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ピリフェラ(Haworthia cooperi var. pilifera)葉先の毛と、名前が渡り歩いた 150 年

小さなロゼットが密に集まった軟葉系ハオルチアを斜め上から写した写真。とがった葉の先から白く長い毛が何本も伸び、日を浴びた外側の葉は淡い緑からサーモン色へ移る。右手には細い花茎が伸びて白い花が咲いている
葉先から伸びる白い毛(ノギ)と、右に伸びた花茎 Photo: Agnieszka Kwiecień (Nova) / CC BY 2.5, via Wikimedia Commons
SPECIMEN — HAWORTHIA COOPERI VAR. PILIFERA
ピリフェラHaworthia cooperi var. pilifera / ハオルチア・クーペリー・ピリフェラ
系統軟葉系・クーペリーの変種 自生地南ア 東ケープ州 見分けの鍵葉先に残る尖りと毛

ピリフェラは、青緑の葉が地表すれすれで平たく開く軟葉系のハオルチアです。鈍く終わる葉先にわずかな尖りが残り、葉のふちと竜骨が鋭く角張ります。よく仔を吹いて群れ、強い光を受けると葉先が紫を帯びる——売り場でオブツーサと並ぶ株の、もう一方の顔を知りたい方に向く変種です。名前が 150 年で 4 回動いた来歴も、この頁でひととおりたどれます。

この記事でわかること
  • クーペリーとピリフェラは 1870 年 9 月、同じ本の図版 233 と 234 で並んで発表されたこと。そして 1999 年に 1 つへまとめられた理由が「図版が 1 枚だけ手前だったから」だったこと
  • 1948 年に Haworthia obtusa の変種へ落とされ、1974 年に取り消されたこと。根拠がキューにある 1 枚の水彩画だったこと
  • 名前は「毛を持つ」なのに、一次記載は変種の毛の量を書いていないこと
  • 野生の記録はクーペリー 13 変種でいちばん多いのに、保全の判定は 2009 年の「低懸念」から 2014 年の「未評価」へ後退したこと
出典つきで整理した図鑑です — 品種は「候補」と「次に見る所」まで示します

ピリフェラとは — クーペリーの「本体」とされる変種

この頁 / VARIETY
ピリフェラという「名前」の 150 年
1870 年の発表・1948 年の消滅・1974 年の復活・1999 年の統合。「この名前は誰の子だったか」を知りたい人のための頁です。
別の頁 / SPECIES
クーペリーの全体像
親にあたる種と、そこに属する13 の変種の地図。ピリフェラが全体のどこに座るかを俯瞰したい方はこちらから。
別の頁 / TRADE NAME
オブツーサとは
売り場の「オブツーサ」がいま何を指しているか。流通名と学名の食い違いは、隣の変種の頁が引き受けています。

上の 2 枚目・3 枚目はそれぞれ別の記事です — ハオルチア・クーペリー(13 変種の全体像)オブツーサとは(学名・自生地・13 変種のなかでの位置) からどうぞ。3 つの頁がどう分担しているかは 07 章にまとめてあります。

まず、この植物の立ち位置をはっきりさせておきます。ピリフェラは、葉が硬く厚い硬葉系ではなく、葉がやわらかく光を透かす軟葉系のハオルチアです。そのなかでもクーペリー(Haworthia cooperi)という種の、13 ある受理変種のひとつという位置にあります(GBIF の分類バックボーンを 2026-08-14 に照会した実測値)。

ただし「変種」という言葉から受ける印象と、この変種の実態はかなり違います。Bruce Bayer は『Haworthia Revisited』(1999)の本変種の項に、「この変種が種の本体をなす(This variety constitutes the main body of the species)」と書いています。脇に置かれた派生ではなく、クーペリーという種の中心にある集団だ、という位置づけです。実際、GBIF に集まった野生の記録を数えると、13 変種のうちいちばん多いのがこのピリフェラ(126 件)でした(08 章)。

TAXONOMY / MEASURED 2026-08-14
ピリフェラはクーペリーの 13 変種のひとつ — 図に出るのは 2 つ
ツルボラン科 AsphodelaceaeALOOIDS
ハオルチア属 HAWORTHIA(軟葉系)/ 2013〜2016 年の 3 属分割後も残留
1948 年に親だった名前 OTHER LINEAGE / 現在は別の種の下
属と変種の所属・受理状態は GBIF Backbone(var. pilifera = usageKey 2780109 / status ACCEPTED / 親 2780103)、組合せの発表頁は同 publishedIn を 2026-08-14 に照会した実測値

そして、この頁が引き受けるのは「名前の話」です。ハオルチアの品種頁は、ふつう姿の説明から入ります。ところがピリフェラの場合、姿より先に、名前そのものが何度も動いてきたという事情があります。1870 年には独立した種、1948 年にはオブツーサ(H. obtusa)の変種、1983 年にはクーペリーの品種(forma)、1999 年にはクーペリーの変種——150 年で 4 回、所属する階級と親が変わっています。

これは、この植物が特別に不安定だという話ではありません。ハオルチア属に何種あるかという問いには、研究者によって桁の違う答えが返ってきます。林雅彦氏は 546 種、Ingo Breuer 氏は 366 種、Bruce Bayer 氏は 60 種という数を示してきました。細かく分ける立場と、まとめる立場の幅です。南アフリカ国家生物多様性研究所(SANBI)のレッドリストも、この属が「似ていることより変異のほうを重く見る名づけが過剰に増えてきた」状態にあると注記しています(Bayer and Manning 2012 を引用)。ピリフェラの名前の往復は、その属全体の事情がひとつの分類群の上に現れたものと読めます。

基本情報 — 学名・自生地・耐寒性

ピリフェラの基本データ Quick Spec
受理名 Haworthia cooperi var. pilifera (Baker) M.B.Bayer
階級 変種(種ではない)。親種 = Haworthia cooperi Baker
組合せの発表 Bayer・1999 年『Haworthia Revisited』54 頁
基になった名前 Haworthia pilifera Baker(独立種として発表・図版 234)
その発表年 1870 年(GBIF・WFO)。Bayer 1999 は 1871 と記す資料で 2 通り
ツルボラン科(Asphodelaceae)
系統 軟葉系(Haworthia 狭義 / クーペリーの変種)
シノニム 14 件(GBIF・WFO)/ 12 件(SANBI)。うち 4 件が obtusa 名義
タイプ標本 原標本は現存せず。レクトタイプは図版 234 という「図(icon)」(Bayer 1999 が指定)
自生地 南アフリカ固有東ケープ州のみ(SANBI・親種の頁)
分布の中心 King Williamstown と Grahamstown を中心とする(Bayer 1999)
生育環境 草地のまばらな植被の岩がちな場所・浅い土壌(Bayer & Pilbeam 1974)
草姿 無茎。地表面に非常に強く引き込まれる(Bayer 1999)
ロゼット径 120 mm まで — ただしこれは種の記載値変種固有の数値は無い要確認
20〜40(種の記載値)。葉縁の刺は 2 mm 未満(あれば)
変種の識別 鈍く終わる末端部に、はっきりした尖りが残る葉縁と竜骨が鋭く角張る(Bayer 1999)
花序は 20 cm まで・花は 20〜30 個で花被は白(種の記載値)。花期の月は確認できず要確認
越冬の目安 属全体の一般指針として最低 3〜5℃ を下回らない要確認
保全評価(現行) Not Evaluated(未評価)— 理由は「種内分類群は評価しない」(SANBI・2024.1)
保全評価(過去) Least Concern(低懸念)— Raimondo ほか(2009)
親種の評価 Data Deficient — Taxonomically Problematic(SANBI・2014-03-19)
出現記録 GBIF 126 件(標本 94 / 観察 26 ほか)。iNaturalist 63 件
語源 「毛を持つ(with hairs)」— Bayer が変種の項に置いた注記
流通名 ピリフェラ

この表には、他の品種頁と違う書き方をした欄がふたつあります。ひとつはロゼット径と葉の枚数で、「種の記載値」と断ってあります。Bayer 1999 は、クーペリーという種のレベルでは数値を書いていますが、ピリフェラという変種の項には数値をひとつも置いていません(2026-08-14 に本文を照会して確認)。変種の項にあるのは、書誌・タイプ・語源・識別の定性的な記述・産地の一覧だけです。そこで表の数値は「種の値」として読んでください。

もうひとつは発表年です。基になった名前 Haworthia pilifera Baker の発表年は、GBIF と World Flora Online が 1870 年Bayer 1999 が 1871 年と記しています。国際植物名索引(IPNI)は年を記さず、書誌に「第 1〜5 巻・1869〜82 年」とあるだけです。ところが同じ Bayer が 1974 年の論文の参考文献欄では「1870」と書いている——つまり著者自身の記述のなかで年が揺れています。本文では照合先 3 つが一致する1870 年を採り、Bayer 1999 が 1871 としていることを注として残します。原典は直接参照していません。

公的機関の解説頁は、この植物にはありません。SANBI が運営する PlantZAfrica というサイトには、種ごとの栽培解説が置かれている植物があります。2026-08-14 に確認したところ、pza.sanbi.org/haworthia-cooperihaworthia-cooperi-var-piliferahaworthia-pilifera も、いずれも HTTP 404 でした。同じサイトの haworthia-cymbiformis は 200 で開きます。サイトの障害ではなく、この種の頁が作られていないということです。したがって耐寒温度・灌水頻度・用土配合・遮光率といった栽培の数値は、この経路から取れませんでした。推測では書かず、「要確認」として空けてあります。属全体の目安の根拠はハオルチアの越冬(耐寒性)にまとめています。

「毛を持つ」という名前 — 語義と記載のずれ

灰緑色の小さなロゼットが半球状に密集した軟葉系ハオルチアを斜め上から写した写真。とがった葉の先から白く長い毛が房になって伸び、葉の面には樹枝状の細い脈が透けて見える。外側の葉は紫褐色を帯び、まわりは白と褐色の礫
葉先から伸びる白い毛(ノギ)がはっきり写っている 1 枚。毛は葉の面ではなく、先端と縁から出ています。葉の面には樹枝状の細い脈が透け、外側の葉は紫褐色を帯びています。日本の公立植物園(大阪府立花の文化園)で栽培されていた株で、Commons の分類カテゴリは Haworthia cooperi var. pilifera。Photo: KENPEI / CC BY 3.0, via Wikimedia Commons

まず、語源そのものは出典が取れます。Bayer は『Haworthia Revisited』の本変種の項に、pilifera を「毛を持つ(with hairs)」と 1 行だけ注記しています。同じ本の隣の項では truncata を「鈍い葉を持つ(with obtuse leaves)」と注記しており、変種名がそれぞれ 1 つの形質を名指ししていることが分かります。

ところが、ここから先が思ったとおりになりません。「毛を持つ」という名前なのだから、この変種は毛が多いのだろう——と読みたくなります。ですが Bayer 1999 の変種の項には、毛の量についての記述がありません。変種の識別として書かれているのは、次の 3 点だけです。

  • 鈍く終わる末端部に、はっきりした尖り(a pronounced point)が残る
  • 葉縁と竜骨(葉の裏側の稜)が鋭く角張る
  • 地表面に非常に強く引き込まれており、直射日光にさらされると葉先が切り詰まって壊死した末端部を作る

さらに逆向きの記述もあります。同じ本で H. cooperi の側を、Bayer は「一般に毛が少ないか、毛が短い葉によって区別される(generally less hairy or shortly haired leaves)」と書いています。つまりクーペリーという種そのものが、近縁の種と比べれば「毛の少ない側」に置かれているということです。「毛を持つ」という名前が付いた変種が、その毛の少ない種の中心にいる——名前と記載が、素直には重なりません。

ここから引き出せる結論はひとつです。一次記載に当たったかぎり、毛の量でピリフェラを決めることはできません。売り場で「毛が長いからピリフェラ」と説明されることがありますが、その基準は記載の側には書かれていない、ということです。

見る場所
この記事の写真から
読み取れること
写真だけでは
決まらないこと
葉先の毛(ノギ)
先端と縁から白い毛が伸びる 量の多い少ないで変種は決まらない
葉の終わり方
鈍く終わるが尖りが残る株がある どこまで鈍ければ別の変種か
葉縁と竜骨
角が立って見える株がある 角ばりの程度の範囲
面の脈
樹枝状の細い脈が透ける 脈の濃さと光量の対応
灰緑〜青緑。露出すると紫褐を帯びる 色から産地は分からない
株の高さ
鉢では地表より上に出ている 自生地での引き込み方(記載では「非常に強く」)

左列は本記事に載せた 4 枚の写真の所見、右列は写真からは決まらない項目(かっこ内は Bayer 1999『Haworthia Revisited』の記載)。写真の同定は撮影者と Commons の分類カテゴリによるものです候補として読む

形質による絞り込みの手順は、別の頁が受け持っています。「葉が反り返るか / 舟形か / ノギがあって群生するか」という 3 択で軟葉系を大きく振り分ける手順は、クーペリー系の見分け方に図解でまとめてあります。ここでは同じ表を繰り返さず、その表がなぜ「候補」までしか出せないのかを見ます。そしてピリフェラの場合、その理由が名前の歴史そのものに書き込まれています。

1870 年 9 月、隣り合って発表された 2 つの種

ピリフェラという名前は 150 年で 4 回、階級と親が変わっている FIG.01Timeline
第 1 期 記載 Baker が独立種 Haworthia pilifera を発表 同じ本の図版 234。1 枚手前の 233 が H. cooperi
第 2 期 親になる von Poellnitz が pilifera の下に変種を並べる var. salina / var. stayneri / f. acuminata
第 3 期 消える Uitewaal が H. obtusa var. pilifera へ降格 根拠はキューにある 1 枚の水彩画
第 4 期 戻る Bayer & Pilbeam が種として復活させる 「Uitewaal は誤っていた」と結論
第 5 期 畳まれる Pilbeam が品種へ、Bayer が変種へ 理由は cooperi の「頁の優先」
独立した名前として立つ動き 自分が親になる動き 他の名前へ畳まれる動き 概念図

始まりは 1870 年です。キュー植物園の John Gilbert Baker が、Saunders の『Refugium Botanicum』第 4 巻に、Haworthia pilifera という名前を独立した種として発表しました。掲載は図版 234。そしてその 1 枚手前、図版 233 に載っているのが Haworthia cooperi です。Bayer & Pilbeam(1974)の論文に載る図版キャプションでは、両方とも「1870 年 9 月」の日付が付いています。

つまり、クーペリーとピリフェラは兄弟のように発表された名前です。同じ著者が、同じ雑誌の同じ巻で、連続する 2 枚の図版として並べて記載した。どちらかが本家でどちらかが派生、という関係ではありませんでした。この「並んでいた」という事実が、130 年後にピリフェラの運命を決めることになります(06 章)。

階級名前誰が / いついまの扱い(GBIF)
変種(受理)Haworthia cooperi var. pilifera (Baker) M.B.BayerBayer・1999
Haworthia Revisited: 54
受理名(usageKey 2780109)
Haworthia pilifera BakerBaker・1870
Refug. Bot. 4: t. 234
シノニム(基になった名前)
Catevala pilifera (Baker) KuntzeKuntze・1891
Revis. Gen. Pl. 2: 707
シノニム(別属へ移した組合せ)
Haworthia stayneri Poelln.von Poellnitz・1937
Repert. Spec. Nov. 42: 270
シノニム(別種として立てられた)
変種Haworthia pilifera var. stayneri / var. salinavon Poellnitz・1938
同 44: 237
シノニム(pilifera が親だった時期)
品種Haworthia pilifera f. acuminata Poelln.von Poellnitz・1940
同 49: 27
シノニム(同上)
変種Haworthia obtusa var. pilifera (Baker) UitewaalUitewaal・1948
Succulenta 29: 50
シノニム(次章の主題)
品種Haworthia cooperi f. pilifera (Baker) PilbeamPilbeam・1983
Haworthia & Astroloba: 58
シノニム(クーペリーの品種へ)
Haworthia salina (Poelln.) M.Hayashi林・2010
Haworthia Study 22: 11
シノニム
Haworthia luri M.Hayashi林・2018
Alsterworthia Int. 18(2): 31
シノニム。SANBI は「不正な発表」と注記
受理・シノニムの関係は GBIF Backbone(usageKey 2780109 とその synonyms 14 件)と World Flora Online(wfo-0000650023・2026-06 版・同 14 件)を 2026-08-14 に照会した実測値。各名前の原記載の書誌は国際植物名索引(IPNI)で突き合わせた。表は主要な 10 行を抜いたもので、H. stayneri var. salina など 4 件は割愛している。Haworthia luri への「(invalidly published)」の注記は SANBI の変種頁にあるもので、当サイトはその当否を判定しない

この表で見てほしいのは、真ん中あたりの 3 行です。1937 年から 1940 年にかけて、von Poellnitz は H. stayneri という別種を立て、それを H. pilifera の変種へ移し、さらに H. pilifera var. salinaH. pilifera f. acuminata という名前を作りました。つまりこの時期、ピリフェラは「畳まれる側」ではなく「畳む側」——自分が親である種でした。いまはクーペリーの一変種として置かれている名前が、80 年前には自分の下に変種を持っていたということになります。

名前の階級は、植物の側の性質ではありません。同じ植物が、種と呼ばれたり変種と呼ばれたり品種と呼ばれたりするのは、その集団をどこまでの幅で見るかという、人間の側の判断が変わったからです。名前の対照表に、階級が動いた名前を並べてあります。

1948 年、絵 1 枚で名前が消えた

ガラス容器に植えられた軟葉系ハオルチアの単一ロゼットを真上から写した写真。淡い黄緑色の葉が放射状に並び、葉の上半分は半透明で細かい白い斑点が散る。葉先はごく短く枯れて褐色になり、長い毛は見えない。容器の外はコンクリートの床
同じ Commons のカテゴリに入っている別の株。この写真のファイル名は「Haworthia obtusa pilifera」で、いまは使われない 1948 年の名義がそのまま残っています。葉先の毛は写っておらず、先端は短く枯れて終わっています。本記事はこの株を「ピリフェラである」とも「オブツーサである」とも書きません — 掲載カテゴリが H. cooperi var. pilifera であるという事実だけを示します。Photo: Levi Clancy / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

1948 年、オランダの A.J.A. Uitewaal が『Succulenta』誌 29 巻 50 頁で、いくつもの名前を一度に動かしました。その内容は、Haworthia obtusa という種を立て直し、Haworthia pilifera をその変種へ落とすというものです。同じ頁で staynerisalinaacuminata も、そろって obtusa の下へ移されました。GBIF が記録するピリフェラのシノニム 14 件のうち、4 件がこの 1948 年 1 回で生まれた名前です。

問題は、その根拠でした。Bruce Bayer と J.W. Pilbeam が 1974 年に『Cactus & Succulent Journal (U.S.)』第 46 巻へ発表した論文によれば、Uitewaal が拠ったのは、キュー植物園の図書室にある 1 枚の水彩画でした。描いたのは Thomas Duncanson というキュー付きの画家で、Haworth と同時代の人です。Uitewaal はこの絵を H. obtusa として扱い、そこから種の記述を書き起こしました。

1974 年の論文は、その手順そのものを問題にしています。Uitewaal はHaworth 自身が 1825 年に書いた原記載を「不完全で誤解を招く」と退けたうえで、絵のほうから記述を作った——というのが指摘の中身です。同論文が引く G.G. Smith の書簡には、次の一文があります。

「しかも彼は、絵から記述をこしらえているのです」(Bayer & Pilbeam 1974 が引用する G.G. Smith の書簡より・要約)

ここで確認しておきたいことがあります。1948 年当時、南アフリカの自生地の個体群を実際に歩いて確かめられる人は限られていましたし、名前の基準になるはずの標本が残っていない名前も多かった。絵に頼らざるをえない状況そのものが、この属の名前の弱さを示しています。実際、ピリフェラという名前の基準も標本ではなく図版 234 という「図(icon)」です(Bayer 1999 がレクトタイプとして指定)。絵をもとに議論するしかない、という条件は両者に共通していました。

1948 年に Uitewaal が立てた名前もとの名前いまの扱い
Haworthia obtusa var. pilifera (Baker) UitewaalH. pilifera Baker(1870)var. pilifera のシノニム
Haworthia obtusa var. stayneri (Poelln.) UitewaalH. stayneri Poelln.(1937)同上
Haworthia obtusa var. salina (Poelln.) UitewaalH. stayneri var. salina(1937)同上
Haworthia obtusa f. acuminata (Poelln.) UitewaalH. pilifera f. acuminata(1940)同上
7 年後、この体系の内側でもうひとつの名前が立つ
Haworthia obtusa var. pilifera f. truncata H.Jacobsen
(= 現在の var. truncata = 売り場の「オブツーサ」)
—(新しい名前)H. cooperi var. truncata の基になった名前。
Natl. Cact. Succ. J. 10: 81(1955)
1948 年の 4 名は GBIF Backbone / World Flora Online / SANBI レッドリスト(変種頁の Synonyms 欄)を 2026-08-14 に照会した実測値で、3 者とも H. cooperi var. pilifera のシノニムに置いている。最下行の Jacobsen の名前は資料で書き方が 2 通りに割れている — SANBI(2024)と Bayer & Pilbeam(1974)は H. obtusa var. pilifera f. truncataピリフェラの下位として記し、GBIF・IPNI・Bayer 1999 は H. obtusa f. truncata と縮めて記す。当サイトはどちらが正しいかを判定せず、両方の書き方があることを示す。

この表の最下行が、いまの売り場につながっています。1955 年、H. Jacobsen は『National Cactus & Succulent Journal』10 巻 81 頁に、葉先が切り詰まった株に truncata という名前を与えました。これがのちに Haworthia cooperi var. truncata となり、日本で「オブツーサ」と呼ばれている株にあたります

そして注目したいのが、その名前の書かれ方です。SANBI のレッドリスト(2024 年版)と Bayer & Pilbeam(1974)は、この名前を Haworthia obtusa var. pilifera f. truncata ——つまり「ピリフェラという変種の、さらに下の品種」として記録しています。1955 年当時の体系のなかで、のちにオブツーサと呼ばれる株は、ピリフェラの内側に置かれた名前でした。いま売り場で主役なのはオブツーサのほうですが、名前の順序としては、ピリフェラのほうが 85 年ぶん先にあります

1974 年の反証と、1999 年の「頁の優先」

照合先Haworthia pilifera Baker の扱い実測した値
GBIF BackboneシノニムusageKey 2780117 → 受理 2780109(H. cooperi var. pilifera)
World Flora Online(2026-06 版)シノニムwfo-0000652528wfo-0000650023
SANBI レッドリストシノニムとして列挙変種頁(2215-304)の Synonyms 欄に 12 件のひとつとして記載
iNaturalist独立の taxon が無い変種 taxon 599559 に集約される
Wikimedia Commonsカテゴリが存在しないCategory:Haworthia pilifera は未作成(API が missing を返す)
5 つの公開プラットフォームを 2026-08-14 に個別照会した実測値。学名を扱う 4 つはそろってクーペリー側へ畳んでおり、画像を扱う Commons にはそもそも独立のカテゴリが無い。

1974 年、Bayer と Pilbeam は Uitewaal の 1948 年の判断を正面から否定しました。論文の要旨は明快です。Uitewaal は H. obtusaH. pilifera を結びつけた点で誤っており、H. obtusaH. cymbiformis(シンビフォルミス)の一形にすぎない。したがって H. pilifera は種として復活させる——というものです。

その根拠は、絵ではなく生育のしかたでした。論文が挙げるのは、次のような対比です。

見る場所H. pilifera(現 H. cooperi の側)H. cymbiformis(obtusa の行き先)
生える場所草地のまばらな植被の岩がち・浅い土壌川沿いの切り立った岩壁(krantz)
灰緑色で桃〜紫の色調。鮮緑にはならない鮮やかな明るい緑
太く多肉で広がる浅い割れ目に押し込まれた密な根
強い光に当てたとき葉面が土の高さまで下がる。葉先が切り詰まり壊死末端を作る地表より上に留まり、引っ込まない
やや黄みを帯びた白。太めの花柄につく澄んだ白。短く細い花柄につく
Bayer, M.B. & Pilbeam, J.W. 1974「Name Changes in Haworthia Concerning H. obtusa Haw. and H. pilifera Bak.」(Cactus & Succulent Journal (U.S.) Vol. XLVI)の記述にもとづく。同論文は、この違いをカルー植物園で日陰から明るい光へ 5 か月移す比較栽培で確かめたと記す。引用される G.G. Smith の書簡には「H. pilifera は岩壁で見つかったことが一度もない」という一文がある。

ここで 1 行だけ、名前の現在地に触れておきます。学名としての Haworthia obtusa Haw.(1825 年発表)は、現在 Haworthia cymbiformis var. obtusa という受理名の下に置かれています(GBIF 実測)。つまり学名の obtusa は、いまクーペリー側ではなくシンビフォルミス側の名前です。この食い違いが日本語の「オブツーサ」という呼び名にどう効くかは、オブツーサの頁クーペリー系の見分け方が扱っています。本頁はこれ以上踏み込みません。

さて、1974 年の論文には、末尾に短い脚注が付いています。そこには、おおよそ次のことが書かれています——もし H. vittataH. cooperiH. pilifera のシノニムとされるなら、そのときは H. cooperi が「頁の優先(page priority)」を持つことになり、複合体全体にこの名前を採らねばならない。

そして 1999 年、同じ著者がまさにそれを実行しました。Bayer は『Haworthia Revisited』のクーペリーの項に、こう書いています(要点)——H. pilifera という名前は、東ケープ、とくに King Williamstown 周辺の葉先が比較的鈍い個体に最もよく使われてきた。しかし H. cooperi も等しく適用でき、他の 2 つの名前に対して「頁の優先(page preference)」を持つ。

これが、この記事でいちばん伝えたいことです。ピリフェラが種の座を失ったのは、姿が変わったからでも、別物ではないと新しく分かったからでもありません。1870 年 9 月の同じ本で、クーペリーの図版が 1 枚だけ手前(233)に置かれていたからです。そして著者本人が、その結末を 25 年前の脚注で自分から予告していました。

Commons「Haworthia cooperi var. pilifera」カテゴリ 13 枚のファイル名の内訳(2026-08-14 実測) FIG.02Names
pilifera を含む11 枚
cooperi を含む9 枚
obtusa を含む(1948 年の名義)3 枚
ラテン学名を一切含まない1 枚

名前は畳まれても、ファイル名のなかでは生き続けています。Commons の Category:Haworthia cooperi var. pilifera には 13 枚の写真が入っていますが、そのうち 3 枚(23%)はファイル名に obtusa を含みます。1948 年に立てられ、1974 年に否定された名義が、いまも 4 枚に 1 枚の割合で残っているということです。本記事に載せた 4 枚のうち 2 枚も、この obtusa 名義のファイルです(05 章と 08 章の写真)。

ところが、標本と観察の記録の側では逆になります。GBIF に集まったピリフェラの出現記録 126 件について、登録された元の学名(verbatim)を数えると、H. cooperi var. pilifera 名義が 117 件、H. pilifera Baker が 7 件、H. cooperi f. pilifera(Pilbeam)が 1 件、そして H. obtusa var. pilifera(Uitewaal)が 1 件でした。150 年で立った 4 通りの名義が、記録のなかに全部残っている——けれども、1948 年の名義はたった 1 件しかありません。研究者が登録する側では、この名前はほぼ使われなくなっています。

オブツーサとどう違うのか — 3 つの頁の使い分け

知りたいこと読む頁その頁が持っているもの
クーペリーって何の集まり?
変種はいくつある? 名前はなぜ多い?
ハオルチア・クーペリー13 変種の一覧表・84 の学名の来歴・東ケープ州の分布・変種ごとの野生記録の多さ
売り場の「オブツーサ」って結局なに?
学名の obtusa と何が違う?
オブツーサとは流通名と学名の食い違い・var. truncata の窓の作り・13 変種のなかでの位置
ピリフェラって何?
なぜオブツーサと混ざる?
この頁1870 年から現在までの名前の 5 期・1948 年の統合と 1974 年の反証・「頁の優先」・毛の語義と記載のずれ
手元の株の名前を絞りたいクーペリー系の見分け方3 択の振り分け手順(反り返る / 舟形 / ノギと群生)と、そこから先の絞り込み
系統の全体像から入りたいハオルチアの品種と系統の全体像軟葉系・硬葉系・万象・玉扇という系統の地図
当サイトのクーペリー関連 5 頁の分担。品種頁が同じ表を何度も作らないよう、担当を分けてあります。

「オブツーサとピリフェラはどう違うのか」という問いには、じつは 2 つの答え方があります。ひとつは姿の違いで、もうひとつは名前の関係です。この頁が答えられるのは、後者だけです。

名前の関係でいえば、両者は「兄弟」です。どちらも Haworthia cooperi という 1 つの種に属する変種で、1999 年の『Haworthia Revisited』では 54 頁と 55 頁——文字どおり隣のページ——に並べて置かれました。上下関係はありません。ただし歴史をさかのぼると、1955 年の時点ではオブツーサの側の名前がピリフェラの内側に置かれていた(05 章)ので、「兄弟」になったのは 1999 年からということになります。

姿の違いについては、この頁は答えを持ちません。Bayer 1999 の記述を並べると、var. truncata「径 70 mm まで・葉 20〜25 枚・淡青緑・直立し切り詰まった葉・ほとんど線が入らない」と書かれ、var. pilifera「鈍く終わる末端部に尖りが残る・葉縁と竜骨が鋭く角張る」と書かれています。ですが Bayer 自身が、var. truncata と近縁の var. dielsiana の区別について「主に地理的な根拠による(largely on geographical grounds)」と書いています。産地の分からない栽培株では、その根拠が使えません。

そのうえ、決定的な一文があります。Bayer は同じ var. truncata の項で、「Breuer 氏がこの名前の正しい適用先を指摘してくれた。そうでなければ自分は H. cymbiformis var. obtusa のほうへ組み入れていた」と書き、さらに「これは選択が完全に開かれたままの事例である(entirely an open one)」と結んでいます。オブツーサという名前の帰属先は、著者本人の記述として確定していないということです。

分布と保全 — 記録は最多、判定は「未評価」

小さなロゼットがいくつも寄り集まった軟葉系ハオルチアの群れを斜め上から写した写真。日を強く受けた株は紫褐色に染まり、日陰の株は緑を残す。とがった葉のふちには細かい毛が並び、まわりは白っぽい軽石と細かい土
よく仔を吹いて群れをつくった株。同じ場所でも、日を強く受けた株は紫褐色に、日陰の株は緑のままです — Bayer & Pilbeam(1974)が「灰緑色で桃〜紫の色調」と記した色の幅がそのまま出ています。この写真のファイル名は「Haworthia obtusa var.pilifera」で、1948 年に Uitewaal が立てた学名そのままの表記です(掲載カテゴリは H. cooperi var. pilifera)。Photo: Honmingjun / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

分布は、東ケープ州に収まっています。SANBI は親種のクーペリーを南アフリカ固有とし、分布州として東ケープ州の 1 州だけを挙げています。Bayer 1999 はピリフェラの分布の中心を King Williamstown と Grahamstown とし、1974 年の論文は範囲を東は Idutywa、北西は Bedford と Cradock、西は Grahamstown までと記しています。本記事が書く産地は、ここまでです。Bayer 1999 の産地一覧には方眼番号つきの地名が並んでいますが、掲載しません。

分類群GBIF 出現記録iNaturalist 観察読み方
H. cooperi(種全体)54947713 変種と、変種まで落とされていない記録の合計
var. pilifera(この頁)1266313 変種で最多。種全体の 23.0%
var. isabellae26
var. gordoniana20
var. truncata(オブツーサ)419売り場でいちばん見かける変種が、野生の記録はいちばん薄い
GBIF Occurrence(taxonKey 単位)と iNaturalist の taxon 別観察数を 2026-08-14 に個別照会した実測値。件数は記録された回数であって、野生での個体数でも分布の広さそのものでもありません。GBIF の 126 件の内訳は標本 94 / 人による観察 26 / 生体 4 ほかで、提供元は南部アフリカ植物データベース(BODATSA)88 件・iNaturalist 26 件が中心。最古の記録は 1891 年。

この表の対比は、変種ごとの記録の性格の違いを示しています。GBIF の記録は 4 分の 3 が植物標本(126 件中 94 件)で、研究者が野外で採集して残したものが中心です。栽培で殖やされて広まった株ほど記録には残りにくいという構造があります。「野生記録が少ない = 珍しい」でも「多い = ありふれている」でもありません。変種ごとの記録の濃淡そのものについては、クーペリーの頁が 13 変種ぶんの表で扱っています。

市民科学の側の数字も出しておきます。iNaturalist のピリフェラの観察は 63 件で、うちリサーチグレードが 36 件、野生と記録されたものが 36 件、栽培・飼育と記録されたものが 27 件(42.9%)でした。4 割強が鉢の株ということになります。ただしこの比率を流通量の推定に使うことはできません——観察データには流通名も入手経路も記録されていないからです。

評価された対象カテゴリ出典 / 版
H. cooperi var. piliferaLeast Concern(低懸念)Raimondo et al.(2009)
H. cooperi var. truncata ほか 9 変種Least ConcernRaimondo et al.(2009)
H. cooperi var. venustaCR B1ab(iii,v)+2ab(iii,v)(深刻な危機)Raimondo et al.(2009)
Haworthia cooperi Baker(種)Data Deficient — Taxonomically Problematicレッドリスト版 2014.1(評価日 2014-03-19)
H. cooperi var. pilifera(現在)Not Evaluated(未評価)
理由 =「種内分類群は評価しない」
SANBI 2024.1(変種の頁)
SANBI 南アフリカ植物レッドリストの本変種の頁(2215-304)と親種の頁(2215-4008)の「Assessment History」を 2026-08-14 に照会した実測値。親種の現行評価の評価者は L. von Staden、R.R. Klopper、J.C. Manning。評価履歴は全 16 行あり、15 の種下分類群が 2009 年に個別評価されている。

この表は、ムチカやレツーサとは少し違う形をしています。2009 年の版では、クーペリーの 15 の種下分類群が個別に評価されていました。そのうち 14 が Least Concern(低懸念)で、ピリフェラもそのひとつ。ただ 1 つ、var. venusta だけが CR(深刻な危機)という判定を受けています。

ところが 2014 年に、変種ごとの評価が無くなりました。SANBI は種のクーペリーに Data Deficient — Taxonomically Problematic(データ不足 — 分類学的に問題あり)という判定を与え(2014-03-19)、その理由を「変異が大きく他のハオルチアと区別しにくい。とくに H. cymbiformisH. decipiens と紛れる。分類が解決するまで絶滅リスクを評価できない」としました。そして変種の側の頁は「Not Evaluated(未評価)」に変わり、理由の欄には「種内分類群は評価しない: Haworthia cooperi を見よ」とだけ書かれています。

整理すると、こうなります。ピリフェラは「危険がある」とも「危険がない」とも、いまは言われていません。2009 年には低懸念という判定を一度もらっていましたが、2014 年に名前の線が引けなくなり、判定そのものが取り下げられました評価が外れたのは、危険が減ったからではなく、評価する単位が定まらなくなったからです。「線が引ける分類群には評価が付き、引けない分類群には付かない」——本記事がここまで追ってきた名前の話は、保全のところで実務に直結します。

SANBI の親種の頁には脅威(Threats)の欄そのものが無く、個体群動向も Unknown(不明)とだけ記されています。

見分けの入口 — 候補までを出して、手順は別の頁へ

「ピリフェラ」と表示されうるもの — 断定でなく「次に見る所」の表
pilifera 名義 VAR. PILIFERA
名前の出どころ
Baker・1870 の記載 → Bayer・1999 の組合せ
照合先の扱い
受理名(GBIF / WFO / SANBI)
次に見る所
鈍く終わる葉先に尖りが残るか。葉縁と竜骨が角張るか。ただし程度の問題で線は引けない
obtusa 名義 H. OBTUSA VAR. PILIFERA
名前の出どころ
Uitewaal・1948 の組合せ(1974 年に否定)
照合先の扱い
同じもののシノニムとして畳まれている
次に見る所
見た目では分けない。古い体系の表記であって別の植物ではない
隣の変種 TRUNCATA / DIELSIANA
名前の出どころ
それぞれ独立した受理変種
照合先の扱い
Bayer が「区別は主に地理的な根拠による」と明記
次に見る所
葉先が完全に切り詰まるか。姿の手順は見分け方の頁
交配・斑入り銘 HYBRID / VARIEGATE
名前の出どころ
栽培の現場で付けられた呼び名
照合先の扱い
学名の照合先には載らない
次に見る所
外から確かめる手立てがふつう無い。表示として受け取る

この表は「答え」ではなく「次に何を見るか」の表です。そしてピリフェラの場合、その断り書きには具体的な裏づけがあります。南アフリカの評価機関が、親種のクーペリーについて「変異が大きく区別しにくい」と評価文に書き、変種の評価そのものを取り下げているからです。評価機関が単位として扱えないと判断した相手を、写真 1 枚で分けられると考えるほうが不自然です。

そのうえで、手元の株を見るときの入口を 3 つ挙げておきます。ひとつは葉が鈍く終わりながらも先端に尖りが残っているか。完全に平らに切り詰まっているなら var. truncata や var. dielsiana の側を先に疑います。ふたつめは葉縁と竜骨(葉の裏の稜)が鋭く角張っているか。みっつめは強い光に置いたときに株が地表と同じ高さまで沈み、葉先が枯れて壊死した末端部を作るか——これは Bayer が変種の識別として書いている 3 点そのものです。ただし、この 3 つがそろっても隣の変種は残ります。

もうひとつ、生育場所という手がかりもあります。1974 年の論文が示したとおり、この仲間は草地の浅い土壌に生えるのに対し、シンビフォルミスは川沿いの岩壁にしか生えません。「H. pilifera は岩壁で見つかったことが一度もない」という G.G. Smith の一文は、姿ではなく暮らし方で名前を確かめた例です。ただし、これは自生地でしか使えない手がかりで、売り場や写真では役に立ちません。逆に言えば、写真で分けようとすること自体に無理があるということでもあります。

ここから先の絞り込みは、この頁の担当ではありません。軟葉系のなかで名前が絞りきれないとき、あるいは硬葉系との区別からやり直したいときは、見分け方ガイドの入口からお進みください。3 択で大きく振り分ける手順は、その入口に図解でまとめてあります。シンビフォルミスとの違いを先に押さえたい方は、そちらの頁もあわせてどうぞ。

育て方の要点 — 光・水・用土・冬

LIGHT 言えるのは自生地が草地のまばらな植被の岩がちな場所(Bayer & Pilbeam 1974)で、遮るものが少ないこと。記載には「直射日光にさらされると葉先が切り詰まり、壊死した末端部を作る」とある。本記事 08 章の写真でも、日を強く受けた株だけが紫褐色に染まっている。
WATER 自生地は浅い土壌で、根は太く多肉で広がると記される(1974)。水が溜まらない立地という前提から、ハオルチア共通の考え方(用土が乾いてから与える)を当てるのが実際的。頻度の数値は書かない。
SOIL 用土と鉢 1974 年の記述は「まばらな植被の岩がちな場所、たいていは浅い土壌」粗い粒と排水が前提の環境だが、配合そのものの一次情報は無いため、資材ガイドの一般解を使う。記載には「地表面に非常に強く引き込まれる」ともあり、深鉢が必須という意味ではない。
TEMPERATURE 温度 越冬の具体的な数値は変種固有の一次情報が無く要確認(本サイト共通の目安は最低 3〜5℃)。SANBI の PlantZAfrica に親種の頁も変種の頁も存在しないため、公的機関からは栽培条件が取れなかった(2026-08-14 実測)。

この節は、他の品種頁と書き方を変えています。SANBI が運営する PlantZAfrica にクーペリーの解説頁が無く(02 章)、Bayer 1999 も変種の項に形態の数値も栽培の記述も置いていません。本変種だけを対象にした光量・灌水頻度・用土配合・耐寒温度の一次情報は、今回の照会範囲では確認できませんでした。推測の数値は置かず、自生地の記述から導ける前提と、種・属共通の考え方までを書きます。

自生地の記述から言えることはあります。1974 年の論文はこの仲間を「草地の、まばらな植被の岩がちな場所、たいていは浅い土壌」に生えるとし、根を「太く多肉で広がる」と記しています。浅くて明るく、水の溜まらない場所——この条件が、鉢での用土と置き場所を考えるときの土台になります。用土・鉢・棚・照明の選び方は育成環境ガイドにまとめています。

光については、記載にはっきりした記述があります。Bayer 1999 は、この変種が「地表面に非常に強く引き込まれており、直射日光にさらされると葉先が切り詰まって壊死した末端部を作る」と書いています。同書の図版説明には「切り詰まった葉先は美しく脈が出ることがあり、光を遮るためほとんど壊死状になることがある」ともあります。つまり強い光の下で葉先が枯れるのは、この植物にとって異常ではなく反応のひとつだということです。ただし、これは自生地での姿であって、鉢で同じようにすべきだという意味ではありません。光の強さと葉色の関係はハオルチアの育て方に委ねます。

殖え方については、種のレベルで記述があります。Bayer 1999 はクーペリーを「しばしば増殖性(often proliferous)」——つまり仔株を出しやすい——と記載しています。本記事 08 章の写真でも、小さなロゼットがいくつも寄り集まって群れをつくっています。ただし変種ごとの殖え方の差は、一次情報が見あたりません。株分け・葉挿しといった一般的な手順はハオルチアの増やし方に、花についてはハオルチアの花にまとめています。

最後に、姿が変わったときの読み方です。軟葉系の植物は、光が足りないと葉が立ち上がって間延びし、ロゼットの形が崩れることがあります。「図鑑の写真と手元の株が違う」ときに、まず疑うのは品種ではなく環境という順序を覚えておいてください。とくにこの植物は、記載の側が強い光で葉先の形が変わると書いているので、同じ株でも置き場所で見え方が変わります。姿が間延びする原因と戻し方の一般論はハオルチアの徒長にまとめました。

入手時の注意 — ラベルの学名が 4 通りある

売り場・ラベルで見かける表記それが指すもの読み方
Haworthia cooperi var. pilifera本変種Bayer・1999 の組合せ。照合先が受理している表記
Haworthia pilifera同じものBaker・1870 の名前。129 年ぶん古い、独立種だった時代の表記
Haworthia obtusa var. pilifera同じものUitewaal・1948。1974 年に否定された体系の表記。偽物という意味ではない
Haworthia cooperi f. pilifera同じものPilbeam・1983。階級だけが「品種(forma)」になっている
Haworthia stayneri / H. salina同じものvon Poellnitz・1937 / 林・2010。別種として立てられ、のちに統合された
Haworthia luri同じもの(照合先の扱い)林・2018。SANBI は「不正な発表」と注記。当否は判定しない
斑入りの銘(錦・変異個体名など)栽培の現場の名前由来を外から確かめる手立てがふつう無い。「そう表示されている」事実として扱う
受理・シノニムの関係は GBIF Backbone と World Flora Online(2026-06 版)を 2026-08-14 に照会した実測値、各名前の書誌は国際植物名索引(IPNI)、「不正な発表」の注記は SANBI レッドリストの変種頁による。サイト内の名前の突き合わせは名前の対照表へ。

買った株のラベルが上のどれかで割れていたとき、どう受け取ればよいか。この頁の答えは、「どれかが偽物という意味にはならない」です。ラベルは、それが作られた時点の分類を保存していると考えるほうが実態に近いといえます。Haworthia pilifera と書かれた札は 1870 年から 1948 年まで、そして 1974 年から 1999 年までのあいだ、まさしく正しい表記でした。

実務的に効いてくるのは、育て方や来歴を調べるときです。ラベルの名前で検索すると、古い名義では公的なデータベースにたどりつきにくくなります照合先が受理している名前は Haworthia cooperi var. pilifera なので、情報をたどるときはその表記を起点にするのが早道です。名前の対照表に、旧名と現行名を並べてあります。

「オブツーサ」という札との関係についても、ひとこと添えておきます。売り場では、葉先が丸くふくらんだ株が「オブツーサ」、葉先に毛が残る株が「ピリフェラ」として並ぶことがあります。この対比自体は、両者が別々の受理変種であることと矛盾しません。ただし07 章で見たとおり、Bayer 自身が隣接する変種との区別を「主に地理的な根拠による」と書いており、産地の分からない栽培株ではその根拠が使えません。銘ごとの比較はオブツーサの種類と違いが扱っています。

斑入りや園芸銘についても、扱いを分けています。園芸銘の正式名を決めるのは日本ハオルシア協会で、同会は 2014 年に ISHS(国際園芸学会)から Haworthia の国際栽培品種登録機関(ICRA)に指定されています。登録の担当は林雅彦氏で、Haworthia(HaworthiopsisTulista を含む)・AstrolobaChortolirion とそれらの交配種を、ひとつの品種名グループとして扱うという枠組みです(ISHS の ICRA 一覧・2026-08-14 実測)。園芸銘は、協会の登録名が正になります。

ただし、個々の銘は列挙しません。今回の照会範囲では、日本語で通用する呼び名を一次ソースで裏づけられなかったためです。Wikimedia Commons には漢字の名前が付いた写真もありますが、実測するといずれも中国語(zh-tw)のタグが付いた記述で、日本語の一次記述ではありませんでした。

価格については、この頁では扱いません。「ピリフェラ」というラベルで売られる株に無斑個体と斑入りの銘が混ざることが分かっているからです。名前ごとの集計がそのまま参考値にならない以上、数字を出すこと自体が誤解のもとになります。

まとめ

Summary
名前の決まり方は、思っているより頼りない
ピリフェラは、南アフリカ東ケープ州に生える軟葉系ハオルチアで、いまはクーペリーの変種として扱われています。1870 年 9 月、Baker はクーペリーを図版 233、ピリフェラを図版 234 に置いて、同じ本で並べて発表しました。1948 年にいちど別の名前へ畳まれ、1974 年に復活し、1999 年にまたクーペリーへ畳まれています。最後の統合の理由は、姿の再検討ではなく「クーペリーのほうが図版 1 枚ぶん手前にあった」という頁の優先でした。
図版 233 と 234同じ 1870 年 9 月、同じ本の連続する 2 枚。1 枚の差が名前を決めた
1948 年、絵 1 枚で消えた根拠はキューにある水彩画。1974 年に否定される
「毛を持つ」は名前だけ変種の記載に毛の量は書かれていない
記録は最多、判定は未評価13 変種で 126 件と最多。2009 の低懸念は 2014 に取り下げ
  • ピリフェラの現行の受理名は Haworthia cooperi var. pilifera (Baker) M.B.Bayer で、組合せは Bayer が 1999 年『Haworthia Revisited』54 頁で立てたものです(GBIF usageKey 2780109 / WFO wfo-0000650023 / IPNI 1014740-1)
  • 基になった名前は Haworthia pilifera Baker で、Saunders『Refugium Botanicum』第 4 巻の図版 234 に発表されました。1 枚手前の図版 233 が Haworthia cooperi です。発表年は GBIF と WFO が 1870 年、Bayer 1999 は 1871 年と記します
  • Bayer は本変種を「この変種が種の本体をなす」と記しています(1999)。脇に置かれた派生ではなく、クーペリーという種の中心にある集団という位置づけです
  • 名前は 150 年で 4 回、階級と親が変わりました — 1870 年に種、1948 年に H. obtusa の変種、1983 年に H. cooperi の品種(forma)、1999 年に H. cooperi の変種。1937〜1940 年には自分が親で、下に変種を持っていた時期もあります
  • 1948 年に名前を消した根拠は、キュー植物園の図書室にある 1 枚の水彩画でした(画家 Thomas Duncanson)。Bayer & Pilbeam(1974)は、Uitewaal が Haworth の原記載を「不完全で誤解を招く」と退けたうえで絵から記述を書き起こしたと指摘しています
  • 1974 年の論文は「Uitewaal は誤っていた」と結論し、ピリフェラを種として復活させました。根拠は絵ではなく、草地に生えるか岩壁に生えるかという生育のしかたの違いでした
  • ところが 1999 年、同じ著者が今度はクーペリーへ畳みました。理由は H. cooperi が「頁の優先(page preference)」を持つというもの。この結末は 1974 年の論文の脚注で、著者自身が予告していました
  • 種小名 pilifera は「毛を持つ」の意と Bayer が注記しています。ただし変種の項に毛の量の記述はなく、逆に種 H. cooperi の側が「一般に毛が少ないか短い」と書かれています毛の量で変種は決まりません
  • 変種の識別として記されているのは、鈍く終わる末端部に尖りが残る / 葉縁と竜骨が鋭く角張る / 地表面に強く引き込まれ、直射日光で葉先が切り詰まり壊死末端を作る の 3 点です(Bayer 1999)
  • 変種固有の形態の数値は、一次記載に存在しません。ロゼット径 120 mm まで・葉 20〜40 枚などは種の記載値です。花期の月・耐寒温度・灌水頻度・用土配合は確認できず、書いていません
  • 自生地は南アフリカ固有・東ケープ州のみ(SANBI)。分布の中心は King Williamstown と Grahamstown、生育環境は草地のまばらな植被の岩がちな場所・浅い土壌です
  • GBIF の出現記録は 126 件で、クーペリー 13 変種のうち最多(種全体 549 件の 23.0%)。一方 売り場でいちばん見かける var. truncata(オブツーサ)は 4 件です。件数は記録された回数であって個体数ではありません
  • 保全評価は、2009 年に Least Concern(低懸念)でしたが、2014 年に親種ごと Data Deficient へまとめられ、変種は「Not Evaluated(未評価)」になりました危険が減ったからではなく、評価する単位が定まらなくなったからです
  • 売り場のラベルの学名は 4 通り以上に割れますが、どれかが偽物という意味ではありません。ラベルは作られた時点の分類を保存しています
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FAQ

オブツーサとピリフェラは、どう違うのですか?
名前の関係でいえば「兄弟」です。どちらも Haworthia cooperi という 1 つの種の変種で、1999 年の『Haworthia Revisited』では 54 頁(ピリフェラ)と 55 頁(トゥルンカータ = オブツーサ)という隣のページに並べて置かれました。上下関係はありません。ただし姿での区別は簡単ではありません。Bayer 自身が、隣接する変種との区別を「主に地理的な根拠による」と書いており、産地の分からない栽培株ではその根拠が使えないからです。売り場の「オブツーサ」という名前がいま何を指しているかはオブツーサの頁が、姿での振り分け手順はクーペリー系の見分け方が担当しています。
「Haworthia pilifera」というラベルで買いました。古い名前ですか?
いまの照合先では受理されていない表記ですが、間違いではありませんHaworthia pilifera Baker は 1870 年に独立した種として発表された名前で、1948 年から 1974 年までのあいだと、1999 年以降は別の名前へ畳まれていますが、1974 年から 1999 年までは正式な種名として使われていました。ラベルは、それが作られた時点の分類を保存していると考えるほうが実態に近いといえます。育て方や来歴を調べるときは、現在の受理名 Haworthia cooperi var. pilifera で検索すると公的なデータベースにたどりつきやすくなります。
「毛を持つ」という名前なのに、うちの株はあまり毛がありません
毛の量で変種は決まりませんpilifera の語義が「毛を持つ」であることは Bayer の注記どおりですが、Bayer 1999 の変種の項には毛の量についての記述がありません。書かれているのは「鈍く終わる末端部に尖りが残る」「葉縁と竜骨が鋭く角張る」「地表面に強く引き込まれる」の 3 点です。しかもH. cooperi の側は「一般に毛が少ないか、毛が短い葉によって区別される」と書かれています。名前が形質をひとつ名指ししていても、その形質だけで分類群が決まるとは限らない——この属ではよくあることです。
なぜピリフェラは種から変種になったのですか?
「頁の優先」という、書誌上の理由です。1870 年 9 月、Baker は同じ本の連続する 2 枚の図版に Haworthia cooperi(図版 233)と Haworthia pilifera(図版 234)を発表しました。1999 年に Bayer が両者を 1 つにまとめたとき、採用理由に挙げたのがH. cooperi も等しく適用でき、他の 2 つの名前に対して page preference(頁の優先)を持つ」という一文でした。姿の再検討で決まったのではなく、どちらの図版が先にあったかで決まったということになります。しかもこの結末は、1974 年の論文の脚注で、同じ著者が自分から予告していました
「Haworthia obtusa var. pilifera」という表記を見かけました。別の植物ですか?
同じものを指す、1948 年の表記です。オランダの Uitewaal が『Succulenta』誌 29 巻 50 頁で、Haworthia piliferaHaworthia obtusa の変種へ落としたときの名前です。1974 年に Bayer と Pilbeam がこの扱いを否定し、現在は GBIF・World Flora Online・SANBI とも H. cooperi var. pilifera のシノニムとしています。ただし「偽物」という意味ではありません。Wikimedia Commons のピリフェラのカテゴリでは、いまも 13 枚中 3 枚のファイル名にこの obtusa 名義が残っています(2026-08-14 実測)。
ピリフェラは絶滅危惧種ですか?
現在は「未評価」という扱いです。南アフリカのレッドリストは本変種の頁を Not Evaluated とし、理由に「種内分類群は評価しない: Haworthia cooperi を見よ」と記しています。親種のクーペリーは Data Deficient — Taxonomically Problematic(2014-03-19)です。ただしこれは「安全」という意味ではありません。2009 年の版では本変種に Least Concern(低懸念)という判定が付いており、その判定が 2014 年に取り下げられたという順序です。カテゴリが外れたのは危険が減ったからではなく、評価する単位が定まらなくなったからです。なお同じ 2009 年の版では、var. venusta だけが CR(深刻な危機)と判定されています。
何℃まで耐えられますか?
最低でも 3〜5℃ を下回らせないのが実用の線です(ハオルチア属全体の一般的な指針)。本変種に固有の耐寒限界を示す信頼できる一次情報は確認できていません。軟葉系の頁は SANBI の PlantZAfrica にある種ごとの解説を土台にしていますが、クーペリーにもピリフェラにも、その頁が存在しません(2026-08-14 に確認。同サイトの H. cymbiformis の頁は開きます)。さらに Bayer 1999 は変種の項に栽培の記述を置いていません。自生地は東ケープ州の草地ですが、それは南アフリカの話であって、日本の屋外で越冬できるという意味ではありません。
葉先が枯れて茶色くなりました。病気でしょうか?
記載には手がかりがあります。Bayer 1999 はこの変種について「地表面に非常に強く引き込まれており、直射日光にさらされると葉先が切り詰まって壊死した末端部を作る」と書き、図版の説明では「切り詰まった葉先は美しく脈が出ることがあり、光を遮るためほとんど壊死状になることがある」としています。つまり強い光の下で葉先が枯れるのは、この植物にとって異常ではなく反応のひとつだという読み方ができます。とはいえ原因は光だけとは限りません。「図鑑の写真と手元の株が違う」ときに、まず疑うのは品種ではなく置き場所や光の量という順序をおすすめします。姿が間延びする原因と戻し方の一般論はハオルチアの徒長にまとめてあります。
道具はここに集約
ハオルチアの育成環境ガイド(LED・用土・鉢・棚)
親にあたる種
ハオルチア・クーペリー(Haworthia cooperi)|13 変種の全体像と自生地・名前の来歴
隣のページの変種
オブツーサとは|学名・自生地・クーペリー 13 変種のなかでの位置
姿から絞り込む
クーペリー系の見分け方|オブツーサ・シンビフォルミス・レツーサを 3 つの軸で分ける
出典
  • GBIF Backbone Taxonomy — Haworthia cooperi var. pilifera (Baker) M.B.Bayer(usageKey 2780109・status ACCEPTED・rank VARIETY・publishedIn Haworthia Revisited: 54, 1999・親 2780103)とその種階級以下のシノニム 14 件、基になった名前 Haworthia pilifera Baker(usageKey 2780117・Refug. Bot. 4: t. 234, 1870)。2026-08-14 照会: GBIF 種ページ(var. pilifera) / 同(H. pilifera Baker)
  • GBIF Backbone — 親種 Haworthia cooperi Baker(usageKey 2780103・Refug. Bot. 4: t. 233, 1870)と、その受理変種 13 の一覧・各組合せの発表頁。API が返す子ノード 14 件のうち 1 件は菌類の配列由来の識別子で、変種として数えていない。2026-08-14 照会: GBIF 種ページ(H. cooperi)
  • GBIF Backbone — Haworthia obtusa Haw.(usageKey 2779856・status SYNONYM・Philos. Mag. J. 67: 282, 1825)の受理名が Haworthia cymbiformis var. obtusa (Haw.) Baker(usageKey 2779852)であること。2026-08-14 照会: GBIF 種ページ(H. cymbiformis var. obtusa)
  • GBIF Occurrence — var. pilifera の出現記録 126 件、国別(南アフリカ 117)、州別(東ケープ 114)、記録種別(標本 94 / 人による観察 26 / 生体 4 ほか)、提供元別(南部アフリカ植物データベース 88 / iNaturalist 26 ほか)、年代別(最古 1891 年)、登録された元の学名の内訳(var. pilifera 名義 117 / H. pilifera Baker 7 / H. obtusa var. pilifera 1 / H. cooperi f. pilifera 1)。比較に用いた H. cooperi(549)と var. truncata(4)の件数も同 API で実測。2026-08-14 照会: GBIF Occurrence 検索(taxonKey 2780109)
  • IPNI(国際植物名索引)— Haworthia cooperi var. pilifera(Haworthia Revisited 54, 1999 / IPNI 1014740-1): IPNI 1014740-1 / Haworthia pilifera Baker(Refug. Bot. [Saunders] t. 234 / IPNI 536164-1): IPNI 536164-1 / Haworthia cooperi Baker(同 t. 233 / IPNI 536029-1): IPNI 536029-1 / Haworthia obtusa var. pilifera (Baker) Uitewaal(Succulenta 29: 50, 1948 / IPNI 77278854-1): IPNI 77278854-1 / Haworthia obtusa f. truncata H.Jacobsen(Natl. Cact. Succ. J. 10: 81, 1955 / IPNI 51027785-1): IPNI 51027785-1IPNI は Baker の 2 名について発表年を記さず、書誌に「第 1〜5 巻・1869〜82 年」とあるのみ
  • World Flora Online(分類版 2026-06)— Haworthia cooperi var. pilifera は受理(WFO ID wfo-0000650023)、Haworthia pilifera Baker(wfo-0000652528)を含むシノニム 14 件とその書誌。2026-08-14 に照合 API で実測。WFO のサーバーは証明書の中間鎖を送っていないためリンク検査を通せませんので、リンクではなく WFO ID を記します(worldfloraonline.org で ID を検索してください)
  • SANBI 南アフリカ植物レッドリスト — 本変種の頁(2215-304)の国内評価 Not Evaluated と理由「種内分類群は評価しない: Haworthia cooperi を見よ」、およびシノニム 12 件(H. obtusa var. pilifera / var. salina / var. stayneriH. salinaH. luri〔invalidly published と注記〕ほか)。2026-08-14 照会: SANBI レッドリスト(var. pilifera)
  • SANBI 南アフリカ植物レッドリスト — 親種 Haworthia cooperi の頁(2215-4008)の全国評価 Data Deficient – Taxonomically Problematic(評価日 2014-03-19、評価者 L. von Staden・R.R. Klopper・J.C. Manning)、評価理由(H. cymbiformisH. decipiens と区別しにくい)、南アフリカ固有、分布州(東ケープ)、個体群動向 Unknown、属についての注記、および評価履歴 16 行(2009 年の版で var. pilifera = Least Concern、var. venusta = CR ほか)。2026-08-14 照会: SANBI レッドリスト(H. cooperi)
  • SANBI 南アフリカ植物レッドリスト — var. truncata の頁(2215-307)。シノニム欄に Haworthia obtusa Haw. var. pilifera (Baker) Uitewaal forma truncata H.Jacobsen が記載されている(本記事 05 章)。2026-08-14 照会: SANBI レッドリスト(var. truncata)
  • SANBI PlantZAfrica — 本変種にも親種にも解説頁が存在しないこと(haworthia-cooperi / haworthia-cooperi-var-pilifera / haworthia-pilifera が HTTP 404 / 同サイトの H. cymbiformis の頁は 200)を 2026-08-14 に実測: SANBI PlantZAfrica(比較に用いた頁)
  • iNaturalist — Haworthia cooperi var. pilifera(taxon 599559)の観察 63 件、うちリサーチグレード 36 / 野生 36 / 栽培 27。2026-08-14 実測: iNaturalist taxon 599559
  • Wikimedia Commons — Category:Haworthia cooperi var. pilifera(ファイル 13 件。うち 3 件のファイル名が obtusa 名義、1 件はラテン学名を含まない)。Category:Haworthia pilifera はカテゴリとして存在しない。各画像のライセンス版と作者は API で個別に実測
  • Bayer, M.B. 1999. Haworthia Revisited — 8. Haworthia cooperi(著者自身が全文を公開しているテキスト。査読誌ではありません)。本記事が引いたのは、種の記載(ロゼット径 120 mm まで・しばしば増殖性・葉 20〜40 枚・葉縁の刺 2 mm 未満・青緑で露出時に紫を帯びる・花序 20 cm まで・花 20〜30 個で花被は白)、H. cooperi は一般に毛が少ないか毛が短い葉によって区別される」H. cooperi も等しく適用でき、他の 2 つの名前に対して page preference を持つ」、var. pilifera の項(語義注記「pilifera: with hairs」・レクトタイプが図版 234 という図であること・「この変種が種の本体をなす」・識別の 3 点・産地一覧)、var. truncata の項(「Breuer 氏の指摘が無ければ H. cymbiformis var. obtusa へ組み入れていた」「これは選択が完全に開かれたままの事例である」・「区別は主に地理的な根拠による」・形態の記載値)。2026-08-14 照会: Haworthia Revisited 8. Haworthia cooperi
  • Bayer, M.B. & Pilbeam, J.W. 1974.「Name Changes in Haworthia Concerning H. obtusa Haw. and H. pilifera Bak.」Cactus & Succulent Journal (U.S.) Vol. XLVI. 本記事が引いたのは、Uitewaal(1948)がキュー植物園の水彩画(画家 Thomas Duncanson)を根拠に H. piliferaH. obtusa の変種へ落としたことHaworth の原記載を「不完全で誤解を招く」と退けて絵から記述を書き起こしたという指摘、引用される G.G. Smith の書簡(「絵から記述をこしらえている」「H. pilifera は岩壁で見つかったことが一度もない」)、H. piliferaH. cymbiformis の生育地・色・根・露出時の反応・花の違い、カルー植物園での 5 か月の比較栽培、1974 年時点の分布の範囲、H. cooperi が page priority を持つことになる」という末尾の脚注、Baker の 2 図版がともに 1870 年 9 月の日付であること。2026-08-14 照会: Name Changes in Haworthia(1974)
  • ISHS(国際園芸学会)ICRA 一覧 — Haworthia の国際栽培品種登録機関が HAWORTHIA SOCIETY OF JAPAN(日本ハオルシア協会・2014 年指定)であること、登録担当が Dr Hayashi Masahiko であること、対象が Haworthia(HaworthiopsisTulista を含む)・AstrolobaChortolirion とその交配種を 1 つの品種名グループとして扱うこと。2026-08-14 照会: ISHS ICRA 一覧 #100
  • 本記事が参照した分類整理の一次文献: Baker, J.G. 1870. Refugium Botanicum(Saunders)4 / Kuntze, O. 1891. Revisio Generum Plantarum 2 / von Poellnitz, K. 1937–1940. Feddes Repertorium 42・44・49 / Uitewaal, A.J.A. 1948. Succulenta 29 / Jacobsen, H. 1955. National Cactus & Succulent Journal 10 / Pilbeam, J. 1983. Haworthia & Astroloba: a Collector’s Guide / Bayer, M.B. 1999. Haworthia Revisited. Umdaus Press / Bayer, M.B. & Manning, J.C. 2012. Haworthia Update 7(4) / Raimondo, D. et al. 2009. Red List of South African Plants. Strelitzia 25(いずれも GBIF / IPNI / SANBI / WFO の書誌欄に記載。原典は直接参照しておらず、記述はデータベースの登録内容と、著者自身が公開しているテキストにもとづきます)
  • 画像は CC ライセンス画像(PD / CC0 / CC BY / CC BY-SA)のみを使用しています。各画像の作者・ライセンス・出典は 画像クレジット・出典一覧 に掲載しています
Field Noteデータ集約図鑑

運営者は栽培による一次観察を持たないため、同定は断定せず、候補と「次に見る所」までを示します。本変種ではとくにその制約が重く、南アフリカ国家生物多様性研究所(SANBI)は親種の評価を「変異が大きく他のハオルチアと区別しにくい」として保留し、変種そのものの評価を「未評価」としています形態と語源と名前の来歴は Bruce Bayer の記述にもとづきます — 『Haworthia Revisited』(1999)は著者自身が公開しているテキストで査読誌ではありません(Uitewaal 1948 と Jacobsen 1955 の原記載は未参照)。Bayer 1999 は変種の項に形態の数値を置いていないため、本記事の数値はすべて種 H. cooperi の記載値です花期・耐寒温度・灌水頻度・用土配合は一次情報を確認できず、本記事では書いていません。出現記録の件数は調査・観察の努力量に左右されるため、野生での個体数や分布の広さそのものではありません。また写真の同定は Wikimedia Commons の投稿者・分類カテゴリに由来するもので、当サイトが検分した結果ではありません。

画像クレジット

本記事の写真は Wikimedia Commons の CC ライセンス画像です(PD / CC0 / CC BY / CC BY-SA のみ採用・ND / NC は不採用)。4 枚のライセンス版は 3 通りに分かれます — CC BY 2.5 が 1 枚、CC BY 3.0 が 1 枚、CC BY-SA 4.0 が 2 枚。継承条件が付くのは後者 2 枚です。4 枚とも Commons の分類カテゴリは Haworthia cooperi var. pilifera ですが、うち 2 枚はファイル名が 1948 年の obtusa 名義のままで、本記事はその事実そのものを 06 章の資料として使っています。
扉の写真: Photo: Agnieszka Kwiecień (Nova) / CC BY 2.5, via Wikimedia Commons(ポーランド・ヴロツワフ大学植物園の栽培株)
本文中の 3 枚(03 章・05 章・08 章)の帰属は各 figure のキャプションに記載しています。サイト全体の画像出典は画像クレジットにまとめています。

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