レインワルディ(Haworthiopsis reinwardtii)|「鷹の爪」「九輪塔」はどこを指すのか・白い疣の並びと近縁種の見分け所
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レインワルディHaworthiopsis reinwardtii(旧 Haworthia reinwardtii)
系統硬葉系
自生地南アフリカ東ケープ州
見分けの鍵白い疣の縦の列
硬く厚い葉に白い疣(いぼ)を散らし、茎を伸ばしながら育つ硬葉系のハオルチア。日本では「鷹の爪」「九輪塔」といった和名の名札で並ぶことがありますが、その和名がどの学名を指すのかは、資料ごとに答えが違います。
この記事が扱うのは、和名の当てはめではなく、南アフリカ東ケープ州に自生する Haworthiopsis reinwardtii という種そのものです。どこに生え、どんな疣の並び方をして、認められている変種はいくつあるのか。そして「鷹の爪」「九輪塔」という名前が、どの資料でどこに当てられているのか。どれが正しいかを当サイトが裁定することはしませんが、当てられ方を並べ、名前の現在地までは公的なデータベースで確かめて示します。
この記事でわかること
- 白い疣が葉の長さ方向に連なり、遠目には縦の筋に見えること — 近縁種と分ける第一の手がかり
- 「塔」に立ち上がるのは条件が揃ったときの姿の一つで、自生地では低い株も横たわった茎もふつうに見られること
- 自生地が東ケープ州の乾いた岩山と崖で、保全評価は低懸念でも採取が脅威に挙げられていること
- 「鷹の爪」「九輪塔」がどの学名を指すかは資料ごとに違うこと(九輪塔に当てられる var. chalwinii は、現在 Hp. coarctata 側の異名)
この頁が扱う「レインワルディ」— 2 つの層に乗った名前
「レインワルディ」という言葉が乗っている 2 つの層
FIG.01Two layers
LAYER 1 — 学名の層
Haworthiopsis reinwardtii
1821 年に記載された実在の種。南アフリカ東ケープ州に自生し、分布・保全評価・下位分類が公的データベースに記録されている … この記事の軸はこちら
LAYER 2 — 和名・流通名の層
「鷹の爪」「九輪塔」「星の林」ほか
店頭や図鑑サイトで使われる呼び名。同じ和名が別の学名に当てられている例が実在し、資料ごとに当て方が違う … 第 9 章で並べて扱う
「レインワルディ」は学名由来のカタカナ表記なので、指す先が比較的はっきりしています。迷いが生じるのは、同じ植物に当てられる和名のほうです。「鷹の爪」「九輪塔」といった名前は、資料によって別々の学名に結びつけられています。
そこでこの記事は、学名の層を軸に置きます。まず Haworthiopsis reinwardtii として記録されている植物の姿・分布・分類を整理し、そのうえで和名の当てられ方を第 9 章にまとめて扱います。順序を逆にすると、和名の混乱がそのまま種の説明に流れ込んでしまうからです。
系統ごとの位置づけから確認したい場合は、ハオルチアの品種と系統の全体像が入口になります。本種は硬葉系(Haworthiopsis 属)の代表として、そちらでも 1 枠を占めています。
栽培下でよく見るのは、この 1 枚のような姿です。葉は硬く厚く、茎に沿って何段にも重なります。株元からは子株が出て、放っておけば鉢いっぱいに広がっていきます。ハオルチアといえば半透明の「窓」を思い浮かべる方も多いと思いますが、本種にその窓はありません。見どころは葉の表面に散った白い疣のほうです。
基本情報 — 学名・自生地・耐寒性
Haworthiopsis reinwardtii 基本データ
QUICK SPEC
学名
Haworthiopsis reinwardtii (Salm-Dyck) G.D.Rowley
旧学名
Haworthia reinwardtii (Salm-Dyck) Haw.
基礎異名
Aloe reinwardtii Salm-Dyck (1821)
科
ツルボラン科 Asphodelaceae
系統
硬葉系(Haworthiopsis 属)
種小名の由来
蘭の植物学者 C. G. C. Reinwardt(1773-1854)
自生地
南アフリカ 東ケープ州
分布域
ペディー / イーストロンドン / ポートアルフレッド の間
生育環境
乾いた岩山と崖・岩陰や低木の下
株の大きさ
出典により 5cm〜20cm出典で差
葉の特徴
硬く不透明・らせん配列・白い疣が長さ方向に連なる
花
春・細長い花序に白〜淡桃の筒状花
送粉
スズメバチ類とミツバチ
耐寒性
およそ 5℃ 以上・霜に当てない要確認
保全
低懸念 LC(SANBI)・脅威は採取
下位分類
2 変種 + 4 品種(forma)が受理
学名と自生地は出典で確定できますが、株の大きさと越冬温度は出典どうしが食い違います。この節は、確かめられることと確かめられないことを分けて置くための表です。
学名。現在の受容名は Haworthiopsis reinwardtii (Salm-Dyck) G.D.Rowley で、2013 年の Alsterworthia International 特別号 10 号 5 頁が初出です。もとになった名前(基礎異名)は 1821 年の Aloe reinwardtii Salm-Dyck。園芸の場で今も広く使われる Haworthia reinwardtii は、この種の旧学名にあたります。どちらの表記も同じ植物を指します。種小名はオランダの植物学者カスパル・ラインヴァルトに因むもので、カタカナ表記が「レインワルディ」「レインワルディー」と揺れるのはここが原因です。
自生地。南アフリカ国立生物多様性研究所(SANBI)の PlantZAfrica は、分布を東ケープ州のペディー・イーストロンドン・ポートアルフレッドの間とし、生育地を「乾いた岩山と崖」、露出した斜面または岩陰、草本や丈の高い低木の下と記述しています。日本の室内で見る姿とは相当に違う、乾いた岩まじりの斜面が本来の住まいです。
耐寒性は、ここが正直に書きにくい項目です。英国王立園芸協会(RHS)の品種頁は耐寒性区分 H2、つまり「低温には耐えるが凍結には耐えない(1〜5℃)」としています。ところが英語版 Wikipedia は同じ RHS の百科事典(2008 年版)を引用して「10℃ を下回る状態が長引くのには耐えない」と書いており、数字が一致しません。日本語圏の図鑑サイト PUKUBOOK は耐寒温度 5℃ としますが、同サイトは自ら「正しさよりも楽しさが基本方針」と免責しています。
実用上は「およそ 5℃ 以上を保ち、霜に当てない」を目安とし、種固有の正確な値は「要確認」のまま扱います(属全体の目安の根拠はハオルチアの越冬(耐寒性)にまとめています)。凍結に耐えないという点だけは、どの出典も一致しています。
白い疣の並び — 「縦の列」と呼ばれるもの
TYPE A — 縦の列
長さ方向に連なって筋に見える
白い疣が葉の付け根から先へ向かって連なり、遠目には縦のストライプに見える … reinwardtii に記述される並び方
TYPE B — 細かい点
小さく散ってドット柄に見える
疣が小さく丸く滑らかで、列をつくらずに散る … coarctata に記述される並び方
TYPE C — 横の帯
葉を横切る縞に見える
疣が葉を横切る方向に並び、白い横縞をつくる … 十二の巻・アテヌアータに記述される並び方
FIG.02 … 出典の記述を当サイトが整理した概念図です。実物は個体差・栽培条件・光の当たり方で見え方が変わるため、単独の決め手にはしないでください
本種でいちばん実用的な見どころは、白い疣が葉の長さ方向に連なって筋に見えるかどうかです。これは 3 つの出典が同じ方向を指している、めずらしく揃った記述です。
SANBI の PlantZAfrica は、本種の結節(疣)を近縁種と比べて「より大きく、より平たく、明るい白」と記し、葉についても「より薄く、より狭い」としています。英語版 Wikipedia は逆側から書いていて、coarctata の疣は「より小さく、より滑らかで、より丸い」としています。そして日本語の図鑑サイト PUKUBOOK は、reinwardtii は白いストライプに見えるのに対し coarctata はスポットが小さくドット柄に見えるのが大きな違いだ、と表現しています。
3 つとも、言い方は違っても同じ現象を指しています。疣が連なって線になるか、散って点になるか。学術的な記載と、日本語の販売現場の言葉が、めずらしくきれいに噛み合っている箇所です。
ただし、実物はいつも教科書どおりには見えません。上の 1 枚は植物園で本種として記録された株ですが、疣は写真で見るかぎり細かく、強い日射で葉が赤く染まっているぶんコントラストも落ちています。「縦の列に見えるかどうか」は光と個体に左右されるということが、この 1 枚からも読み取れます。
なお疣の見え方が近い種として Haworthiopsis fasciata(十二の巻)や Haworthiopsis attenuata がありますが、この 2 種の見分けはそれ自体が別のテーマです。詳しくは十二の巻とそっくりなアテヌアータの違いで扱っています。
草姿 — 「塔」は、いつも塔とは限らない
本種は「塔状に立ち上がる」と紹介されることが多いのですが、実際の姿はもっと幅があります。上の写真では、茎が長く伸びたあと自重で倒れ、岩の縁を越えて垂れ下がっています。これは異常な姿ではなく、茎が伸びる植物として自然な結果です。
ここで大事な区別をひとつ。茎が伸びて葉と葉の間隔が広がるのは、本種にとって正常な生長であって徒長ではありません。本種は茎を伸ばしながら葉を重ねていく植物で(英語版 Wikipedia は茎が 20cm まで伸びると記述しています)、年数が経てば縦に長くなっていきます。光不足による徒長は、葉の色が薄くなる・葉が細くひょろつく・全体に締まりがなくなるといった別の変化を伴います。見分け方と対処はハオルチアの徒長の原因と直し方にまとめてあるので、判断に迷ったらそちらを参照してください。
次の 3 枚は、いずれも南アフリカの自生地で撮影されたものです。同じ種として記録されていても、姿はまるで揃いません。
FIELD 01自生地・真上から

礫地に半ば埋もれた株
柱状ではない疣の縦列が明瞭研究グレード
FIELD 02自生地・土の斜面

短い株と横たわる茎が同所に
同じ場所で姿が違う株高の幅の実例同定が割れた観察
FIELD 03自生地・大きさの目安

手を並べたスケール
茎は手のひらほど株自体は小さい種レベルの同定
写真の帰属 … FIELD 01: Photo: Henry de Lange / CC BY 4.0, via iNaturalist(観察 259518264)/ FIELD 02: Photo: Jane le Roux / CC BY 4.0, via iNaturalist(観察 243632694)/ FIELD 03: Photo: Justin Ponder / CC BY 4.0, via iNaturalist(観察 224257314)。ライセンス条文へのリンク付きの帰属は記事末の「画像クレジット」にまとめています
1 枚目は、真上から見ると株が礫地にほとんど埋もれています。柱として立ち上がってはおらず、地面すれすれに葉のロゼットが並んでいるだけです。2 枚目では、短くまとまった株と、茎が長く伸びて横たわった株が同じ斜面に混在しています。3 枚目は撮影者が手をかざしたもので、伸びた茎の長さは手のひらほど。店頭で見かける鉢よりはるかに小さいことが分かります。
ひとつ正直に書いておくと、2 枚目の観察は、投稿者本人と複数の同定者で意見が分かれています。投稿者は現在も Haworthiopsis coarctata と同定していますが、集団としての同定は Haworthiopsis reinwardtii var. reinwardtii に落ち着いています(2026-07-24 に iNaturalist の API で確認)。専門家が現地の写真を見ても割れるという事実は、本種を扱ううえで隠すより示したほうがよい情報だと考えました。
1 枚目の観察でも、投稿者は最初 coarctata として登録し、のちに reinwardtii へ変更しています。この 2 種の取り違えは、日本の店頭に限った話ではありません。
| 出典 | 示している大きさ | 出典の性格 |
|---|---|---|
| SANBI PlantZAfrica | 50〜150mm(最大 200mm) | 自生地の記載(公的機関) |
| 英語版 Wikipedia | 茎が 20cm まで | 二次資料 |
| RHS 品種頁 | 最終樹高 10cm まで / 成熟まで 2〜5 年 | 栽培前提(英国) |
| PUKUBOOK | 「5〜6cm の太い茎」 | 個人運営・自己免責あり |
この表は、姿が一定しないことの数値側の裏づけです。5cm と 20cm では、思い浮かべる植物がまるで違います。実物の写真を並べたうえでこの幅を見ると、「本種は何 cm になる植物か」という問い自体が、あまり意味を持たないことが分かります。
自生地 — 東ケープのどこに生えるか
分布の範囲 — 東ケープの 3 つの町に囲まれた一帯
FIG.03Range
北西の角
ペディー(Peddie)
SANBI が挙げる 3 地点のひとつ … 内陸側の目印
海沿いの 2 点
イーストロンドン / ポートアルフレッド
この 3 点に囲まれた範囲に分布 … 東ケープ州のインド洋側
生育環境 … 乾いた岩山と崖 / 露出した斜面または岩陰 / 草本や丈の高い低木の下
概念図
分布は、東ケープ州のごく限られた一帯に収まっています。SANBI の PlantZAfrica が挙げるのは、ペディー・イーストロンドン・ポートアルフレッドという 3 つの町に囲まれた範囲です。いずれも南アフリカのインド洋側、東ケープ州の海寄りにあります。
生育地は「乾いた岩山と崖」。露出した斜面か岩陰に生え、草本や丈の高い低木の下に入り込んでいると記述されています。前の章で見た自生地の写真が、どれも礫や乾いた土の斜面だったのはこのためです。強い日射が一日じゅう当たる場所というより、岩や草の陰で光が和らぐ環境が本来の住まいだと読み取れます。
気温についても、PlantZAfrica はこの地域の値として冬 7〜20℃、夏の最高 26℃を挙げています。ただしこれは分布域の地域気候であって、株が耐えられる下限ではありません。同じ資料は本種が「霜の降りない乾燥地」で育つとも書いており、越冬温度の目安として直接使える数値ではない点に注意してください。
花は春に咲きます。細長い花序に小さな白〜淡桃の筒状花をつけ、スズメバチ類とミツバチが送粉すると記述されています。バッタが花を食べることも観察されています。姿からは想像しにくいほど地味な花ですが、これは Haworthiopsis 属に共通する特徴です。
保全と利用 — 普通種でも、脅威は採取
評価
低懸念 Least Concern (LC)
評価機関
南アフリカ国立生物多様性研究所(SANBI)レッドリスト
分布の広さ
比較的狭いが、その中では普通に見られる
脅威 1
観賞用多肉植物の取引のための採取名指しされている
脅威 2
薬用植物の取引のための採取
伝統的な利用
伝統的治療師が Haworthiopsis 類を「intelezi」の調合に用いる
信じられている効能
邪気を払う / 戦士を鼓舞する / 縁を結ぶ
園芸での利用
観葉植物・ミニチュアガーデン
出典
SANBI PlantZAfrica(著者 Bathabile Ndlovu・2020 年 9 月)
評価は「低懸念(Least Concern)」です。分布は比較的狭いものの、その範囲内では普通に見られる植物だとされています。前の章で見た自生地の写真に何株も写り込んでいたのは、そういう事情です。
それでも、脅威として名指しされているものがあります。PlantZAfrica が挙げるのは観賞用多肉植物の取引と、薬用植物の取引のための採取です。評価そのものは深刻でなくても、野生株を掘り取る圧力が実在すると公的機関が書いている、という事実は押さえておく価値があります。
薬用というのは、日本の感覚とは少し違う使われ方です。同資料によれば、伝統的治療師が Haworthiopsis 類を「intelezi」と呼ばれる調合に用い、邪気を払う・戦士を鼓舞する・縁を結ぶといった働きが信じられているとされます。観賞用の需要とはまったく別の経路で、野生株に手が伸びているということです。
園芸店に並ぶ株は栽培下で殖やされたものであり、購入がこの評価に直接影響するわけではありません。それでも、「安く手に入る丈夫な多肉」という店頭の印象と、原産地での位置づけが同じでないことは、図鑑として書いておくべき事実だと考えています。
名前の来歴 — 1821 年から 4 つの属を渡ってきた
NAME HISTORY / 1821 → 2013
名前が移ってきた道すじ
1821 — 記載SALM-DYCK
Aloe reinwardtii Salm-DyckObserv. Bot. Horto Dyck.: 37 … 出発点はアロエ属だった
1821 — 同じ年に移動HAWORTH
Haworthia reinwardtii (Salm-Dyck) Haw.Saxifrag. Enum. 2: 53 … 園芸で今も広く使われる旧学名
1891 — 別属への提案KUNTZE
Catevala reinwardtii (Salm-Dyck) KuntzeRevis. Gen. Pl. 2: 707 … 定着せず異名として残る
2013 — 3 属への分割ROWLEY
Haworthiopsis reinwardtii (Salm-Dyck) G.D.RowleyAlsterworthia Int. Special Issue 10: 5 … Haworthia / Haworthiopsis / Tulista の 3 属へ
種数の見解
林 546 / Breuer 366 / Bayer 60見解が分かれる
園芸銘の登録
日本ハオルシア協会(ICRA・2014 年指定)
対象属
Haworthia Duval(Haworthiopsis・Tulista を含む)ほか
登録官
Dr Hayashi Masahiko
出典 = GBIF backbone(API 実測 2026-07-24)/ ISHS ICRA リスト #100
この種の名前は、200 年かけて 4 つの属を渡ってきました。出発点は 1821 年、ザルム=ダイク侯が Aloe reinwardtii として記載したところです。同じ年のうちにホーワースが Haworthia 属へ移し、園芸の世界ではこの Haworthia reinwardtii がいまも広く通用しています。
1891 年にはクンツェが Catevala 属へ移す提案をしていますが、こちらは定着せず異名として残りました。大きく動いたのは 2013 年です。G.D. Rowley が分子系統の成果をふまえ、広い意味での Haworthia を Haworthia(軟葉系)・Haworthiopsis(硬葉系)・Tulista の 3 属に分けました。本種はこのとき Haworthiopsis reinwardtii になりました。ラベルの表記が店ごとに違うのは、この分割がまだ現場に浸透しきっていないからで、旧名が間違いというわけではありません。
ハオルチアが何種あるのかは、いまも決着していません。細分する立場と統合する立場で数字がまるで違い、代表的な見解だけでも林が 546 種、Breuer が 366 種、Bayer が 60 種と開きます。この見解差は抽象的な豆知識ではなく、次の章で見るとおり本種の変種がいくつ認められるかに直接効いてきます。
園芸品種名(銘)の正式な登録先は、日本にあります。国際園芸学会(ISHS)の国際栽培品種登録機関(ICRA)一覧 #100 に登録されているのは日本ハオルシア協会で、2014 年の指定です。対象は原文で「Haworthia Duval(Haworthiopsis G.D. Rowley と Tulista Raf. を含む)」ほかとされており、硬葉系の園芸銘もこの協会の登録が正ということになります。登録官は Dr Hayashi Masahiko。先ほどの「林 546 種」の林と同じ人物です。
受理されている 6 分類群と、異名になった名前
本種の下位分類が乗っている 3 つの層
受理された変種 2 つ
var. reinwardtii
基準変種。種そのもの
var. brevicula
2013 年に Rowley が組み替え
観察数
iNaturalist でどちらも 6 件のみ
受理された品種 4 つ
f. reinwardtii
基準の品種
f. chalumnensis
2016 年 Phytotaxa 265 で組み替え
f. kaffirdriftensis
同上。日本では流通名として見かける
f. olivacea
同上
異名になった名前 6 つ
扱い
現在は独立した分類群ではない
日本の流通銘
星の林・九輪塔がここに含まれる
次に見る所
どの種の異名に落ちているか(下の表)
現在みとめられている下位分類は、2 変種と 4 品種(forma)の計 6 つです。いずれも 2026 年 7 月 24 日に GBIF の分類バックボーンを API で参照して確かめました。うち 3 つの品種は 2016 年の Phytotaxa 265 巻で Haworthiopsis 属へ組み替えられたもので、属の整理がまだ 10 年前の出来事であることが分かります。
そして、日本で売られている名前ほど、異名の側にあります。下の表がそれです。
| 異名になった名前 | 初出 | 現在の受容名(GBIF 実測) | 日本での流通銘 |
|---|---|---|---|
| var. archibaldiae Poelln. | 1937 | Hp. reinwardtii var. reinwardtii | 星の林 |
| var. valida G.G.Sm. | 1943 | Hp. reinwardtii var. reinwardtii | — |
| var. zebrina G.G.Sm. | 1944 | Hp. reinwardtii var. reinwardtii | — |
| var. chalwinii (Marloth & A.Berger) Resende | 1943 | Hp. coarctata var. coarctata | 九輪塔 |
| var. tenuis (G.G.Sm.) Breuer | — | Hp. coarctata var. tenuis | — |
| var. herrei (Poelln.) Halda | 1997 | Hp. glauca var. herrei | — |
この表がこの記事のいちばん重要な部分です。「星の林」として売られる株のもとの名前(var. archibaldiae)は、現在は本種の基準変種に吸収されています。つまり、学名の側では独立した分類群として扱われていないということです。銘としての価値が消えるわけではありませんが、「学名がついているから別物だ」という読み方はできません。
もっと大きく動いたのが下の 3 行です。var. chalwinii と var. tenuis は Haworthiopsis coarctata の側へ、var. herrei は Haworthiopsis glauca の側へ移りました。かつて本種の変種とされていた名前が、いまは別の種の一部として扱われているわけです。次の章で見る和名の混乱は、この動きと無関係ではありません。
ここで、ハオルチアの種数見解の話が効いてきます。林の 546 種という立場と Bayer の 60 種という立場では、これらの名前の扱いが当然変わります。細分派の文献ではいまも独立した分類群として書かれている名前が、統合派のバックボーンでは異名になっている。手元のラベルに書かれた名前が、どちらの立場の文献に由来するのかまでは、ラベルからは読み取れません。
「鷹の爪」「九輪塔」はどこを指すのか
同じ和名が、資料ごとに違う学名へ当てられている
FIG.04Who says what
資料 A — PUKUBOOK(図鑑サイト)
鷹の爪 = reinwardtii / 九輪塔 = 2 か所
本種の頁に和名「鷹の爪」・別名「レインワルディー」。ところが同じサイト内で「九輪塔」の頁が 2 つあり、一方は reinwardtii var. chalwinii、もう一方は coarctata … coarctata 側の別名には「鷲の爪」も並ぶ
資料 B — ELBAZ FARM(硬葉系 15 種の紹介)
九輪塔 = coarctata
15 枠のうち 2 枠が reinwardtii 系(星の林 = var. archibaldiae / カフィルドリフテンシス = f. kaffirdriftensis)。「鷹の爪」の項目は無い
資料 C — isla del pescado(専門店)
九輪塔 = reinwardtii var. chalwinii
商品頁の学名は Haworthia reinwardtii var. chalwinii、和名は九輪塔 … 資料 B とは学名が食い違う
資料 D — 栽培家ブログの考証
出所は 50 年以上前の書籍で、写真が無かった
『趣味の多肉植物』(瀬川弥太郎監修)が鷹の爪を reinwardtii か coarctata に当てており、写真が載っていなかったため業者ごとに解釈が分かれたと考証 … 筆者自身も結論は保留
FIG.04 … いずれも 2026-07-24 に各資料を実取得。当サイトはどれが正しいかを裁定しません。PUKUBOOK 自身も「正しさよりも楽しさが基本方針」と免責しています
「鷹の爪」「九輪塔」がどの学名を指すかは、資料ごとに答えが違います。上の図はその実例を並べたものです。どれかが間違っているというより、そもそも和名の側に確定した定義が無い状態だと考えるほうが実態に近いはずです。
もっとも分かりやすいのは、同一サイト内で「九輪塔」の頁が 2 つある例です。PUKUBOOK には Haworthia reinwardtii var. chalwinii の頁と Haworthia coarctata の頁があり、どちらの和名も「九輪塔」になっています。しかも coarctata の頁には別名として「鷲の爪」が挙がっており、「鷹」と「鷲」まで隣り合っています。
混乱の出どころについては、栽培家による考証があります。ブログ「永たに遠」は、50 年以上前に出版された『趣味の多肉植物』(瀬川弥太郎監修)が鷹の爪を reinwardtii か coarctata のどちらかに当てており、しかもその項目には写真が載っておらず字面だけだったため、業者がそれぞれ独自に解釈して販売した結果、当て方が分かれたままになった、と述べています。筆者自身も、鷹の爪は葉先の細く鋭い reinwardtii 系であるはずだとしつつ、coarctata 系が鷹の爪として流通している矛盾は解けていない、と結論を保留しています。
ここで、前の章の表がもう一度効いてきます。「九輪塔 = reinwardtii var. chalwinii」という当て方と「九輪塔 = coarctata」という当て方は、一見すると矛盾しています。ところがvar. chalwinii という名前そのものが、現在は Haworthiopsis coarctata var. coarctata の異名として扱われています(GBIF 実測)。名前の現在地をたどると、2 つの当て方は同じ場所へ合流するのです。
ただし、これで「九輪塔はコアルクタタである」と結論することはできません。学名の現在地と、店頭の株が実際に何であるかは、別の層の話だからです。当サイトが確かめられるのは名前の側の現在地までで、名札の付いた株の同定はできません。書けるのはここまで——そう区切ることが、この頁の誠実さだと考えています。
この 1 枚は、和名だけの問題ではないことを示しています。写真の説明に残っている ‘Zebrina’ は、学名の側ではすでに異名になった名前です。いったん付いた呼び名は、分類が動いたあとも資料の中に残り続けます。日本語の和名で起きていることは、英語圏の栽培品名でも同じように起きている、というだけの話なのかもしれません。
近縁種との見分け — 「次に見る所」で進める
reinwardtii を中心に置いた比較 — 断定でなく「次に見る所」の表
レインワルディ Hp. reinwardtii
疣
大きく平たく明るい白・長さ方向に連なる
葉
近縁種より薄く狭い
次に見る所
疣が線に見えるか点に見えるか / 斜めからの光で確認
コアルクタタ Hp. coarctata
疣
より小さく滑らかで丸い・散って点に見える
葉
reinwardtii より厚く広いとされる
次に見る所
和名の名札は当てにならない / 記録では最も混同される相手
グラウカ Hp. glauca
疣
写真の株では表面がほぼ平滑
色
名前のとおり青緑を帯びる
次に見る所
var. herrei はかつて本種の変種だった名前
本種の見分けは、疣の並び方から入るのが実用的です。上の表は、reinwardtii を中心に置いて近縁 3 種を並べたものです。どのセルも「これなら確定」ではなく「次に見る所」として書いています。
いちばん混同されるのはコアルクタタです。これは店頭の話だけではありません。iNaturalist の観察記録を数えると(2026 年 7 月 24 日時点)、野生かつ研究グレードの観察は reinwardtii が 17 件、coarctata が 110 件でした。混同相手のほうが 6 倍以上多く記録されているわけで、「レインワルディを調べているのにコアルクタタの情報ばかり出てくる」という体験には、データ側の裏づけがあります。
COMPARE 01コアルクタタ

Hp. coarctata として記録
柱状に直立赤く色づく和名の当て方は資料で割れる
COMPARE 02グラウカ

Hp. glauca として記録
表面がほぼ平滑青緑を帯びるvar. herrei の移り先
COMPARE 03アテヌアータ

Hp. attenuata として記録
疣が横向きに並ぶロゼットにまとまる栽培株の記録
写真の帰属 … COMPARE 01: Photo: Rudolphous / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons(ライデン植物園)/ COMPARE 02: Photo: Abu Shawka / CC0, via Wikimedia Commons / COMPARE 03: Photo: Jeremy Gilmore / CC BY 4.0, via iNaturalist(観察 43089910)。ライセンス条文へのリンク付きの帰属は記事末の「画像クレジット」にまとめています
3 枚を並べると、疣の見え方の違いが分かります。左のコアルクタタは柱状に直立し、疣が葉を横切る向きに見えます。中央のグラウカには疣がほとんど無く、表面は平滑です。右のアテヌアータは疣が明瞭な横並びで、茎は伸びずロゼットにまとまっています。
ここでひとつ注意があります。左と中央の 2 枚は栽培下の株です。右のアテヌアータも iNaturalist 上では栽培株として登録された観察で、しかも研究グレードには達していません。いずれも「そう記録されている」という事実までが当サイトの確認範囲で、標本にあたって検証したわけではありません。
グラウカが表に入っているのには理由があります。かつて本種の変種とされた var. herrei が、現在は Haworthiopsis glauca var. herrei として glauca の側に置かれているからです(前章の表)。和名の混乱が reinwardtii と coarctata の間だけでなく glauca にまで及ぶことがあるのは、この経緯が背景にあると考えられます。
なお十二の巻(Hp. fasciata)とアテヌアータの見分けは、それ自体で 1 本の記事になるテーマです。葉の内側の質感を軸にした整理を十二の巻とそっくりなアテヌアータの違いで扱っているので、そちらへどうぞ。また、疣が列をつくる点でよく比較されるビスコーサは、葉が三列に並ぶ柱をつくるため、螺旋状に葉が回って列に数えにくいレインワルディとは輪郭からして違います。系統全体の地図はハオルチアの品種と系統の全体像にあります。
育て方の要点 — 割れる越冬温度をどう扱うか
LIGHT
明るい日陰から慣らす
RHS は日なた・北または東向きの風の当たらない場所とする … 自生地は岩陰や低木の下(SANBI の記述)なので、いきなり直射に出さず様子を見ながら強くする
WATER
生育期は十分に・それ以外は最小限
RHS の栽培条件 … サボテン用土・低湿度・生育期は十分に水を与え、それ以外は最小限。晩春から夏に薄い低窒素肥料を隔週
WINTER
およそ 5℃ 以上・霜に当てない
出典が 1〜5℃ / 5℃ / 10℃ と割れる … 凍結に耐えない点だけは一致するため、安全側の目安として扱う(要確認)
FIG.05 … RHS 品種頁と SANBI PlantZAfrica の記述を当サイトが整理したものです
育て方そのものは、硬葉系ハオルチアの基本から外れません。水はけのよい用土、風の通る明るい場所、生育期は十分に、それ以外は最小限の水。この 4 点を守れば、多肉植物のなかでは扱いやすい部類に入ります。RHS は成熟までの期間を 2〜5 年としており、殖え方はゆっくりです。
置き場所の推奨は、出典によって印象が変わります。RHS の品種頁は「full sun(日なた)」で北または東向きの風の当たらない場所。いっぽう SANBI の PlantZAfrica は、自生地での本種が岩陰や、草本や丈の高い低木の下に生えると記述しています。日本の夏を考えると、明るい日陰から始めて、様子を見ながら光を強くしていくのが実用の線です。株がゆるんできたときの見分け方は徒長の記事にまとめていますが、茎が伸びること自体は本種の正常な生長なので、葉の色や締まりを合わせて見てください。
越冬温度は、この記事でいちばん歯切れが悪い項目です。RHS 品種頁の H2 は 1〜5℃、英語版 Wikipedia が引く RHS 百科事典(2008 年版)は 10℃、PUKUBOOK は 5℃。同じ RHS を出所とする 2 つの数値すら一致していません。実用上は「およそ 5℃ 以上を保ち、霜に当てない」を目安とし、正確な値は要確認としています。害虫は RHS がカイガラムシに注意すべきとしており、病気には比較的強いとされます。水やり・用土・鉢の考え方はハオルチアの育て方に、LED や棚の選び方は育成環境ガイドにまとめました。
入手のときに見る所 — 和名より、疣
手がかり
店頭で見える
記述と照合できる
単独で決め手
疣が線に見えるか点に見えるか
◎
◎
○
葉の薄さ・幅
○
◎
△
変種名・産地の記録
△
◎
○
学名の表記(旧属名も可)
◎
○
△
和名だけの名札
◎
—
—
読み方 … ◎ = よく効く / ○ = 効くが単独では不足 / △ = 参考程度 / — = 照合できない。当サイトの整理であり、絶対的な基準ではありません
買うときに効くのは、和名の名札ではなく疣です。とくに、葉の表面の疣が線に見えるか点に見えるか。斜めから光を当てて陰影を作ると分かりやすくなります。ただし個体差も栽培条件による見え方の差もあるので、1 つの手がかりで確定させないのが安全です。
和名だけの名札は、照合の材料になりません。この記事で見てきたとおり、「鷹の爪」も「九輪塔」も、どの学名を指すかが資料ごとに違います。名札に和名しか無い場合は、学名を店に確認するか、疣と葉を自分の目で見るしかありません。和名・学名・流通名の対応は名前の対照表から引けます。
変種名や産地の記録がついている株は、情報の確かさが一段上がります。ただし、前の章で見たとおり「星の林」(var. archibaldiae)や「九輪塔」(var. chalwinii)は現在の分類では異名の側にある名前です。銘として記録されていること自体には意味がありますが、学名として別物であることの証明にはなりません。
流通については、専門店の品揃えに reinwardtii 系が実在することを確認しています。isla del pescado は「九輪塔」を Haworthia reinwardtii var. chalwinii として扱い、ELBAZ FARM の硬葉系 15 種の紹介では 15 枠のうち 2 枠(星の林 = var. archibaldiae / カフィルドリフテンシス = f. kaffirdriftensis)が reinwardtii 系です(いずれも 2026 年 7 月 24 日に確認)。「レインワルディ」という名前で探すより、変種銘・流通銘で探したほうが見つかる場合があるということです。
価格については、当サイトは平均価格を掲載していません。流通量の件数も、再現できる出所を明示できないものは書きません。相場も在庫も時期によって動くもので、当サイトの記述が購入価格や入手可能性を保証するものではないことをご了承ください。
園芸銘のついた株については、名前の出どころを確かめてください。園芸品種名の正式な登録先は日本ハオルシア協会(ICRA)で、硬葉系の Haworthiopsis もその対象範囲に含まれます。星の林・竜田の塔・錦の塔・城桜・星夜嵐 といった銘については、当サイトは ICRA 登録の有無を確認できていません。現時点では「流通名」として扱っています。
まとめ
Summary
レインワルディは、4 つの手がかりで捉えられる
白い疣は葉の長さ方向に連なり、遠目には縦の筋に見える。塔状に立ち上がるのは条件が揃ったときの姿の一つで、自生地では埋もれた低い株も横たわった茎もふつうに見られる。自生地は南アフリカ東ケープ州の、ペディー・イーストロンドン・ポートアルフレッドに囲まれた乾いた岩山と崖。そして「鷹の爪」「九輪塔」という和名がどの学名を指すかは資料ごとに違い、当サイトはそれを確定させません。学名は 2013 年に Haworthia から Haworthiopsis へ移りましたが、旧名も広く使われています。
疣は縦の列線に見えるか点に見えるかが第一の見どころ
姿は一定しない株高は出典で 5〜20cm。塔にならない個体も普通
東ケープの限られた一帯乾いた岩山と崖・保全評価は低懸念だが採取が脅威
和名が割れている九輪塔・星の林はいずれも現在は異名の側の名前
- 受容名は Haworthiopsis reinwardtii(2013 年・Rowley)。基礎異名は 1821 年の Aloe reinwardtii、旧学名 Haworthia reinwardtii も有効に使われています
- 認められている下位分類は 2 変種(var. reinwardtii / var. brevicula)と 4 品種(f. reinwardtii / chalumnensis / kaffirdriftensis / olivacea)です
- var. chalwinii(九輪塔)と var. tenuis は現在 Hp. coarctata の側、var. herrei は Hp. glauca の側の異名として扱われています
- 越冬温度に種固有の一次情報はありません。RHS H2(1〜5℃)・RHS 百科事典経由の 10℃・PUKUBOOK 5℃ を併記し、実用上は「およそ 5℃ 以上・霜に当てない」を目安に(要確認)
- 茎が伸びて葉の間隔が広がるのは本種の正常な生長で、光不足による徒長とは分けて考えてください
- 園芸銘の正式な登録先は日本ハオルシア協会(ICRA)で、Haworthiopsis も対象範囲に含まれます
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FAQ
Haworthia reinwardtii と Haworthiopsis reinwardtii はどちらが正しいですか?
同じ植物を指します。2013 年の再分類で硬葉系は Haworthiopsis 属へ移り、現在の受容名は Haworthiopsis reinwardtii です。Haworthia reinwardtii は旧学名で、園芸の場では今も広く使われています。さらに遡ると 1821 年の Aloe reinwardtii が出発点です。
「鷹の爪」はこの植物のことですか?
資料によって当て方が違うため、当サイトは確定させません。図鑑サイト PUKUBOOK は本種の和名として「鷹の爪」を掲げていますが、栽培家による考証では 50 年以上前の書籍が reinwardtii と coarctata のどちらかに当てており、写真が載っていなかったため業者ごとに解釈が分かれた、とされています。名札に「鷹の爪」とだけある場合は、学名を店に確認するか、疣の並び方を自分の目で見てください。
「九輪塔」はレインワルディの変種ですか?
九輪塔として流通する株に当てられる学名 reinwardtii var. chalwinii は、現在の分類バックボーン(GBIF・2026 年 7 月 24 日実測)では Haworthiopsis coarctata var. coarctata の異名として扱われています。ただしこれは名前の現在地の話であって、店頭の九輪塔がコアルクタタであると当サイトが判定したわけではありません。
茎がどんどん伸びて倒れてきました。徒長ですか?
本種は茎を伸ばしながら葉を重ねていく植物なので、年数が経てば縦に長くなり、やがて自重で倒れることもあります。これ自体は正常な生長です。光不足による徒長は、葉の色が薄くなる・細くひょろつく・全体に締まりがなくなるといった別の変化を伴います。判断に迷う場合は徒長の記事を参照してください。
何度まで寒さに耐えますか?
およそ 5℃ 以上を保ち、霜に当てない — これが実用の線です。出典は割れていて、RHS の品種頁は耐寒性区分 H2(1〜5℃)、英語版 Wikipedia は RHS 百科事典を引いて 10℃、PUKUBOOK は 5℃ としています。凍結に耐えない点だけは共通なので、そこから取ったのがこの目安です。種固有の一次情報は無く、正確な値は要確認としています。
コアルクタタとの見分け方は?
3 つの出典が同じ方向を指しているのは、白い疣の並び方です。reinwardtii は疣が大きく平たく明るい白で、葉の長さ方向に連なって線に見えるとされます。coarctata は疣がより小さく滑らかで丸く、散って点に見えるとされます。ただし個体差と光の当たり方で見え方が変わるため、単独の決め手にはしないでください。
手元の株がレインワルディかどうか知りたいのですが。
次の 3 点を順に見てください。①疣が線に見えるか点に見えるか ②葉が薄く狭いか ③変種名や産地の記録があるか。この 3 点で候補はかなり絞れます。ただし自生地の写真ですら専門家の同定が割れる種なので、そこから先が決まらないこと自体はめずらしくありません。
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出典
- SANBI PlantZAfrica — Haworthiopsis reinwardtii(分布・生育環境・株の大きさ・花と送粉者・保全評価 Least Concern・脅威としての採取・伝統的利用・繁殖・地域気温。著者 Bathabile Ndlovu, KwaZulu-Natal National Botanical Garden, 2020 年 9 月)
- GBIF Backbone Taxonomy(Kew の POWO に準拠)— API で 種 9252540 の受容状態・基礎異名・異名 3 件・種内分類群 6 件、および異名 6 件それぞれの現在の受容名を実測(2026-07-24)
- iNaturalist — 観察 262134660 / 259518264 / 243632694 / 224257314 / 43089910 の現行同定・グレード・野生栽培の別を API で実測。観察数(全 86 / 野生 22 / 野生かつ研究グレード 17。coarctata は 521 / 138 / 110)も同日実測
- RHS Plant Finder — Haworthiopsis reinwardtii(耐寒性 H2 = 1〜5℃・最終樹高 10cm・成熟まで 2〜5 年・栽培条件・カイガラムシ・AGM)
- 英語版 Wikipedia — Haworthiopsis reinwardtii(茎 20cm・coarctata との疣の対比・RHS 百科事典 2008 年版を引用した「10℃」の記述)
- ISHS International Cultivar Registration Authority list — #100 Haworthia Society of Japan(登録官 Dr Hayashi Masahiko・2014 年指定・対象属に Haworthiopsis と Tulista を明記)
- PUKUBOOK — Haworthia reinwardtii / 同 var. chalwinii / Haworthia coarctata(和名「鷹の爪」「九輪塔」の当て方・疣のストライプとドットの対比・耐寒 5℃・変種と園芸銘の一覧。※個人運営で「正しさよりも楽しさが基本方針」と自ら免責しているサイトです)
- ELBAZ FARM — 硬葉系ハオルチアの種類 15 種(九輪塔 = Haworthia coarctata・星の林 = H. reinwardtii var. archibaldiae・カフィルドリフテンシス = H. reinwardtii f. ‘kaffirdriftensis’)
- isla del pescado — 九輪塔 Haworthia reinwardtii var. chalwinii(九輪塔を reinwardtii 側に当てる実例)
- 栽培家ブログ「永たに遠」 — 品種名・鷹の爪とは?2(『趣味の多肉植物』瀬川弥太郎監修に写真が無かったことと、業者ごとの解釈の分岐についての考証)
- Gildenhuys, S.D. & Klopper, R.R. (2016) A synoptic review and new infrageneric classification for the genus Haworthiopsis. Phytotaxa 265(1)(f. chalumnensis / f. kaffirdriftensis / f. olivacea の組み合わせ)
- Rowley, G.D. (2013) Generic concepts in the Alooideae. Alsterworthia International Special Issue 10(3 属への分割・本種と var. brevicula の組み合わせ)
- 種数の見解(林 546 / Breuer 366 / Bayer 60)は当サイトの分類方針にもとづく併記です
- 写真は iNaturalist と Wikimedia Commons の CC ライセンス画像(CC BY 4.0 / CC BY-SA 4.0 / CC0)のみを使用し、ライセンス版と現行の同定を各 API で確認しています(確認日 2026-07-24)
Field Noteデータ集約図鑑
画像クレジット
本記事の写真はすべて iNaturalist と Wikimedia Commons の CC ライセンス画像です(PD / CC0 / CC BY / CC BY-SA のみ採用・ND / NC は不採用)。本文中の写真は個別の帰属を写真の下に常時表示しています。冒頭のプレートとカード内の写真については、ライセンス条文へのリンクを含む帰属を以下にまとめます。
冒頭のプレート(自生地の単株): Photo: Justin Ponder / CC BY 4.0, via iNaturalist
FIELD 01(礫地に半ば埋もれた株): Photo: Henry de Lange / CC BY 4.0, via iNaturalist
FIELD 02(土の斜面): Photo: Jane le Roux / CC BY 4.0, via iNaturalist
FIELD 03(手を並べたスケール): Photo: Justin Ponder / CC BY 4.0, via iNaturalist
COMPARE 01(コアルクタタ・ライデン植物園): Photo: Rudolphous / CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
COMPARE 02(グラウカ): Photo: Abu Shawka / CC0, via Wikimedia Commons(帰属は任意)
COMPARE 03(アテヌアータ): Photo: Jeremy Gilmore / CC BY 4.0, via iNaturalist


















