもある。葉が硬く外へ反るなら竜鱗の図鑑も開く。
窓が見えないQ2へ葉が重なって葉先が隠れていないかも確かめる。
Q2葉は硬く、先が尖る?葉は押さずに、反り・縁・表皮のつやで見る。白い模様の有無はここでは問わない。
硬く尖る硬葉系の候補Q3 で名札と模様を見る。
やわらかく汁気がある軟葉系の候補ハオルチアの種類と選び方で、窓や葉の形から探す。
緑は進む先の候補、金は追加で見る所。
流れ図は図鑑の入口を選ぶための順番。名前を一つに絞るのは、名札の学名と各図鑑の写真を合わせてからです。
名札が無い株を調べる手順
- 株を真上・横・葉先の拡大で撮る。葉は曲げず、鉢を回して見える面を増やす
- 流れ図で、軟葉系・硬葉系・Tulista のどの入口から調べるかを決める
- 図鑑の写真と窓・模様の形を比べて候補を二つまで残し、名前辞書で和名と学名もたどる
花が咲いたら|属の決め手は花の形
| 属 | 花の付け根 | 花の筒 |
|---|---|---|
| Haworthia | 断面は三角〜丸みのある三角。花柄へ次第に細まる | 曲がる |
| Haworthiopsis | 断面は六角。花柄へ次第に細まる | 資料で書き方が分かれる |
| Tulista | 断面は丸みのある六角で、幅が広いまま花柄に接する | まっすぐ |
花はどの属も白っぽい小さな筒形。付け根の断面が三角か六角かは、資料の間で一致している手がかりです。筒の曲がり方は、Haworthiopsis について「まっすぐ」とする資料と「曲がる」とする資料があるので、付け根の形と合わせて見ます。
窓だけで決めない|竜鱗は窓を持つ硬葉系
オブツーサ と 竜鱗 — どちらも窓を持つ
オブツーサ 軟葉系
学名
Haworthia cooperi var. truncata
窓の形
葉先が丸くふくらみ、全体が透ける
葉の質感
やわらかく汁気が多い
葉の向き
上を向いて丸く集まる
竜鱗 硬葉系
学名
Haworthiopsis tessellata
窓の形
三角の葉の上面に、格子の模様の窓
葉の質感
硬い
葉の向き
外へ反る
SANBI は Haworthiopsis の解説で、竜鱗の葉の上面に網目の窓があること、コエルマニオルムも窓を持つことを挙げる。格子や網目の窓は、玉扇やエメリアエなど軟葉系にもあります。竜鱗の手がかりは、硬く外へ反る三角の葉と、上面全体に入る格子の組み合わせです。
葉の表と裏も見る
白い疣が葉の外側だけに並ぶか、上を向く面にも散るか。硬葉系の似た組は、この違いで分けられることがあります。十二の巻とアテヌアータの分け方は十二の巻とアテヌアータの違いで写真と照合できます。
名札の読み替え|硬葉系のおもな種類と今の学名
| 名札の学名 | 今の学名 | 流通名 |
|---|---|---|
| Haworthia fasciata | Haworthiopsis fasciata | 十二の巻 |
| Haworthia attenuata | Haworthiopsis attenuata | アテヌアータ |
| Haworthia limifolia | Haworthiopsis limifolia | 瑠璃殿 |
| Haworthia viscosa | Haworthiopsis viscosa | ビスコーサ |
| Haworthia reinwardtii | Haworthiopsis reinwardtii | レインワルディ |
| Haworthia tessellata・H. venosa subsp. tessellata | Haworthiopsis tessellata | 竜鱗 |
| Haworthia pumila・H. maxima・H. margaritifera | Tulista pumila | プミラ |
| Haworthia marginata | Tulista marginata | マルギナータ |
| Haworthia cooperi var. truncata | 変わらない | オブツーサ |
| Haworthia obtusa | H. cymbiformis var. obtusa の異名。オブツーサの学名ではない | シンビフォルミスの仲間 |
旧属名の名札は誤りではなく、同じ植物の古い組み合わせ。属名が違っても種小名(fasciata など)が同じなら、ハオルチアの名前辞書で今の学名と和名をたどれます。札の「三角オブツーサ」はビスコーサを指す流通名で、松の雪・九輪塔のような和名の札も、辞書で学名に読み替えられます。
名前の来歴
属名 Haworthia は、19世紀前半の多肉植物の研究者エイドリアン・ハーディ・ハワースにちなむ。長くこの一つの属に軟葉も硬葉も入っていましたが、2013 年に Rowley が亜属だった硬葉の群を Haworthiopsis と Tulista として独立させ、2014 年の Manning らの分子系統の研究が今の3属の範囲を示しました。名札や古い図鑑に硬葉系の旧属名 Haworthia が残るのは、このためです。
自生地
Haworthia は南アフリカ共和国の固有で、北・西・東ケープ州を中心に分布する。Haworthiopsis は東ケープ州を中心にナミビア南部やエスワティニまで広がり、Tulista の4種はすべて西ケープ州に限られます。
育て方は属で決めない|置き場と株で決める
LIGHT
光
明るい間接光が基本。直射への強さは種類ごとに違い、瑠璃殿のように直射で葉が焼けやすい種類もある。暗い所から直射の入る所へ移す時は、数週間かけて慣らす。
WATER
水
育っている間は用土が乾いてから与え、休んでいる間は控える。育つ時期の見方は資料で分かれるので、新しい葉が出ているかで判断する。
WINTER
冬
凍結を避ける。最低温度は株を置く高さで測る。評価のある種類では、耐寒の区分に軟葉・硬葉の差がない。
耐寒性
英国の RHS が耐寒性を評価した8種(クーペリー・寿・玉扇・エメリアエ・アテヌアータ・十二の巻・瑠璃殿・プミラ)は、どれも H2。凍らせると枯れる区分で、最低 1〜5℃ にあたります。室内の管理としては、属のガイドが冬も 10℃ 以上を保つよう案内しています。
置き場ごとの光の判断と水やりの手順はハオルチアの育て方へ。窓辺の光が届かない棚に置くなら、照明の選び方は育成環境と道具のガイドへ。
よくある質問
ハオルチアの軟葉系と硬葉系の違いは?
葉がやわらかく窓を持つ種類が多い群を軟葉系、葉が硬く尖る群を硬葉系と呼ぶ、売り場の呼び分けです。学名では軟葉系はおもに Haworthia、硬葉系は Haworthiopsis と Tulista に分かれます。
窓がある株は軟葉系?
多くは軟葉系ですが、竜鱗(Haworthiopsis tessellata)のように窓を持つ硬葉系もあります。葉の硬さと名札の学名を合わせて見ます。
名札の Haworthia fasciata は間違い?
旧属名の組み合わせで、今の学名は Haworthiopsis fasciata です。ただし十二の巻の札の株に、よく似たアテヌアータが混ざることもあるので、葉の上面の疣も見ます。
硬葉系と軟葉系で育て方は違う?
呼び方で一律には変えません。直射への強さや育つ時期は種類ごとに違い、軟葉か硬葉かでは分かれないためです。
次に読む
01
ハオルチアの種類と選び方
窓の形や葉の並びの好みから、品種の図鑑へ進む。
02
十二の巻とアテヌアータの違い
硬葉系で取り違えの多い組を、葉の上面で比べる。
03
クーペリー系の見分け方
オブツーサ・ベヌスタ・ピリフェラなど、軟葉系の似た仲間を分ける。
04
ハオルチアの名前辞書
和名・学名・流通名から、今の学名と図鑑をたどる。
出典と確認日
分類・形態・管理の出典(2026年10月17日確認)
- Manning ら(2014)Systematic Botany 39(1): 55–74 — Haworthia・Haworthiopsis・Tulista の範囲(旧亜属との対応)、Rowley(2013)の扱い、属の検索表と花の形(本文で確認)
- Gildenhuys と Klopper(2016)Phytotaxa 265(1): 1–26(Haworthiopsis の分類・Plazi 収録の本文) — 花の付け根が六角で花柄へ細まること、花の筒は「まっすぐ、または曲がる」、一部の種の葉の上面に窓
- Bayer と Van Jaarsveld(2019)Illustrated Handbook of Succulent Plants: Monocotyledons(Haworthia の章) — 旧3亜属の花の付け根の形(三角・六角・丸みのある六角)と花の筒の記載
- SANBI PlantZAfrica:Haworthia genus(Klopper と Gildenhuys・保存版 2020-10) — 3属への分割と旧亜属の対応、葉の硬さの違い、花の付け根の断面(三角と六角)、属名の由来、自生地(南アフリカ固有)
- SANBI PlantZAfrica:Haworthiopsis(Klopper と Gildenhuys・保存版 2019-10) — 葉が硬く表皮が厚いこと、窓を持つ種類(竜鱗・コエルマニオルム)、自生地
- SANBI PlantZAfrica:Tulista(Klopper と Gildenhuys・保存版 2019-10) — 葉がほかの2属より大きいこと、ロゼットの高さ(最大 150〜250mm)、marginata の葉に疣がふつう無いこと、pumila の疣が丸く帯にならないこと、花の付け根、4種とも西ケープ州
- SANBI PlantZAfrica:Haworthiopsis limifolia(保存版 2022-07) — 直射で葉が白や黄に焼けること
- RHS:Haworthia(室内植物の属のガイド) — 明るい間接光、冬も 10℃ 以上、育っている時と休む時の水やり
- RHS:Haworthiopsis attenuata(植物ページ) — 耐寒性 H2(評価のある8種:Haworthia cooperi・retusa・truncata・emelyae、Haworthiopsis attenuata・fasciata・limifolia、Tulista pumila)
- RHS:Tulista pumila/旧名 Haworthia pumila(pearl plant)の植物ページ — 旧名 Haworthia pumila の植物ページがあること、耐寒性 H2
- University of Wisconsin–Madison:Haworthias, super succulents for small spaces — 冬に直射の少ない所にいた株を、数週間かけて直射へ慣らすこと
- ハオルチアの名前辞書(GBIF Backbone で照合・2026-07-24) — 旧属名と今の学名の対応、和名・流通名の札(三角オブツーサ・松の雪・九輪塔など)
- POWO(Plants of the World Online):Haworthiopsis — 受理名(tessellata・fasciata・attenuata・limifolia・viscosa・reinwardtii)と分布(POWO は自動の取得を断るため、IPNI の同じ名前の記録でも確認)
- POWO:Tulista — 受理名(Tulista pumila・marginata)、Haworthia maxima と H. margaritifera が T. pumila の異名であること、分布(POWO は自動の取得を断るため、IPNI の同じ名前の記録でも確認)
- IPNI:Haworthiopsis G.D.Rowley/Tulista Raf. — 属名の発表(Rowley 2013 による Haworthiopsis の新設)


















