ムチカ(Haworthia mutica)|断ち切られた葉先と、評価が「判定不能」になった理由
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ムチカHaworthia mutica / ハオルチア・ムチカ
系統軟葉系
自生地南ア 西ケープ州
見分けの鍵断ち切られた葉先
ムチカは、厚い葉の先がすっぱり断ち切られたように平らになり、その面に淡い筋が走る軟葉系のハオルチアです。とがった先端が無いぶん輪郭が静かで、鉢に一株あるだけでも絵になります。透明感より、面と質感で見せる株がほしい方に向く種です。名前と評価をめぐる込み入った来歴も、この頁でひととおりたどれます。
この記事でわかること
- 評価が 危急(1996・2009)→ 判定不能(2014) へ動いた理由と、それでも個体群は減少中と書かれていること
- 種小名 mutica が指しているのが「有るもの」ではなく「葉先が尖っていない」という無いものだということ
- 2011 年に記載された Haworthia groenewaldii を、主要な照合先 4 つがそろってムチカと同じものとして扱っていること
- それでも写真アーカイブでは14 枚のうち 9 枚が別名で並んでいるという、名前と現場のずれ
ムチカとは — 「危急」から「判定不能」へ移された種
この頁 / SPECIES
ムチカという「種」の全体像
評価が動いた経緯・名前の往復・2011 年の隣人・在庫の名義の内訳。「この植物は何者か」を知りたい人のための頁です。
別の頁 / MAP
ハオルチアの種類総覧
軟葉系・硬葉系・万象・玉扇という系統の地図。ムチカが軟葉系のどこに座るかを俯瞰したい方はこちらから。
別の頁 / NAMES
名前の対照表
和名・学名・異名を横断検索できる辞書。ラベルの学名だけを突き合わせたいときは、この頁が最短です。
上の 2 枚目・3 枚目はそれぞれ別の記事です — ハオルチアの品種と系統の全体像 と ハオルチアの名前の対照表 からどうぞ。
まず、この植物の立ち位置をはっきりさせておきます。ムチカは、葉が硬く厚い硬葉系ではなく、葉がやわらかく光を透かす軟葉系のハオルチアです。軟葉系のなかでも、レツーサ(寿)・ピグマエア(延寿城)・ミラビリス・エメリアエ(宝の寿)と並ぶレツーサ群と呼ばれる一群に入ります。この群の植物はどれも、葉の先端が断ち切られたように平らになり、その面が窓として光を採るという共通の作りを持っています。
そして、この群には共通の事情があります。顔がよく似ていて、境目がはっきりしないのです。どれくらいはっきりしないかは、南アフリカの評価機関がそのまま書いています。南アフリカ国家生物多様性研究所(SANBI)のレッドリストは、ムチカの全国評価を「Data Deficient – Taxonomically Problematic(データ不足 — 分類学的に問題あり)」としています(評価日 2014 年 3 月 24 日、評価者は L. von Staden、R.R. Klopper、J.C. Manning の 3 名)。理由は、変異が大きく、とくに東側に分布するレツーサ、そしてミラビリスとピグマエアの一部の型と区別しにくいため、分類が解決するまで絶滅リスクを評価できないというものです。
TAXONOMY / MEASURED 2026-08-14
ムチカは軟葉系のレツーサ群にいる — 図に出る隣は 4 種
ツルボラン科 AsphodelaceaeALOOIDS
ハオルチア属 HAWORTHIA(軟葉系)/ 2013〜2016 年の 3 属分割後も残留
近い群 SAME SECTION
属の所属と受理状態は GBIF Backbone(H. mutica = usageKey 2780094 / status ACCEPTED)、評価文と評価日は SANBI 南アフリカ植物レッドリストを 2026-08-14 に照会した実測値
ここで大事なのは、評価がいつも「判定不能」だったわけではないという点です。同じ SANBI の頁には、過去の評価履歴が残っています。1996 年の評価(Hilton-Taylor)では「Vulnerable(危急)」、2009 年の評価(Raimondo ほか)でも「VU」で、しかも 2009 年のほうには A2bc; B1ab(ii,iii,iv,v) という具体的な基準まで付いています。18 年ぶんの評価が積み上がっていたところへ、2014 年に「評価できない」という判断が上書きされたという順序です。
そして、この「判定不能」は「安心してよい」という意味ではありません。同じ評価頁は、個体群動向を Decreasing(減少)と記録し、脅威として農業(とくに小麦と果樹の栽培)と道路建設による過去の広範な生育地の消失を挙げ、農業拡大による減少は現在も進行中と書いています。減っていることは分かっている。どのくらい危ないかが決められない——これが 2014 年以降のムチカの状態です。この記事は、その一点を軸に組み立てました。
基本情報 — 学名・自生地・耐寒性
ムチカの基本データ
Quick Spec
受理名
Haworthia mutica Haw.
記載
Haworth・1821 年(書誌名は資料で 2 通り)
科
ツルボラン科(Asphodelaceae)
系統
軟葉系(Haworthia 狭義 / レツーサ群)
シノニム
6 件(GBIF)。うち groenewaldii と otzenii は別種として立てられた名前
受理変種
基本変種 var. mutica のみ
自生地
南アフリカ固有。西ケープ州のみ(SANBI)
分布の範囲
Bredasdorp から Heidelberg まで(SANBI の記載どおり)
生育環境
岩がちの頁岩(シェール)の尾根。植生区分はフィンボス
草姿
無茎。自生地では仔を出さないロゼット(Bayer 1999)
ロゼット径
6〜8 cm(Bayer 1999『Haworthia Revisited』)
葉
12〜15 枚。葉先が断ち切られ鈍く終わる。透明度は低く、面に数本の縦線(同上)
花
花序は分枝せず高さ 20 cm まで。花は白く褐色の脈(同上)。花期の月は確認できず要確認
タイプ標本
原標本は現存せず。レクトタイプはキューにある図(icon)(Bayer 1999)
越冬の目安
属全体の一般指針として最低 3〜5℃ を下回らない要確認
保全評価(現行)
Data Deficient — Taxonomically Problematic(SANBI・2014-03-24)
保全評価(過去)
VU(危急)— 1996 年・2009 年の 2 回
個体群動向
Decreasing(減少)(SANBI・2014 年評価)
主な脅威
農業(小麦・果樹)と道路建設による生育地の消失。減少は進行中
出現記録
GBIF 69 件(標本 32 / 観察 23 ほか)。iNaturalist 37 件
語源
「先端が無い」— 丸く終わる葉先に由来する、と Bayer が注記
流通名
ムチカ。定着した和名は確認できず要確認
この表で数値が入っている欄には、ほぼ同じ出典が付いています。ロゼットの径、葉の枚数、花序の高さ、花の色——これらはいずれも Bruce Bayer の『Haworthia Revisited』(1999)の記載から採りました。Bayer 自身が全文を公開しているテキストで、SANBI のレッドリストもこの本を参考文献に挙げています。ただし査読誌ではなく、分類学者ひとりの改訂です。出典のある記述ではありますが、唯一の正解ではありません。
公的機関の側には、この種の解説頁がありません。竜鱗や瑠璃殿には、SANBI が運営する PlantZAfrica というサイトに種ごとの解説頁があります。ところがムチカには、その頁がありません。2026-08-14 に確認したところ、pza.sanbi.org/haworthia-mutica も、変種名や隣の名前でたどった haworthia-retusa-var-mutica・haworthia-groenewaldii も、いずれも HTTP 404 でした。同じサイトの haworthia-retusa-var-turgida と haworthiopsis-limifolia は 200 で開きます。サイトの障害ではなく、この種の頁が作られていないということです。
その結果、書けない項目も残ります。とくに花期(何月に咲くか)と、栽培の具体的な数値——越冬温度・遮光率・灌水の頻度・用土の配合——は、種固有の一次情報が確認できませんでした。これらは「要確認」として空けたままにします。
もうひとつ、表のなかで異質な行があります。タイプ標本です。ふつう、学名にはその名前の基準となる標本(タイプ)が付いています。ところがムチカの原標本は保存されておらず、名前の基準になっているのは「キューにある図(icon)」です(Bayer 1999 の記載)。1821 年に付けられたこの名前は、押し葉ではなく 1 枚の絵に紐づいているということになります。のちに Bayer と Manning が Bredasdorp–Swellendam 間で採った標本をエピタイプ(補助の基準標本)として指定していますが、出発点が図であるという事実は、この種の輪郭がぼやけやすいことと無関係ではなさそうです。
越冬温度についても、種固有の一次情報は確認できませんでした。自生地の側から言えるのは、SANBI が生育地を「岩がちの頁岩の尾根」、植生をフィンボスと記していることまでです。西ケープ州のフィンボス帯は冬に雨が来て夏が乾く気候区分にあたりますが、それは南アフリカの気候の話であって、日本の屋外で越冬できるという意味ではありません。属全体の一般指針としては最低 3〜5℃ が目安で、種固有の数値は要確認です。属全体の目安の根拠はハオルチアの越冬(耐寒性)にまとめています。
断ち切られた葉先 — 見どころが「無いもの」に置かれている
この写真で見てほしいのは、葉の「先が無い」ところです。多肉植物の葉は、ふつう先へ向かって細くなり、とがって終わります。ところがこの株の葉は、途中でぷつりと断ち切られたように終わり、その断面が平らな三角の面になっています。面はガラスをすりガラスにしたようにくもり、淡い縦の筋が数本走っています。葉のなかで、いちばん目に入るのが「終わり方」だという点が、この植物のいちばんの特徴です。
そして、種小名の mutica が指しているのも、まさにそこです。Bayer は『Haworthia Revisited』の本種の項で、この語を 「先端が無い(without a point)」 と注記し、さらに 1982 年の記述として 「この名前は、丸く終わる葉先から来ている」 と書いています。「何かが有る」ではなく「尖りが無い」で名づけられた種だということです。識別のよりどころが、最初から「欠けていること」に置かれている——この一点が、以下の章で見ていく話の見通しをよくしてくれます。
「無いもの」で見分けるのは、じつは難しいことです。白い疣が並んでいる、格子の紋が入っている、といった特徴は「有るか無いか」で判定できます。ところが「尖っていない」は程度の問題です。どこまで丸ければ「断ち切られた」と言えるのか、線を引く場所は見る人によって動きます。ムチカという名前が最初から「程度」の上に立っている——このことが、後の章で見る評価の揺れや、名前の往復と無関係ではない、というのがこの頁の見立てです。
見る場所
この記事の写真から
読み取れること
読み取れること
写真だけでは
決まらないこと
決まらないこと
葉の終わり方
断ち切られて平らな面になる
どこまで鈍ければこの種か
面の筋
淡い縦の筋が数本走る
本数・太さの範囲
株の高さ
地表すれすれで止まる
実寸(記載では径 6〜8 cm)
色
灰緑〜青灰。縁と先が赤褐色
光の量との対応
花
この 4 枚には写っていない
咲く月(記載に無い)
産地
写真からは分からない
ラベルの産地は同定の根拠にならない
左列は本記事に載せた 4 枚の写真の所見、右列は写真からは決まらない項目(かっこ内は Bayer 1999『Haworthia Revisited』の記載値)。写真の同定は撮影者・掲載カテゴリおよび iNaturalist の第三者同定によるものです候補として読む
レツーサ群のなかで「窓の質感」をどう見分けるかは、別の頁が受け持っています。面が粒立つのか、平滑でよく透けるのか、点が帯として連なるのかという三つの読み方は、エメリアエ(宝の寿)の頁に図解でまとめてあります。レツーサ(寿)とピグマエア(延寿城)の頁にも、それぞれの立場から見た比較の表があります。ここでは同じ表を繰り返さず、その表がなぜ「候補」までしか出せないのかを見ます。
名前の年表 — 種になり、変種になり、また種になる
ムチカの名前は 200 年で 2 度「レツーサの変種」へ落ち、そのつど種へ戻っている
FIG.01Timeline
第 1 期 記載
Haworth が Haworthia mutica として発表(1821)
1829 年に Aloe mutica の組合せも立てられる
第 2 期 まとめる
Baker が Haworthia retusa var. mutica へ(1896)
種から、レツーサの変種へ格下げ(1 回目)
第 3 期 分ける
別種 otzenii(1945)/ 変種 nigra(1999)が立つ
近い個体群に新しい名前が与えられていく時期
第 4 期 また揺れる
Halda が再び retusa var. mutica へ(1997)
2011 年には別種 groenewaldii が記載される
記載
まとめる動き(変種へ)
分ける動き(新しい名前)
概念図
ムチカという名前は、1821 年に Adrian Hardy Haworth が付けました。ハオルチアという属名の由来になった、あの Haworth です。書誌については、資料によって表記が 2 通りあります。GBIF は『Saxifragearum enumeratio』第 2 部 55 頁とし、国際植物名索引(IPNI)は『Revisiones plantarum succulentarum』55 頁とします。どちらも Haworth が 1821 年に出した同じ本を指していて(前者の後半に後者が収められています)、年も頁も一致しています。原典にはあたっていないため、書誌名は両方を併記します。
そこから先が、この種のややこしいところです。1896 年、Kew の J.G. Baker が『Flora Capensis』第 6 巻 346 頁で、ムチカをレツーサの変種——Haworthia retusa var. mutica ——として扱いました。独立した種ではなく、レツーサの中の一形態だという判断です。そしてその 101 年後、1997 年に J.J. Halda が、まったく同じ組み合わせを別に立てています(Acta Musei Richnoviensis 4(2): 49)。100 年をへだてた 2 人が、独立に同じ格下げをしたことになります。
| 階級 | 名前 | 誰が / いつ | いまの扱い(GBIF) |
|---|---|---|---|
| 種(受理) | Haworthia mutica Haw. | Haworth・1821 | 受理名(usageKey 2780094) |
| 種 | Aloe mutica (Haw.) Schult. & Schult.f. | Schultes 父子・1829 Syst. Veg. ed. 15[bis] 7: 635 | シノニム(アロエ属へ移した組合せ) |
| 変種 | Haworthia retusa var. mutica (Haw.) Baker | Baker・1896 Fl. Cap. 6: 346 | シノニム(格下げ 1 回目) |
| 種 | Haworthia otzenii G.G.Sm. | G.G.Smith・1945 J. S. African Bot. 11: 72 タイプは Bredasdorp 産(NBG) | シノニム(別種として立てられた) |
| 変種 | Haworthia mutica var. nigra M.B.Bayer | Bayer・1999 Haworthia Revisited 126 | のちに Bayer 自身が retusa 側へ移す(下記) |
| 変種 | Haworthia retusa var. mutica (Haw.) Halda | Halda・1997 Acta Mus. Richnov. 4(2): 49 | シノニム(格下げ 2 回目・1 回目の 101 年後) |
| 種 | Haworthia groenewaldii Breuer | Breuer・2011 Alsterworthia Int. 11(2): 15 | シノニム(次章の主題) |
| 変種(受理) | Haworthia mutica var. mutica | — | 基本変種 |
この表のなかに、写真選びに直接ひびいた行がひとつあります。Haworthia mutica var. nigra です。この名前は 1999 年に M.B. Bayer が『Haworthia Revisited』126 頁で立てたもので、当時はムチカの変種でした。ところが2012 年、Bayer 自身がこれを Haworthia retusa var. nigra として、レツーサの側へ移しています(Haworthia Update 7(4): 36)。現在 SANBI と GBIF が持っているのは、レツーサ側の名前です。
この揺れは、写真の説明文にも出ています。Wikimedia Commons にある Haworthia mutica var nigra というファイルは、説明が Haworthia mutica var. nigra と Haworthia retusa var. mutica の間で割れていて、同定が確定できません。揺れていたのは Commons ではなく、名前そのものだったわけです。同じ植物が 1999 年にはムチカの側、2012 年にはレツーサの側に置かれた——その両方の呼び方が、写真の説明文のなかで同時に生きていた、ということになります。
ここで、ハオルチア属全体の事情にも触れておきます。この属に何種あるかという問いには、研究者によって桁の違う答えが返ってきます。林雅彦氏は 546 種、Ingo Breuer 氏は 366 種、Bruce Bayer 氏は 60 種という数を示してきました。細かく分ける立場と、まとめる立場の幅です。SANBI の評価頁も、この属が「似ていることより変異のほうを重く見る名づけが過剰に増えてきた」状態にあると注記し(Bayer and Manning 2012 を引用)、種の概念を解決するには集団レベルの分子的手法による属全体の再検討が必要だとする J.C. Manning の見解(2014 年の私信)を載せています。ムチカの名前の往復は、その属全体の事情がひとつの種の上に現れたものと読めます。
2011 年の隣人 — groenewaldii という名前
2011 年 7 月、ひとつの名前が新しく立てられました。Haworthia groenewaldii Breuer です。発表されたのは Alsterworthia International 誌の 11 巻 2 号 15〜17 ページで、図版が添えられています。タイプ標本(ホロタイプ)は南アフリカの NBG(カーステンボッシュのコンプトン標本館)に収められ、標本番号は MBB 7801。採集したのは J. Groenewald という人物で、種小名はこの採集者にちなみます。産地は四分の一度方眼 3420(-BA)の Buffeljagsrivier と記録されています(いずれも IPNI の登録内容・2026-08-14 実測)。
つまりこれは、由来のはっきりした名前です。誰がいつどこで採り、どの標本館のどの標本を基準にしたかが、全部記録に残っています。「よく分からないまま流通している呼び名」ではありません。この点は最初に押さえておきたいところで、groenewaldii というラベルの付いた株を「怪しいもの」と考えるのは、この記事の立場ではありません。
| 項目 | Haworthia mutica Haw. | Haworthia groenewaldii Breuer |
|---|---|---|
| 発表 | 1821 年・Haworth | 2011 年 7 月・Breuer |
| 掲載誌 | Saxifrag. Enum. 2: 55 / Revis. Pl. Succ. 55 | Alsterworthia Int. 11(2): 15(–17, 図あり) |
| 名前の由来 | 本記事の照会範囲では未確認 | 採集者 J. Groenewald にちなむ |
| タイプ標本 | 本記事の照会範囲では未確認 | ホロタイプ NBG・MBB 7801 |
| タイプ産地 | 同上 | 3420(-BA), Buffeljagsrivier(西ケープ州) |
| IPNI id | 536142-1 | 77112613-1 |
| GBIF での扱い | 受理名(usageKey 2780094) | シノニム(usageKey 7603499 → 2780094) |
Breuer が 2011 年の原記載でどう記述したかは、その本文を参照していないため書けません。IPNI から取れるのは書誌とタイプ標本の情報までです。ただし、その後この植物を独立種と認めるかどうかをめぐって、公開の場で具体的なやりとりがありました。それは読める形で残っているので、「そう主張された」「そう反論された」という事実としてなら書けます。
| 独立種とする側が挙げた違い | Bayer の反論(2012) |
|---|---|
| 葉の表面に光沢がある | 要点は「光沢」と「花期」の 2 つに集約されると整理したうえで、いずれも種を分ける根拠にならないとする |
| 花期が違う(ムチカのほうが約 4 か月早い) | 4 か月早いこと自体は認める。ただし同じ地域の別種でも他地域と咲く時期がずれる例があり、種の識別形質にはならない |
| 蕾が魚の尾のような形になる | その主張の直後に、提唱者自身が「ムチカがどうかは実は知らない」と述べている |
| 若い葉が一貫して横にねじれる(螺旋する)。ムチカには出ない | ねじれはアロエ類全般に普遍で、近縁のミラビリスの成株にも出る。それを使うと属や科のレベルの差になってしまう |
| 葉に斑点が出る | 同じ斑点は別の産地のムチカにも出る(写真を添えて示す) |
この対立は、じつは形質の話ではありません。Bayer 自身が同じ記事で書いているとおり、争点は「そもそも種とは何か」にあります。一方は形質が種を定義するという標準的な見方に立ち、もう一方は種を地理的な分布とそこで働く環境の系として見る立場を採ります。前者に立てば、光沢や花期の違いは新種の根拠になる。後者に立てば、それは連続体のなかの局所的な現れにすぎない。同じ植物を見ていても、種の定義が違えば結論が変わるということです。
そして Bayer は、もっと踏み込んだことを書いています。ハオルチアにおいては形質によって種の輪郭を描くことがほとんど不可能で、機能する検索表を作ることに誰も成功していない、と。この属で長く仕事をしてきた研究者が、形質による線引きを断念すると明言している——それが現在の到達点だ、ということになります。
書けるのは、その後どう扱われたかです。そして、そこが本題になります。2026-08-14 に照会したかぎり、主要な照合先はそろって groenewaldii を「ムチカと同じもの」として扱っています。GBIF Backbone はシノニム、World Flora Online もシノニム、SANBI のレッドリストはムチカの Synonyms 欄に列挙、iNaturalist にいたっては groenewaldii という独立の taxon が存在せず、その名前で検索するとムチカの taxon に解決されます。名前の対照表でも、ムチカの行の異名欄に groenewaldii と otzenii が並びます。
ただし、これは「Breuer が間違っていた」という意味ではありません。ある名前を有効な種として認めるか、既存の種に含めるかは、その集団をどこまでの幅で見るかという判断です。細分派と統合派で種数が 546 と 60 のあいだで動く属では、この種の判断は日常的に起こります。
名前は畳まれ、写真は分かれたまま
| 照合先 | H. groenewaldii の扱い | 実測した値 |
|---|---|---|
| GBIF Backbone | シノニム | usageKey 7603499 → 受理 2780094(H. mutica) |
| World Flora Online(2026-06 版) | シノニム | wfo-0000921788。配置が …/Haworthia/mutica$Haworthia/groenewaldii |
| SANBI レッドリスト | シノニムとして列挙 | H. mutica の Synonyms 欄に H. otzenii とともに記載 |
| iNaturalist | 独立の taxon が無い | 名前で検索すると taxon 586793(H. mutica)に解決される |
| Wikimedia Commons | カテゴリは在るが空 | Category:Haworthia groenewaldii(pageid 39418818)はファイル 0 枚 |
ところが、写真の側は畳まれていません。Wikimedia Commons の Category:Haworthia mutica には、2026-08-14 時点で14 枚の写真が入っています。そのファイル名を数えると、9 枚(全体の 64%)がファイル名に groenewaldii または groenewaldtii を含みます。しかも綴りは 2 通りに割れていて、groenewaldii が 4 枚、groenewaldtii(d が 1 つ多い)が 5 枚です。純粋に mutica だけを名乗るファイルは 5 枚しかありません。
Commons「Haworthia mutica」カテゴリ 14 枚のファイル名の内訳(2026-08-14 実測)
FIG.02Names
逆に、標本と観察の記録の側では groenewaldii がまったく出てきません。GBIF に集まっているムチカの出現記録 69 件について、登録された元の学名(verbatim)を数えると、Haworthia mutica Haw. が 46 件、H. mutica var. mutica が 22 件、H. retusa var. mutica が 1 件で、groenewaldii という綴りは 1 件もありません。標本館と研究者が登録する側では、この名前はほとんど使われていないということになります。
整理すると、こういう地図になります。学名を管理する 4 つのデータベースは groenewaldii をムチカへ畳んだ。標本と観察の記録も ほぼムチカで統一されている。ところが写真アーカイブでは 3 分の 2 が別名のまま並んでいて、綴りまで割れている。名前の決着と、現場の呼び方のあいだに時間差がある——というのが、いまの状態です。
この記事の写真の選び方にも、そのことが効いています。ムチカのカテゴリは近縁の groenewaldii 個体が多数を占めるため、mutica / var. mutica と明示された個体だけを選びました。掲載した 4 枚はいずれも、ファイル名・説明文・分類カテゴリのどこにも groenewaldii の語を含みません。それでも「だから 4 枚とも確実にムチカだ」とは言えません — 写真の同定は撮影者と掲載カテゴリによるものだからです。
分布と保全 — 「判定不能」のまま減っている
この 1 枚は、鉢の上の姿とはずいぶん違います。株の本体は土のなかにあり、地表に出ているのは葉先の平らな面だけです。面は日に透けて飴色にひかり、周囲の乾いた土や白い石英のかけらとほとんど同じ色に見えます。言われなければ植物だと気づかないような写り方で、これが自生地でのふつうの姿です。窓は「光を採り込むための面」であると同時に、地面のなかに身を隠したまま光だけを受けるための仕組みだという説明が、この写真ではそのまま絵になっています。
ただし、これを栽培の指示として読まないでください。この写真から言えるのは、強い光と乾燥にさらされる場所では、この植物がこういう姿で見つかるということだけです。
分布そのものは、かなり狭い範囲に収まっています。SANBI は本種を南アフリカ固有とし、分布州として西ケープ州の 1 州だけを挙げ、範囲を「Bredasdorp から Heidelberg まで」と記しています。生育地は岩がちの頁岩(シェール)の尾根で、植生区分はフィンボスです。本記事が書く産地は、ここまでです。GBIF の記録にはより細かい地名の入ったものもありますが、掲載しません。
| 評価された対象 | カテゴリ | 出典 / 版 |
|---|---|---|
| Haworthia mutica Haw. var. mutica | Vulnerable(危急) | Hilton-Taylor(1996) |
| Haworthia mutica Haw. var. mutica | VU A2bc; B1ab(ii,iii,iv,v) | Raimondo et al.(2009) |
| Haworthia mutica Haw. | Data Deficient — Taxonomically Problematic | レッドリスト版 2014.1(評価日 2014-03-24) |
この 3 行が、この記事でいちばん伝えたいことです。1996 年と 2009 年には、基本変種に対して「危急」という実在のカテゴリが付いていました。2009 年の評価には基準コードまで添えられていて、生育地の減少にもとづく評価だったことが読み取れます。ところが 2014 年、評価の対象が種そのものに変わると同時に、カテゴリは「データ不足 — 分類学的に問題あり」になりました。
くり返しますが、これは危険が減ったからではありません。2014 年の評価文は、ムチカが変異の大きい種で、とくに東側に分布するレツーサ、そしてミラビリスとピグマエアの一部の型と区別しにくいと述べ、分類が解決するまで絶滅リスクを評価できないと明記しています。そして同じ頁が、個体群動向を Decreasing(減少)とし、脅威として小麦と果樹の栽培、そして道路建設による生育地の消失を挙げ、農業拡大による減少は現在も続いていると書いています。「評価できない」と「危なくない」は別のことです。
脅威が抽象的な話でないことは、具体的な例からも分かります。Bayer は『Haworthia Revisited』のなかで、Breede 川の北側にあった産地について書いています。そこは戦前に採集されて売られていた場所でしたが、その後は小麦畑になり、いまはカルー植物園のコレクションに 1 クローンが残っているだけだといいます。SANBI が脅威として挙げる「小麦の栽培による生育地の消失」は、こういう形で起きているということです。同じ本で Bayer は、この種が集約的な農地のなかで、岩がちの頁岩の尾根にかろうじて生き残っているとも書いています。
| 種(単体の頁がある軟葉系ほか) | SANBI 全国評価 | 評価日 | GBIF 出現記録 |
|---|---|---|---|
| H. mutica(ムチカ) | Data Deficient — Taxonomically Problematic | 2014-03-24 | 69 |
| H. retusa(レツーサ〔寿〕) | Data Deficient — Taxonomically Problematic | 2014-03-24 | 190 |
| H. pygmaea(ピグマエア〔延寿城〕) | Data Deficient — Taxonomically Problematic | 2014-03-24 | 69 |
| H. mirabilis(ミラビリス) | Data Deficient — Taxonomically Problematic | 2014-03-19 | 372 |
| H. emelyae(エメリアエ〔宝の寿〕) | Data Deficient — Taxonomically Problematic | 2014-05-21 | 121 |
| H. cooperi(クーペリー) | Data Deficient — Taxonomically Problematic | 2014-03-19 | 549 |
| H. truncata(玉扇) | Vulnerable B1ab(i,ii,iii,iv,v)+2ab(…) | 2022-05-05 | 109 |
この表には、そろった傾向が出ています。単体の頁を持つ軟葉系 6 種は、そろって 2014 年に「判定不能」へ入っています。評価日は 3 月 19 日・24 日・5 月 21 日と近接していて、同じ時期に同じ判断が一括で下されたことがうかがえます。ところが玉扇(H. truncata)だけは 2022 年に評価し直され、Vulnerable という実在のカテゴリが付いています。玉扇は葉が縦に切り立って窓が上を向くという、ひと目で分かる姿をした種です。
ここから言えるのは、ひとつだけです。線が引ける種には評価が付き、引けない種には付かない。保護の必要があるかどうかとは別に、名前が定まっていることが評価の前提条件になっているということです。ムチカが「判定不能」の側にいるのは、この植物が丈夫だからでも、数が多いからでもありません。出現記録は 69 件で、上の表に並べた 7 種のなかでいちばん少ない部類です。
見分けの入口 — 候補までを出して、手順は別の頁へ
「ムチカ」と表示されうるもの — 断定でなく「次に見る所」の表
mutica 名義 H. MUTICA
名前の出どころ
Haworth・1821 の記載
照合先の扱い
受理名(GBIF / WFO / SANBI)
次に見る所
葉先が断ち切られているか。ただし程度の問題で線は引けない
groenewaldii 名義 H. GROENEWALDII
名前の出どころ
Breuer・2011 の記載(タイプ標本あり)
照合先の扱い
ムチカのシノニムとして畳まれている
次に見る所
見た目では分けない。区別できる形質が無い
レツーサ群の隣 RETUSA / PYGMAEA / MIRABILIS
名前の出どころ
それぞれ独立した受理種
照合先の扱い
SANBI が「ムチカと区別しにくい」と名指し
次に見る所
窓の質感。手順はエメリアエの頁へ。ピグマエアとは花の苞の脈の色(下記)
交配・選抜個体 HYBRID / SELECTION
名前の出どころ
栽培の現場で付けられた呼び名
照合先の扱い
学名の照合先には載らない
次に見る所
外から確かめる手立てがふつう無い。表示として受け取る
この表は「答え」ではなく「次に何を見るか」の表です。そして本種の場合、その断り書きにはっきりした裏づけがあります。南アフリカで実際に標本を扱う国家機関が、自分たちの評価文のなかで「区別できない」と書いているからです。ムチカを評価できないと判断した理由が、まさにレツーサ・ミラビリス・ピグマエアとの判別困難でした。現地の専門機関が線を引けなかった相手を、写真 1 枚で分けられると考えるほうが不自然です。
そのうえで、手元の株を見るときの入口を 3 つ挙げておきます。ひとつは葉が先端で断ち切られて平らな面になっているか。とがって終わるならレツーサ群の外側を先に疑います。ふたつめはその面に走る筋の様子。みっつめは株が地表すれすれで止まり、上へ伸びないか。ただし、この 3 つがそろってもレツーサやピグマエアの型は残ります。窓の質感による絞り込みの手順は、エメリアエ(宝の寿)の頁とレツーサ(寿)の頁、ピグマエア(延寿城)の頁にそれぞれまとめてあります。
ひとつだけ、葉ではないところに手がかりがあります。Bayer は、ピグマエアの平滑な型とムチカは葉では区別が難しく、花を比べたときに見つかった違いは「苞(つぼみを包む小さな葉)の脈の色」だけだったと書いています。ムチカは紫がかった脈、ピグマエアは緑の脈というのがその内容です。これは「花が咲くまで待たないと使えない手がかり」で、売り場や写真では役に立ちません。逆に言えば、写真で分けようとすること自体に無理があるということでもあります。なお、この違いがどこまで安定するかは分かっていません。
産地の情報についても、ひとこと添えておきます。この記事の 2 枚目の写真は、ファイル名に MBB という記号と地名が入っています。MBB は南アフリカの研究者 M.B. Bayer の採集番号に使われる記号で、前章で見た groenewaldii のタイプ標本の番号(MBB 7801)も同じ系統です。産地や採集番号が付いた株は、確かに何も付いていない株より情報が多い。けれども、ラベルに書いてあることは「そう表示されている」という事実であって、同定の根拠にはなりません。
ここから先の絞り込みは、この頁の担当ではありません。軟葉系のなかで名前が絞りきれないとき、あるいは硬葉系との区別からやり直したいときは、見分けの記事をまとめた見分け方ガイドの入口からお進みください。クーペリー系の見分け方は、同じ「候補までしか出さない」型で書いた先行例です。系統ごとの姿の違いはハオルチアの品種と系統の全体像で図解しています。
育て方の要点 — 光・水・用土・冬
LIGHT
光
言えるのは自生地が「岩がちの頁岩の尾根」(SANBI)で、遮るものの少ない乾燥した尾根だということ。本記事の自生地写真では、株がほとんど土に埋もれ、葉先の面だけが光を受けている。
WATER
水
自生地はフィンボスの区分に入る西ケープ州で、冬に雨が来て夏が乾く気候帯。尾根の岩がちな立地で水が溜まらないという前提から、ハオルチア共通の考え方(用土が乾いてから与える)を当てるのが実際的。
SOIL
用土と鉢
SANBI の生育地記述は頁岩(シェール)の尾根。本記事の自生地写真にも白い石英のかけらが写る。粗い粒と排水が前提の環境だが、配合そのものの一次情報は無いため、資材ガイドの一般解を使う。
TEMPERATURE
温度
越冬の具体的な数値は種固有の一次情報が無く要確認(本サイト共通の目安は最低 3〜5℃)。自生地の気候区分はフィンボスだが、それは南アフリカの話であって日本の屋外越冬を意味しない。
この節は、他の品種頁と書き方を変えています。SANBI が運営する PlantZAfrica にムチカの解説頁が無く、本種だけを対象にした光量・灌水頻度・用土配合・耐寒温度の一次情報は、今回の照会範囲では確認できませんでした。推測の数値は置かず、自生地の記述から導ける前提と属共通の考え方までを書きます。
自生地の記述から言えることはあります。SANBI は生育地を「岩がちの頁岩の尾根」、植生区分をフィンボスと記しています。尾根の岩がちな立地は、水が溜まらず、地表が明るく、有機物の少ない場所です。07 章で見たとおり、野生の株はほとんど土に埋もれ、葉先の面だけを地表に出していました。ただし自生地の姿であって、鉢で同じようにすべきだという意味ではありません。光・水・用土はハオルチアの育て方、用土・鉢・棚・照明の選び方は育成環境ガイドにまとめています。
殖え方については、記載にひとつはっきりした記述があります。Bayer は本種を 「無茎・非増殖性(non-proliferous)」——つまり自生地では仔株をほとんど出さない——と記載しています。本記事の写真でも、扉と 03 章の株はいずれも単独のロゼットで、群れをつくってはいません。子株が吹いて殖えるタイプの植物ではないということになります。株分け・葉挿しといった一般的な手順はハオルチアの増やし方にまとめていますが、本種でどの方法がどれだけ効くかは、一次情報が見あたりません。
最後に、姿が変わったときの読み方です。レツーサ群の植物は、光が足りないと葉が立ち上がって窓が横を向き、平たいロゼットの形が崩れることがあります。「図鑑の写真と手元の株が違う」ときに、まず疑うのは品種ではなく環境という順序を覚えておいてください。姿が間延びする原因と戻し方の一般論はハオルチアの徒長にまとめました。
入手時の注意 — ラベルが割れているときの構え
| 売り場・ラベルで見かける表記 | それが指すもの | 読み方 |
|---|---|---|
| Haworthia mutica | 本種 | Haworth・1821 の名前。照合先が受理している表記 |
| Haworthia groenewaldii | 照合先はムチカと同じものとして扱う | Breuer・2011 の記載。由来のはっきりした名前で、偽物という意味ではない。詳しくは 05・06 章 |
| Haworthia groenewaldtii(d が 1 つ多い) | 同上の綴り違い | Commons の在庫でも両方の綴りが並存している(14 枚中 5 枚がこちら) |
| Haworthia otzenii | 同じくムチカのシノニム | G.G.Smith・1945。別種として立てられ、のちに統合された |
| Haworthia retusa var. mutica | 同上 | Baker・1896 と Halda・1997 の 2 通りがある。レツーサの変種として扱った時代の表記 |
| Haworthia mutica var. nigra | 現在は H. retusa var. nigra | Bayer が 1999 年にムチカの変種として立て、2012 年に自らレツーサ側へ移した |
| 交配種・選抜個体の呼び名 | 栽培の現場の名前 | 由来を外から確かめる手立てがふつう無い。「そう表示されている」事実として扱う |
買った株のラベルが mutica と groenewaldii で割れていたとき、どう受け取ればよいか。この頁の答えは、「どちらかが偽物という意味にはならない」です。groenewaldii は 2011 年に、タイプ標本と産地の記録を伴って正式に発表された名前で、その後の照合先がムチカに畳んだ、というのが経緯です。名前が畳まれたことと、株が別物であることは、まったく別の話です。
実務的に効いてくるのは、育て方を調べるときです。ラベルの名前で検索すると、綴りの違い(groenewaldii / groenewaldtii)で結果が分かれますし、シノニム側の名前では公的な情報にたどりつきにくくなります。照合先が受理している名前は Haworthia mutica なので、情報をたどるときはそちらの綴りを起点にするのが早道です。名前の対照表に、旧名と現行名を並べてあります。
産地情報が付いている株については、期待の置き方を変えてください。採集番号や産地名の付いた株は、何も付いていない株より情報が多いのは確かです。ただし、それは同定の根拠にはなりません。ラベルは「そう表示されている」という事実であって、書かれた産地に本当にその株が由来するかを、買い手が外から確かめる手立てはふつうありません。
斑入りや園芸銘についても、扱いを分けています。園芸銘の正式名を決めるのは日本ハオルシア協会で、同会は 2014 年に ISHS(国際園芸学会)から Haworthia の国際栽培品種登録機関(ICRA)に指定されています。登録の担当は林雅彦氏で、Haworthia(Haworthiopsis と Tulista を含む)・Astroloba・Chortolirion とそれらの交配種を、ひとつの品種名グループとして扱うという枠組みです(ISHS の ICRA 一覧・2026-08-14 実測)。園芸銘は、協会の登録名が正になります。
ただし、この頁では個々の銘を列挙しません。協会は品種名の一覧を PDF で公開しています。銘の正確な表記が必要な方は、協会の一覧を直接ご覧ください。
価格については、この頁では扱いません。「ムチカ」というラベルで売られる株に複数の名前が混じることが、この記事で見てきたとおりだからです。名前ごとの集計がそのまま参考値にならない以上、数字を出すこと自体が誤解のもとになります。
最後に、保全の側からひとこと。07 章で見たとおり、この種の生育地は農業と道路建設で失われつづけており、個体群は減少していると記録されています。栽培された株を買うことと、自生地の株が減ることは別のことですが、狭い範囲にしか生えない植物であるという事実は、頭の片隅に置いておいてよいと思います。なお、本種の評価文が脅威として挙げているのは農業と道路建設であり、採取・盗掘は挙げられていません。
まとめ
Summary
線が引けないことを、隠さずに書く
ムチカは、南アフリカ西ケープ州の限られた範囲だけに生える軟葉系のハオルチアです。葉が先端で断ち切られて平らな面になり、そこに淡い筋が走ります。この種の評価は 1996 年と 2009 年には「危急」でしたが、2014 年に「データ不足 — 分類学的に問題あり」へ移りました。危険が減ったからではなく、レツーサ・ミラビリス・ピグマエアと区別できないため評価できない、という判断です。同じ頁が、個体群は減少中で脅威は進行中だと書いています。
評価が「危急」から「判定不能」へ1996 / 2009 は VU、2014 に DD。動いたのは危険度ではなく分類
名前は 2 度、変種へ落ちた1896 年 Baker と 1997 年 Halda が独立に同じ格下げをしている
2011 年の隣人groenewaldii は照合先 4 つがそろってムチカへ畳んでいる
写真は分かれたままCommons の 14 枚のうち 9 枚が別名。綴りも 2 通りに割れる
- ムチカの現行の受理名は Haworthia mutica Haw. で、記載は 1821 年の Haworth です(書誌は GBIF が『Saxifragearum enumeratio』2: 55、IPNI が『Revisiones plantarum succulentarum』55 と記しますが、同じ 1821 年の同じ本の同じ頁です)
- 南アフリカ国内の評価は「Data Deficient — Taxonomically Problematic(データ不足 — 分類学的に問題あり)」(SANBI・2014-03-24・評価者 L. von Staden、R.R. Klopper、J.C. Manning)。理由はレツーサ、ミラビリスとピグマエアの一部の型と区別できず、分類が解決するまで絶滅リスクを評価できないためです
- 1996 年(Hilton-Taylor)と 2009 年(Raimondo ほか)の評価では「危急(VU)」でした。2014 年に「判定不能」へ移ったのは危険が減ったからではありません。同じ頁が個体群動向を Decreasing(減少)とし、脅威(小麦・果樹の栽培と道路建設)は進行中だと書いています
- 自生地は南アフリカ固有・西ケープ州のみで、範囲は Bredasdorp から Heidelberg まで。生育地は岩がちの頁岩の尾根、植生区分はフィンボスです
- 種小名 mutica は「先端が無い」の意で、丸く終わる葉先に由来すると Bayer が注記しています。識別のよりどころが最初から「欠けていること」に置かれた名前です
- 原標本は保存されておらず、名前の基準はキューにある図(icon)です(Bayer 1999)。のちに Bredasdorp–Swellendam 間の標本がエピタイプに指定されました
- 形態は 無茎・自生地では仔を出さない・ロゼット径 6〜8 cm・葉 12〜15 枚・花序は分枝せず 20 cm まで・花は白に褐色の脈(Bayer 1999)。花期の月と栽培の数値は確認できず、書いていません
- 名前は 200 年で 2 度、レツーサの変種へ落ちています — 1896 年に Baker が、1997 年に Halda が、それぞれ独立に H. retusa var. mutica を立てました
- H. mutica var. nigra(Bayer・1999)は、2012 年に Bayer 自身によって H. retusa var. nigra へ移されています。Commons の写真の説明文が 2 つの名前で揺れていたのは、これが理由でした
- Haworthia groenewaldii Breuer は 2011 年 7 月の記載で、ホロタイプ NBG・MBB 7801、採集者 J. Groenewald、産地 3420(-BA) Buffeljagsrivier という記録があります(IPNI)。由来のはっきりした名前です
- それでも GBIF・World Flora Online・SANBI・iNaturalist の 4 つがそろって、groenewaldii をムチカと同じものとして扱っています。「Breuer が間違っていた」という意味ではなく、集団をどこまでの幅で見るかの判断が分かれているということです
- 独立種とする根拠として挙げられたのは葉の光沢・花期・蕾の形・葉のねじれ・斑点で、Bayer はそれぞれに反論しています(2012)。争点は形質そのものではなく「種とは何か」で、Bayer はハオルチアでは形質による線引きがほとんど不可能だと書いています
- Wikimedia Commons の「Haworthia mutica」カテゴリ 14 枚のうち 9 枚(64%)は、ファイル名が groenewaldii / groenewaldtii です。一方 GBIF の出現記録 69 件に groenewaldii の綴りは 1 件もありません。名前の決着と現場の呼び方には時間差があります
- SANBI PlantZAfrica に本種の頁がありません(同サイトの別種の頁は開きます)。株径・葉長・花期・耐寒温度・語源は「要確認」として扱い、数値を書きません
- 単体の頁を持つ軟葉系 6 種はすべて 2014 年に「判定不能」へ入っています。玉扇だけが 2022 年に評価し直され、Vulnerable という実在のカテゴリが付きました
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FAQ
「groenewaldii」というラベルで買いました。ムチカとは別の植物ですか?
主要な照合先は、同じものとして扱っています。2026-08-14 に確認したかぎり、GBIF Backbone と World Flora Online は Haworthia groenewaldii を H. mutica のシノニムとし、SANBI のレッドリストはムチカの Synonyms 欄に列挙し、iNaturalist には独立の taxon がありません。ただし、これは「そのラベルが偽物」という意味ではありません。groenewaldii は 2011 年に Breuer が、タイプ標本(NBG・MBB 7801)と産地の記録つきで発表した名前です。名前が畳まれたことと、株が別物であることは別の話です。育て方などを調べるときは、受理名の Haworthia mutica で検索するほうが公的な情報にたどりつきやすくなります。
ムチカは絶滅危惧種ですか?
現在は「評価できない」という扱いです。南アフリカのレッドリストは本種を Data Deficient – Taxonomically Problematic(データ不足 — 分類学的に問題あり)としています(2014-03-24)。ただし、これは「安全」という意味ではありません。1996 年と 2009 年の評価では基本変種に Vulnerable(危急)が付いていましたし、2014 年の同じ頁が個体群動向を Decreasing(減少)とし、農業(小麦・果樹)と道路建設による生育地の消失が現在も進行中だと書いています。カテゴリが外れたのは、危険が減ったからではなく、他のハオルチアと区別がつかず分類が解決するまで絶滅リスクを評価できないと判断されたためです。
写真を送れば、ムチカかどうか判定してもらえますか?
写真 1 枚では届きません。相手は、南アフリカ国家生物多様性研究所(SANBI)自身が「レツーサ、ミラビリスとピグマエアの一部の型と区別しにくい」と評価文に書いた群です。現地で標本を扱う国家機関が線を引けなかった相手を、写真 1 枚から言い当てるのは無理があります。できるのは、候補を複数挙げて「次に見るべき所」を示すところまでになります。
「ムチカ」という名前はどういう意味ですか?
「先端が無い」という意味です。Bruce Bayer は『Haworthia Revisited』の本種の項で mutica を「先端が無い(without a point)」と注記し、さらにこの名前は丸く終わる葉先から来ていると書いています。実際、この植物の葉は先へ向かってとがらず、断ち切られたように平らな面になって終わります。「何かが有る」ではなく「尖りが無い」で名づけられた種だということです。なお、Haworth 自身が 1821 年の原記載でそう述べたかどうかは、原典にあたっていないため確認していません。
レツーサ(寿)との違いはどこを見ればよいですか?
この頁では手順を書きません — 窓の質感による絞り込みは、レツーサ(寿)の頁とエメリアエ(宝の寿)の頁が担当しています。この頁でお伝えしたいのは、その表が「候補」までしか出せない理由のほうです。SANBI はムチカの評価文で「東側に分布するレツーサと区別しにくい」と書き、レツーサの評価文でも「ムチカと区別できない」と書いています。両方向から「区別できない」と記録されている組み合わせです。
何℃まで耐えられますか?
最低でも 3〜5℃ を下回らせないのが実用の線です(ハオルチア属全体の一般的な指針)。本種に固有の耐寒限界を示す信頼できる一次情報は確認できていません。軟葉系の頁は SANBI の PlantZAfrica にある種ごとの解説を土台にしていますが、ムチカにはその頁が存在しません(2026-08-14 に確認。同サイトの別のハオルチアの頁は開きます)。自生地は西ケープ州のフィンボス帯で、冬に雨が来て夏が乾く気候区分ですが、それは南アフリカの話であって、日本の屋外で越冬できるという意味ではありません。
図鑑の写真のように平らに開きません。別の種でしょうか?
まず環境を疑うほうが順序としては先です。レツーサ群の植物は、光が足りないと葉が立ち上がって窓が横を向き、平たいロゼットの形が崩れることがあります。「図鑑の写真と手元の株が違う」ときに、まず疑うのは品種ではなく置き場所や光の量という順序をおすすめします。姿が間延びする原因と戻し方の一般論はハオルチアの徒長にまとめてあります。
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道具はここに集約
ハオルチアの育成環境ガイド(LED・用土・鉢・棚)
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評価文が名指しする相手
ハオルチア・レツーサ(寿)とは — 上面の窓・西ケープの自生地・1701 年からの名前
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同じ「判定不能」の隣
ハオルチア・ピグマエア(延寿城)— ざらつく窓の見分け方・変種と分類の変遷
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ハオルチアの種類総覧(系統×「窓」で選ぶ)
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出典
- SANBI 南アフリカ植物レッドリスト — Haworthia mutica Haw. の国内評価 Data Deficient – Taxonomically Problematic(評価日 2014-03-24、評価者 L. von Staden・R.R. Klopper・J.C. Manning)、評価理由、南アフリカ固有、分布州(西ケープ)、範囲(Bredasdorp to Heidelberg)、生育地(Rocky shale ridges)、植生区分(Fynbos)、脅威(農業・道路建設)、個体群動向 Decreasing、シノニム(H. groenewaldii / H. otzenii)、評価履歴 3 件、参考文献 7 件。2026-08-14 照会: SANBI レッドリスト Haworthia mutica
- SANBI 南アフリカ植物レッドリスト — 比較に用いた同属の評価。H. retusa(2215-4033)/ H. pygmaea(2215-4031)/ H. mirabilis(2215-4024)/ H. emelyae(2215-4011)/ H. cooperi(2215-4008)/ H. truncata(2215-4036)の全国評価・評価日・個体群動向を 2026-08-14 に個別照会: SANBI レッドリスト Haworthia 属一覧
- GBIF Backbone Taxonomy — Haworthia mutica Haw.(usageKey 2780094・status ACCEPTED・publishedIn Saxifrag. Enum. 2: 55, 1821)とその種階級シノニム 6 件(Aloe mutica 1829 / H. groenewaldii 2011 / H. otzenii 1945 / H. retusa var. mutica Baker 1896 / 同 Halda 1997 / H. mutica var. mutica)。2026-08-14 照会: GBIF 種ページ(usageKey 2780094)
- GBIF Backbone — Haworthia groenewaldii Breuer(usageKey 7603499・status SYNONYM・acceptedUsageKey 2780094)。2026-08-14 照会: GBIF 種ページ(usageKey 7603499)
- GBIF Occurrence — 出現記録 69 件、国別(南アフリカ 64)、州別(西ケープ 53)、記録種別(標本 32 / 人による観察 23 / マテリアルサンプル 10 / 生体 4)、年代別(2010 年代 21 / 2020 年代 21 ほか)、提供元別(iNaturalist 23 / NBG 18 / Research Collection of Bruce Bayer 10 ほか)、登録された元の学名の内訳。比較に用いた同属 6 種の件数も同 API で実測。2026-08-14 照会: GBIF Occurrence 検索(taxonKey 2780094)
- IPNI(国際植物名索引)— Haworthia mutica Haw.(Revis. Pl. Succ. 55 / IPNI 536142-1): IPNI 536142-1 / Haworthia groenewaldii Breuer(Alsterworthia Int. 11(2): 15(-17, figs.), 2011 年 7 月・ホロタイプ NBG MBB 7801・採集者 J.Groenewald・産地 3420(-BA) Buffeljagsrivier / IPNI 77112613-1): IPNI 77112613-1 / Haworthia mutica var. nigra M.B.Bayer(Haworthia Revisited 126, 1999 / IPNI 1014775-1): IPNI 1014775-1
- World Flora Online(分類版 2026-06)— Haworthia mutica Haw. は受理(WFO ID
wfo-0000652201)、Haworthia groenewaldii Breuer(wfo-0000921788)と Haworthia otzenii G.G.Sm.(wfo-0000652317)はいずれも mutica の下に置かれる。2026-08-14 に照合 API で実測。WFO のサーバーは証明書の中間鎖を送っていないためリンク検査を通せませんので、リンクではなく WFO ID を記します(worldfloraonline.orgで ID を検索してください) - iNaturalist — Haworthia mutica(taxon 586793)の観察 37 件、うちリサーチグレード 30 / 野生 31 / 栽培 6。
groenewaldiiで検索すると独立の taxon が無く本 taxon に解決されること(2026-08-14 実測): iNaturalist taxon 586793。本記事の自生地写真の観察: iNaturalist 観察 148319674 - Wikimedia Commons — Category:Haworthia mutica(ファイル 14 件。うち 9 件のファイル名が
groenewaldii/groenewaldtii)。Category:Haworthia groenewaldiiはカテゴリとして存在するがファイル 0 件。各画像のライセンス版と作者は API で個別に実測 - SANBI PlantZAfrica — 本種の解説頁が存在しないこと(
pza.sanbi.org/haworthia-muticaほか 2 URL が HTTP 404 / 同サイトの別のハオルチアの頁は 200)を 2026-08-14 に実測: SANBI PlantZAfrica - Bayer, M.B. 1999. Haworthia Revisited — 24. Haworthia mutica(著者自身が全文を公開しているテキスト。査読誌ではありません)。本記事が引いたのは、原記載の書誌(Revis.: 55, 1821)、タイプが保存されずレクトタイプがキューの図(icon)であることとエピタイプ、mutica の語義注記「without a point」と「丸く終わる葉先に由来する」、形態(無茎・非増殖性・径 6〜8 cm・葉 12〜15 枚・花序は分枝せず 20 cm まで・花は白に褐色の脈)、ピグマエアの平滑型との違いが花の苞の脈の色に限られたこと、生育地が集約的農地のなかの岩がちな頁岩の尾根であること、Breede 川北側の産地が小麦畑になり 1 クローンのみが植物園に残ること、H. otzenii の書誌とタイプ。2026-08-14 照会: Haworthia Revisited 24. Haworthia mutica
- Bayer, M.B. 2012-09-15.「Haworthia mutica(groenewaldii)and its twisted leaves」— Buffeljags 個体群を独立種と認めるかをめぐる論点(光沢・花期・蕾の形・葉のねじれ・斑点)と、それぞれへの反論。「ハオルチアでは形質で種を線引きすることがほとんど不可能で、機能する検索表を作ることに誰も成功していない」という記述。2026-08-14 照会: Haworthia Updates(2012-09-15)。本記事はこの論争の当否を判定しません
- ISHS(国際園芸学会)ICRA 一覧 — Haworthia の国際栽培品種登録機関が HAWORTHIA SOCIETY OF JAPAN(日本ハオルシア協会・2014 年指定)であること、登録担当が Dr Hayashi Masahiko であること、対象が Haworthia(Haworthiopsis・Tulista を含む)・Astroloba・Chortolirion とその交配種を 1 つの品種名グループとして扱うこと。2026-08-14 照会: ISHS ICRA 一覧 #100 / 協会の品種名一覧: 日本ハオルシア協会 品種名一覧(PDF から文字情報を機械的に取り出せなかったため、個々の銘は本記事に引用していません)
- 本記事が参照した分類整理の一次文献: Haworth, A.H. 1821. Saxifragearum enumeratio / Revisiones plantarum succulentarum / Baker, J.G. 1896. Flora Capensis 6 / Smith, G.G. 1945. Journal of South African Botany 11 / Halda, J.J. 1997. Acta Musei Richnoviensis 4(2) / Bayer, M.B. 1999. Haworthia Revisited. Umdaus Press / Breuer, I. 2011. Alsterworthia International 11(2) / Bayer, M.B. & Manning, J.C. 2012. Haworthia Update 7(4) / Raimondo, D. et al. 2009. Red List of South African Plants. Strelitzia 25 / Hilton-Taylor, C. 1996. Red data list of southern African plants. Strelitzia 4(いずれも GBIF / IPNI / SANBI の書誌欄に記載。原典は直接参照しておらず、記述はデータベースの登録内容にもとづきます)
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扉の写真: Photo: Abu Shawka / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
本文中の 3 枚(03 章・05 章・07 章)の帰属は各 figure のキャプションに記載しています。サイト全体の画像出典は画像クレジットにまとめています。


















